昆虫は最強の生物である の商品レビュー
現在に至る昆虫誕生の歴史を書いた本。カンブリア大爆発から白亜紀までの記述でページ数の大半が埋まっている。イモムシに卵を産み付けるカリバチが社会性を獲得する過程や翅のソーラーパネル説など他で聞いたことのない説に触れられてよかった。 また、難しい話だけでなくナショナルジオグラフィック...
現在に至る昆虫誕生の歴史を書いた本。カンブリア大爆発から白亜紀までの記述でページ数の大半が埋まっている。イモムシに卵を産み付けるカリバチが社会性を獲得する過程や翅のソーラーパネル説など他で聞いたことのない説に触れられてよかった。 また、難しい話だけでなくナショナルジオグラフィックを小馬鹿にしたり、過去にタイムスリップして脊椎動物にサンゴを投げて海からの上陸を阻止する妄想したり、随所に筆者のユーモアが挟んであるのも面白かった。
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普通、人々は動物というと、脊椎動物のことを言うが、節足動物も動物である。脊椎動物が地上に現れる数千年前から存在していた。昆虫もその節足動物の中のひとつである。・・・というような、現代の昆虫のことではなく、地球の歴史からみた昆虫の話が中心。
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あとがきが染みる。生物の多様性現象に目を向けず、地球外生命探査を優先する人類とは何なのか。まずはこの地球の昆虫を驚きの目で見つめようじゃないか、と。人間中心生命史観を覆す昆虫生命史観は傾聴に値する。 外骨格、小さな体、翅、変態のすごさ。 ・殺虫剤への耐性を発達させた昆虫は数百...
あとがきが染みる。生物の多様性現象に目を向けず、地球外生命探査を優先する人類とは何なのか。まずはこの地球の昆虫を驚きの目で見つめようじゃないか、と。人間中心生命史観を覆す昆虫生命史観は傾聴に値する。 外骨格、小さな体、翅、変態のすごさ。 ・殺虫剤への耐性を発達させた昆虫は数百種類にも及ぶが、20世紀を通して人類が特定の昆虫を根絶しようと取り組んだにもかかわらず、絶滅した種は一つもない。 ・多くの生物学者は、まず植物が陸に進出しなければ、動物は陸に住めなかっただろうと考えていたが、反論の余地はある。 ・陸生の節足動物が植物の上陸より何百万年も前から繁栄し、陸地で生き延びる能力を備えていた。 ・翅の起源に関しては様々な説があるが、石炭紀のミシシッピ期末(およそ3億2700万年前)までに翅が出現していたという大枠が揺らぐことはない。
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「小さい頃は神様がいて毎日愛を届けてくれた」とは有名な歌の一節。 それが愛であるかは分からないが、幼少のころは、夏に家から見える樫の木に毎朝カブトムシがいるので、まさに天の恵みだと思った。毎日捕まえても翌朝またいる不思議。 そういった個人的な思い入れを抜きにしても、地球の生態...
