ジニのパズル の商品レビュー
圧倒的主観で描かれているのが心地よい。 空気感の伝わる表現が多くて感覚的に読み終えることが出来て良かった。
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読むのが苦しかった。それは物語が退屈だという意味で全く無く、主人公のジニに感情移入しすぎて所々読み飛ばしてしまいたい部分があった。ジニは恐らく言葉の壁以上に過敏すぎて周りとうまく溶け込めないのだろう。かつての自分なら本書をより理解できたかもしれない。
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壊れた絵を元通りにするのがパズルなら、このパズルは終わりそうにない。 新しいものを次々と取り組んで、受け止めたものを疑って、解体し、組み立て直す。 生きている限りパズルはどこまでも続いていく。 油断のできない世の中で生きていくには、壊れたパズルで満足するか、それができないなら解き...
壊れた絵を元通りにするのがパズルなら、このパズルは終わりそうにない。 新しいものを次々と取り組んで、受け止めたものを疑って、解体し、組み立て直す。 生きている限りパズルはどこまでも続いていく。 油断のできない世の中で生きていくには、壊れたパズルで満足するか、それができないなら解き続けるしかない。
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"私たちの歴史は、誰もすすんで開かない教科書などではない。私たちの歴史は音楽の中にある。私たちが流した涙は詩の中にある。辺りは闇に包まれ、この惨めな人生は微かな音を立てることもなく終わるのだろうと思った中でも、唄うことを、踊ること、笑うことを決して忘れなかった先祖のその...
"私たちの歴史は、誰もすすんで開かない教科書などではない。私たちの歴史は音楽の中にある。私たちが流した涙は詩の中にある。辺りは闇に包まれ、この惨めな人生は微かな音を立てることもなく終わるのだろうと思った中でも、唄うことを、踊ること、笑うことを決して忘れなかった先祖のその心は、時空を超えて私たちと共にある。"(p.169)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「私」はここに居るんだという、むきだしの叫びのような、やりきれなさ、悲しみと苦しさ、怒り…それらを包む著者の眼差しが時間軸の先に居るジニのものでもあって欲しいと願わずにはいられない。 池袋のパルコのゲーセン、階段裏の暗がりの床に転がされたジニに胸が張り裂けそうだった。ジニの視界が自分のものとして投影されるようだった。 ステファニーとの対話で過去と自分を受け入れる決断をしたジニの葛藤と勇気といったら。 何者でなくとも良い、ただそこにいるだけで良いのだ。
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第59回群像新人文学賞受賞作 第155回芥川賞候補作 一読、何とも読後感を表現しずらい作品。 朝鮮学校が、実際に北朝鮮にどれくらい依存しているかわからないが、「金一家」の肖像が常に飾ってあるなら、関係は深いといってよかろう。 いわば日本の中にある北朝鮮である。 これは、ジ...
第59回群像新人文学賞受賞作 第155回芥川賞候補作 一読、何とも読後感を表現しずらい作品。 朝鮮学校が、実際に北朝鮮にどれくらい依存しているかわからないが、「金一家」の肖像が常に飾ってあるなら、関係は深いといってよかろう。 いわば日本の中にある北朝鮮である。 これは、ジニでなくても、実際違和感を感じざるをえない。 (好きか嫌いかといえばないほうが望ましい)と言いつつ、干渉的なことは行わないのが「普通」だ。しかし、その違和感が、破壊的「革命行動」にまでつながっていくのが、ジニという人物だ。 自分の感じた違和感をあまりに不器用に、あまりにストレートに、表現する若さや生命力。大人になるか、暴れまわるかの選択において、朝鮮学校に入ったジニは、後者を選んだ。 いってみればただそれだけの話だが、その暴力性のわりに、音声なしのフィルムを見ているような落ち着きと静けさを感じさせる作品だ。
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私的にはジニに共感(思春期の不安定感)し、おもしろかったけど、朝鮮学校を差別したい人に都合よく消費されたら嫌だなという気持ちもあって、勧めるときに人を選んでしまうのです。そういう私が正しいのか?もモヤモヤしつつ。 ホントは広く読まれてほしい……
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小説を読んでここまで時間を忘れたのはいつぶりだろう。 内容に関しては、私の言葉で形容することはおこがましいので、完全に私の主観に基づいた所感を残しておきます。 私は基本的には、100%完璧に日本人しかいない田舎町で育ったので、都会よりもずっと均質性の高い空間で生涯を過ごしてき...
