少年少女のための文学全集があったころ の商品レビュー
子どもの頃に読んだ児童文学の思い出。 翻訳についての言及が多いのが興味深い。それに伴い児童文学全集に於ける抄訳の意義や魅力についても語られる。 子どもの時に出会った作品は後の人生に大きく関わる。いい出会いがありますように。
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※このレビューにはネタバレを含みます
子どもの頃に夢中になって読んだ「少年少女世界の名作文学」など、小学校の図書館にあって書店には並んでいない全集ものは、新刊と同じように惹きつけられたと云う著者が、子どもの頃の記憶をたどりながら、児童文学への愛と郷愁をこ持ったエッセイ集。〝読後感想文を書かせることが、果たして良い事かどうか疑問に思うのは、作品を読んだ時に受けた印象を「かき回してはいけない」と思うからだ。「本を読んで感じたこと、思ったことをそのまま書きましょう」なんて言われても「そのまま」 書くことは不可能である。 どんなに文章表現に長けていようとも、心に抱いているものを言葉にした途端に、そのときの思いは変質する。それが言葉というものの本質である...本当に大きな感動を覚えたとき、それは恐らく一生、その子の心に残る。言葉にしないまま、そっと胸の奥にしまっておくことで、その感動は子どもの成長と共に熟成し、心を豊かにする 〟
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私もたくさんのいい本に出会って、そして繰り返し読んで、今に至っております。 いいタイミングで出会えたことに感謝!
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すごい人に出会ってしまった。 こんなにも少年少女文学が好きな人に これまで会ったことがない。 一冊一冊の本に対して、またその本たちを受け繋いでいくことに対しての愛があふれる本。 何冊か読みたい本メモしたので、翻訳者も意識して読んでみたいと思う。
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2016/12/24 図書館 オシツオサレツの話は『魔女集会通り26番地』を読んで何年もたってから『魔女と暮らせば』を読んだときのショックを思い出させられました グウェンダリンがグウェンドリンに、バヨリンがフィドルに… 挙げられている作品は読んだことのないものも多いので、そのう...
2016/12/24 図書館 オシツオサレツの話は『魔女集会通り26番地』を読んで何年もたってから『魔女と暮らせば』を読んだときのショックを思い出させられました グウェンダリンがグウェンドリンに、バヨリンがフィドルに… 挙げられている作品は読んだことのないものも多いので、そのうち読んでみたいな
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2016.10.15市立図書館 個人的な読書体験を綴った作品で、登場するのは主に翻訳少年少女文学。登場する本に知っているタイトルが多い人なら、なつかしく思い出したり共感したり(ときには「そんなこと書いてあったっけ!?」と意外な読み方や記憶におどろかされたり)しながら読めるし、あま...
2016.10.15市立図書館 個人的な読書体験を綴った作品で、登場するのは主に翻訳少年少女文学。登場する本に知っているタイトルが多い人なら、なつかしく思い出したり共感したり(ときには「そんなこと書いてあったっけ!?」と意外な読み方や記憶におどろかされたり)しながら読めるし、あまり読んだことのないタイトルばかりという人でも、こんな楽しそうな世界が…と発見が多そう(私の場合は前者)。いずれにしても読後は芋づる式に児童文学を読み返したくなるのがやや危険な一冊。 瀬田貞二さんといえば「がらがらどん」などの名訳で名高いけど、ああ、「朝びらき丸」ってほんとうに素敵な翻訳だったなぁ!と改めて。 Ⅰ 食いしん坊の昼下がり キャンブリック茶、甘茶、ケンブリック茶、ケインブリックティー(薄紅茶)…訳語と状況から想像する味は? こういうのは同じ本の別の翻訳やシリーズ物、あるいは同じ訳者の仕事をあるていどの量よみこんでいないとなかなか気づかないから、そんな楽しみをみつけた筆者がちょっと羨ましくなる。 Ⅱ 記憶のかけら 「面倒見がよくて気配りできるために早くおとなになってしまう」「しっかり者の長女タイプ」のスーザンが、ナルニアシリーズでは早々と冒険から抜けてしまうというエピソードに、早々と大人向けの文庫本を読みはじめ、岩波少年文庫や福音館文庫の世界にそれほど浸りきる暇もなく大人の文学の世界にいってしまったわが長女のことを思い出さずにはいられなかった。 Ⅲ 読むという快楽 天正少年使節の話がなつかしかった。