「小さい頃は神様がいて毎日愛を届けてくれた」とは有名な歌の一節。 それが愛であるかは分からないが、幼少のころは、夏に家から見える樫の木に毎朝カブトムシがいるので、まさに天の恵みだと思った。毎日捕まえても翌朝またいる不思議。 そういった個人的な思い入れを抜きにしても、地球の生態系が昆虫なしではなりたたないことは多くの方が理解していると思う。 日本の近代化を支えた絹糸産業も、カイコガという昆虫の恵みであるから、人と昆虫の関わり合いもとても大きい。 しかし、メンタルやられて休職していたときにリハビリに理工系の本が割とそろっている図書館に通ったが、昆虫の進化をまとまって解説する本というのがわずかしかなかった。 というわけで、たまたま書店で見つけたこの本。検索して電子書籍がないと知ってすぐレジに持って行って購入した。 多細胞生物の発祥から今日まで、絶えることなく節足動物の時代が続き、中でも陸は昆虫が支配的な動物であるという本書の内容は非常に面白かった。 古生代、中生代、新生代という区分も、宇宙から来た誰かが分類したら「単細胞生物の時代、次に節足動物の時代」の2区分になるだろうというのが笑う。白亜紀末の大量絶滅にあっても、昆虫の目では消えたものはいない。さらには、地球外生命についても、節足動物のタイプがもっとありそうなものだという。 自分たち人間がそうであり、また恐竜も属していることから、脊椎動物の進化に目が行きがちだが、節足動物、中でも数百万から数千万種はいるという昆虫の歴史も非常に面白いと改めて思った。 翅の進化についても、今までエラ説が有力だと思っていたが、本書を読んで、ソーラーパネル説の方がありそうだと思えるようになった。成虫は活動する必要があり、そのために体温を朝すぐ上げる必要があり、太陽の熱を効率よく吸収するための側背板が成虫で発達し、やがて翅に至るというストーリーは説得力がある。 脊椎動物は翼竜、鳥、コウモリと3系統も空に進出したが、翅で飛べる昆虫おそらく単系統。虫が飛ぶのはそれほど難しい課題だったと言えるかもしれないが、一度得た飛ぶ能力があまりに完璧だったので、他の虫が空に進出する余地がなかったという見方もできる。脊椎度物が3系統も空に出たがったのも、空中の昆虫をつかまえたいという欲望のたまものかもしれない。 それはそれとして、英語のタイトル、Planet of the Bugsのニュアンスをもっとよく伝える日本語タイトルがほしいとちょっと思う。 昆虫は最強の生物である(地球最強とは言ってない)。これも十分か(宇宙最強、のニュアンスあり)。
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カンブリア爆発以降現在まで、4億年に渡る昆虫の歴史を「見てきたか」の様に語るが本著だが、実はほとんどが化石の解析だというのがすごい。 確かに、種の多様性と個体数という観点から見れは、ホモ・サピエンスなどは人類の中で1種しか残っていない訳で、サピエンスが絶滅すれば人類が絶滅するとい...
カンブリア爆発以降現在まで、4億年に渡る昆虫の歴史を「見てきたか」の様に語るが本著だが、実はほとんどが化石の解析だというのがすごい。 確かに、種の多様性と個体数という観点から見れは、ホモ・サピエンスなどは人類の中で1種しか残っていない訳で、サピエンスが絶滅すれば人類が絶滅するという脆弱な種な訳で、大きな環境変化があった時に生き残る可能性が高いのは菌類か昆虫るいであろう。 「昆虫中心視点」から見た地球生物史。
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「最強」と聞いて読まずにはいられないのが男の性です。 とは言っても、本書は『テラ・フォーマーズ』の「クモイトカイコガの糸は鋼鉄の強度を持つ」のように固有種の能力を解説するものではなく、進化の歴史をたどりながらどうやって昆虫が地球一の多様性を手に入れたかを解説した一冊です。 そ...
「最強」と聞いて読まずにはいられないのが男の性です。 とは言っても、本書は『テラ・フォーマーズ』の「クモイトカイコガの糸は鋼鉄の強度を持つ」のように固有種の能力を解説するものではなく、進化の歴史をたどりながらどうやって昆虫が地球一の多様性を手に入れたかを解説した一冊です。 そういった意味では雑学的な面白さはありませんでしたが、どのような生命であれ、途方もない年月がもたらす進化の過程というのは奇跡のような物語であり、この上なく面白いです。特に昆虫にいたっては始まりが古生代で、哺乳類よりも数億年も昔に陸に上がり、空を飛び、完全変態をしていたのですから。 でもこうした進化の話を読んでいると、きっと我々も宇宙に適用する日が来るのかもしれないと思わせてくれます。あるいは、全滅するのが先か。 ぜひとも子供にも読ませたい内容ですが、内容が少し難しいのでどちらかというと大人の趣味向けです。
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