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青の数学 の商品レビュー

3.8

122件のお客様レビュー

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2016/08/27

これを読むと数学の才能は福音なのか、それとも呪いなのか考えさせられる。数学がテーマの話ですが、実際の問題や解法なんかはあまり出てこない。なんか中途半端で終わると思ったら、続きがあるんですね。 あと、やたらに変わった名前が多いのが気になった。皇は読めるけど、京は読めない。キャラの名...

これを読むと数学の才能は福音なのか、それとも呪いなのか考えさせられる。数学がテーマの話ですが、実際の問題や解法なんかはあまり出てこない。なんか中途半端で終わると思ったら、続きがあるんですね。 あと、やたらに変わった名前が多いのが気になった。皇は読めるけど、京は読めない。キャラの名前より物語に集中したい。

Posted byブクログ

2016/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

数学が嫌い。苦手。 数学なんかなくても生きていける。 そう思いこんでいる人は不幸だ。 …いや、幸せなのかもしれない。 少なくともこの本には手を出さない。 出したとしても挫折する。 この作品には あらゆるものが詰まっている。 他に表現がないので 抽象的に過ぎることを許してほしい。 哲学の書を紐解く知的好奇心と かつて一度でも数学の問題を解くことに のめりこんだ人にしか理解しようもない 情熱がなくては、この作品世界の躍動は 感じられないのではないだろうか。 にもかかわらず、青春真っ只中の10代の 少年少女たちに届けたい、あらゆるもの がここにはあるのだ。 確かに自分たちの世界に彼らは 酔っているかもしれない。それ以外の 世界を否定するような人も混じる。 しかし、一番になれるのならば 数学でなくてもよかった人や 栢山のように他の友人たちが大切に している世界にも共感とエールを胸に 抱きながら、同じレベルで自分の世界を つきつめようとしている者もいる。 単に数学に秀でた者たちの自己陶酔に 終わってなどいない。 かつて小学生の頃、東大出身の数学者に 数学の世界を垣間見せてもらった私には 彼らが私など手の届かない世界をその目 の中にとらえているのだとはわかる。 しかし私の目にはその世界が姿を現わす ことは死ぬまでありえない。 こんなにも楽しいことを私はどうして 中途で投げ出したのか。そんな自問にも 私なりの答えは見つけている。 作品中でも語られることだが、彼らが 取り組んでいるのはまだ、本当の数学 ではない。真の数学者たちが作り出した 数学世界をまだたどっているだけだ。 その証拠に、彼らが解く問題は、すべて 出題者によって答えが確かめられたもの ばかり。つまり一度は解かれているのだ。 まだこの世の中に答えが生まれていない ものを探し、それを見つけた時に、それ を最初に見つけたただひとりの人間の 目の前にだけ広がる新たな世界。 どうだろう。数学を端的に表したこの 4行は、この世界の「あらゆるもの」に 通じてはいないだろうか。 この青春の哲学書は 仲間や協働、競い合うことの大切さすら 栢山を通じて語ってくれる。 次作が出たら必ず飛びつく。 秀逸な作品だ。

Posted byブクログ