深く、濃い闇の中に沈んでいる の商品レビュー

前川裕(著者)

2017/02/18

首吊りの死体 べろ 失禁 下卑た笑い 社会の悪意が凝縮されたような男の目 彫金の細工 反駁はんばく 鑢やすり 悔悟かいご 仄暗い罪悪感 打擲ちょうちゃく いし縊死現場 離人症の犯罪者 慄然 錯誤 意味符号 掠めた 罪を孕んだ 死の闇の中にいるように感じた 人生相談 空隙くうげき 卓袱台ちゃぶだい 夥しい数の苦悩の物語 社会の秩序は倦怠と空虚の中で奇妙な安定を遂げ、個人の不幸だけが善意という欺瞞の中で喝采を浴びていたのである 狂奔 不幸というのは、常に起こりうる相貌を持たない限り、不幸としての資格を失うのだ。人は哲学的な苦悩には決して共鳴しない。できるだけ下世話で、剥き出しの、生活の澱が他人の私生活の細胞の襞を侵して、浸潤しているような物語を構築することに、彼は小説家のように腐心した。 舅と姑 意想外な 作り話の脆弱さ 頑迷な妻の横顔 病的な吝嗇りんしょく 予備校講師 奢侈しゃし 清貧という概念を背徳として呪詛した 慚愧の念 薫陶 旧弊な清貧な論理 こうふん口吻を漏らした 窘めた 通俗的なテレビドラマ 重積痙攣 証左 直截に遺伝的体質が齎す痙攣発作の関連症状 零 歪曲された陰画 脱出口を永遠に失った同語反復以外の何者でもなかった 同じことをまったく違った断面に切り取ってみせる鮮やかさ 時間的な遡行そこう 軽い揶揄で挑発 剥き出しの狼狽 卑俗な常識と世渡りに長けた「人生の達人」 よい宵っ張り 掠れた声 厚情に感謝 靄もや 曇天どんてん 雨脚に席巻され 雨滴うてき 割烹 音楽評論家 延々として ぎょ御しやすかった 傍証 語尾を濁した ようえん妖艶な赤いドレス 空疎な笑い 反撥 クリーピー偽りの隣人 黒沢清 広範な読者 軒のき 不躾な好奇心に辟易する 粘着質な恐怖 法政大学文化学部の教授 暗渠あんきょ えぐ抉る 横溢おういつ あぐ倦まず弛まず

2016/11/15

「人生の不運」と「人生相談」の二編が収録されたミステリ短編集。タイトル通り、とにかく暗い。どんより。それほど猟奇でも何でもないのだけれど、嫌な雰囲気がかなり漂う作品です。
特に「人生の不運」のラスト……まさかこんなに救いようのない話になってしまうとは。どうしようもなく重い読後感にがっくり。やりきれません。でもこういう嫌な感じはこの方の持ち味かも。