小説を読んでここまで時間を忘れたのはいつぶりだろう。 内容に関しては、私の言葉で形容することはおこがましいので、完全に私の主観に基づいた所感を残しておきます。 私は基本的には、100%完璧に日本人しかいない田舎町で育ったので、都会よりもずっと均質性の高い空間で生涯を過ごしてきたと思います。 そんな環境から、周りに帰国子女や外国籍の方が多い世界に身を置いているので、両方の世界に足を突っ込んだ人としての所感を残しますね。 芸人のアイクヌワラさんがあるときこんなことを言っていました。 「日本人は人種差別をしているわけではない。ただ知らないだけなのだ。」 ここにおける知らないとは、教科書的に知らないということはもちろんですが、実体験として知らないというこ とだと理解しています。 そもそも宗教や政治、人種に関する会話というのはタブーとされて無知になりやすいトピックです。ですが、仮に精神的に成熟することとなく、社会的権威性や虚勢で着飾った大人たちがその無知を持ち歩いていたらそれは容易に凶器になりえてしまうと思うのです。 どれだけお勉強をしたとしても、どれだけ知った気になったとしても私は無意識のうちに外国籍の他者に排他的な態度をとっていることがあります。 生活していく上でハラルの存在は知っていても、普通の鶏肉に拒絶反応を抱かれるとは思っていませんでしたし、私の中国語の拙さから生じた台湾の友達への軽い差別的な言葉は経験をしなければ永遠に本当の意味で理解することはなかったと思います。 今でこそ在日3世の友人や、韓国籍の親しい友人と住んだりしているのでこの無意識下で刃物になりうる無知は減ってきていると信じたいですが、それでも私の無知は完全になくなることは生涯ないでしょう。 知らなければきれいに見えるものも、知ってしまうことで急に今までと同じようには見えなくなってしまうのは世の常です。 ですが、今まで見えなかったものが見えるようになってきたときにそのもの自体変わらない対応をするのはもちろん、それまで以上に自分の無知さに愚直に向き合う必要があるなと。 ん~、なんか私の稚拙な文章で何を書いても陳腐に響くだけなのでぜひ読んでみてください~~。どんな人でも何かしら刺さるような文章で4時間くらい溶けます。
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最初の3つの章(と言っていいのか)から一気に引き込まれた。 テポドンの日、池袋のゲーセンで酷い目に遭い、学校を続けて休んだ後の、1人で起こした革命。 ビラを階段上からまく少女、前に見た映画「白バラの祈り」を思い出した。 朝鮮学校生徒であることで、日本人に酷い目に遭ったことがきっ...
最初の3つの章(と言っていいのか)から一気に引き込まれた。 テポドンの日、池袋のゲーセンで酷い目に遭い、学校を続けて休んだ後の、1人で起こした革命。 ビラを階段上からまく少女、前に見た映画「白バラの祈り」を思い出した。 朝鮮学校生徒であることで、日本人に酷い目に遭ったことがきっかけになり、その怒りが北朝鮮に向かうところが、在日朝鮮人の立場だから書けることなのかと思った。 北朝鮮という国、独裁者への反感を女子中学生に向ける卑怯な日本人たちを戒める小説は誰が書けばいいのか。 マギー、ニナ、ステファニーがいてくれて良かった。 ニナが調子を崩してしまったことが悲しい。
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日本語を話し朝鮮語を話せない在日朝鮮人ジニが、中学から朝鮮学校へ通わなくてはならなくなったことで、苦悩し闘う様子が綴られます。単民族国家という日本の状況は彼女のような人には本当に生きにくいのだと改めて感じます。彼女が自分を表現するために起こした行動は、結局どういう結果を引き起こし...
日本語を話し朝鮮語を話せない在日朝鮮人ジニが、中学から朝鮮学校へ通わなくてはならなくなったことで、苦悩し闘う様子が綴られます。単民族国家という日本の状況は彼女のような人には本当に生きにくいのだと改めて感じます。彼女が自分を表現するために起こした行動は、結局どういう結果を引き起こしたのか、本当に痛々しく読んでいてとてもつらかった。出自など自分で選べるものではありません。作者が込めた思いを私がどれだけ受け取れたかはわかりませんが、とにかく読後疲れてしまうほど、パワーに圧倒され、いろいろなことを考えました。
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