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異常な世界 の商品レビュー

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意外性充分のチャレンジングな設定が示すものは?

公式サイトの紹介文にあるシチュエーションタグが異彩を放っている。 1.超能力 - 見えない指~念動責め(著:香坂燈也) 2.人外 - 「一晩、泊めてください」(著:青橋由高) 3.小人化 - 未亡人叔母のおっぱいは僕の寝床(著:弓月誠) 4.異世界転生 - 戦国時代に...

公式サイトの紹介文にあるシチュエーションタグが異彩を放っている。 1.超能力 - 見えない指~念動責め(著:香坂燈也) 2.人外 - 「一晩、泊めてください」(著:青橋由高) 3.小人化 - 未亡人叔母のおっぱいは僕の寝床(著:弓月誠) 4.異世界転生 - 戦国時代に異世界転生!?(著:巽飛呂彦) 5.透明人間 - 透明人間X(著:田沼淳一) 6.淫魔 - 淫魔退治の夜~美母と高校生~(著:秋月耕太) 7.スーパーヒロイン - 女宇宙刑事シェリー危機一髪(著:御堂乱) 「スーパーヒロイン」以外は本作の他に該当作品がなく、おそらく今後もないであろう特殊な設定による7編のアンソロジー。ちなみに「人外」は雪女がヒロインである。各編50~55頁程度にしては物語も官能もよく練られた印象があって悪くない短編が並んでいる。最初から漫画チックというかアメリカンSFチックなテイストの「7」は何だか別に本編があって、そのモノローグのような中途半端さを感じさせ、戦国時代に飛ばされた「4」の主人公が何の疑問も抱かずに現状を受け入れるおバカっぽさは笑えなかったものの(結末は良かった)、他は設定との折り合いを何とかつけながらまずまず良好に組み立てられていたと思う。久し振りにその名を目にした作家陣も限られた紙面で「らしい」と思わせる存在感を発揮していた。個人的には「2」と「3」、そして何より「6」の淫猥度が突出していたと付記しておく。 初出の記載が見当たらないので全編書き下ろしかと思われるが、であるならば、こうした意外性のあり過ぎる設定で短編の執筆を依頼された側もなかなかの骨折りだったものと推察しつつ、このようなテーマでアンソロジーを出版した意図は何だったのだろうかとの邪推も働く。官能小説のベクトルがリアリティから次第にファンタジーへとシフトしていく中で業界を牽引する立場のフランス書院文庫としてはその立場が邪魔して突飛な行動が取りにくい現状を多少なりとも打破する企画の1つだったのであろうか。 それにしてはチャレンジングなテーマに思うが、むしろ与えられたテーマに沿った作品をきっちり仕上げた執筆陣に敬意を払いたい。

DSK