そして、同じ思考経路で入手していまだ積読になっている若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ』を今度こそ読み始めようと決意を新たに、さらにその後に芋づる式に読むべき本も(巻末にリストがあって大助かり)。アンやジョーの文学少女ぶりも大人になって改めて読み直すとおもしろいかもしれない。 Ⅳ 偏愛翻訳考 新訳や訳語、訳文の時代性、完訳と抄訳、校正などの話は大好物。どれもうなずいてしまう。 Ⅴ 読めば読むほど 本の所有、絶版本、造本、そして世界文学全集との出会い。 私自身、母親の実家から一冊ずつ持ち帰っては読みふけった講談社の少年少女世界文学全集(+伝記全集&平凡社絵本百科)がいまの教養のベースとなっているので、全集を片っ端から読むような読書体験はバカにできないと肌で思う。いまは散逸してしまったあの文学全集をもういちど手元において読み返せればと切望するし、今のこどものためにも宝の地図のような文学全集が企画されてほしいと熱望する。
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歌人である著者が子どものころ読んだ本と、その思い出や印象的なシーンを語る。 なんと素晴らしい読書体験をしてきたのだろうか。そして、とても細かく色々な事を記憶している事に感心。 懐かしい本がたくさん登場します。
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再読候補。 ◆きっかけ 図書館 新刊棚 ◆感想 すごく良かった。松村さんの少女時代の読書遍歴が、生き生きと書かれている。なんて楽しそうに読書をするのだろう!児童文学への、本への愛がひしひしと伝わってくる文章だった。 家族や親戚、友人にも本好きが多く、本の話を共有できるのが素敵...
再読候補。 ◆きっかけ 図書館 新刊棚 ◆感想 すごく良かった。松村さんの少女時代の読書遍歴が、生き生きと書かれている。なんて楽しそうに読書をするのだろう!児童文学への、本への愛がひしひしと伝わってくる文章だった。 家族や親戚、友人にも本好きが多く、本の話を共有できるのが素敵だ。 小学生の頃にすでに沢山の物語を読み、時代背景や舞台背景が次々にリンクしていっている。そうして更に更に、楽しい本の旅へと向かっていった少女の姿が目に浮かぶ。 翻訳の違いや時代背景についても話が及び、面白い。どの本も読んでみたくなった。 抄訳や言葉遣いの改変についても触れられていたが、私も筆者と同じく、賛成派である。今の子供達が読みやすく、登場人物や場面によりそえるもの。敷居は低く、より多くの子供達が名作に触れる機会があればいい。そこから読書の旅に出た子供達が、同じ物語を完訳含めさまざまな訳や表現で再度味わえたなら素敵だ。 読書感想文について、「心に抱いているものを言葉にした途端に、そのときの思いは変質する。それが言葉というものの本質である。」と書かれており、日頃、言葉にすると意味が限定されてしまって、感じたことが伝えられない…と感じていたので、だよね!!と同調。「本当に大きな感動を覚えたとき、それは恐らく一生、その子の心に残る。言葉にしないまま、そっと胸の奥にしまっておくことで、その感動は子どもの成長と共に熟成し、心を豊かにする。(p143)」とも。娘が言葉を発するようになったら、読み聞かせの後、つい感想を聞きたくなってしまう気がする。が、ぐっと我慢することも大事だなとハッとした。 ちびくろサンボについて、1988年12月、小学館、学習研究社、講談社、そして岩波書店が相次いで絶版を決め、この絵本をあまり目にすることがなくなった。(p151)とあったが、物語の最後、虎がバターになってしまうシーンはその挿絵をよく覚えている。なんて美味しそうなんだと思った記憶がある。あの絵本は、図書館で借りたのだろうか。 「どんな作品も時代と切り離せない。現代の感覚や価値観を、古い時代の作者や登場人物に当てはめることはほとんど意味がないだろう。私たちはむしろ、優れた文学作品でさえ時代性から逃れられない面があることを直視し、そこから学ばなければならないのだ。(p156)」→物語のなかの行動や言葉に違和感や嫌悪感を感じることは確かにある。その時代背景や政治的背景を知って学んでいきたい。 「小学生くらいの子どもたちの読みものの挿絵は、絵本ほどには質がよくないように思える。(中略)幼い子の感性を見くびってはいけない。(中略)本物の美は深く心に浸透し、いつまでもそこにとどまる。だから、幼年向けの読みものの挿絵は、もっと多様性があってほしい。マンガしか知らないより、いろいろな画法や色彩、質感の絵に触れる機会がたくさんあった方がよい。(p165)」 紹介されている本を読むときに再読したい。また、娘が小学生になったときに彼女に勧める候補をさがすため、再読したい。 2016/9/27
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