砂の下の夢~空の下の緑~(2) の商品レビュー
「世界が輝いて見える」といった死を直視した描写などは、いまの日本のマンガにはあまり見かけないように思われる。世代を超えた怨恨の対立など、現実にも頻繁にありうる歴史的問題が扱われている。しかし、一話完結の連作短編という形式もあいまって、そのような問題の深部に食い込んだ展開には到らな...
「世界が輝いて見える」といった死を直視した描写などは、いまの日本のマンガにはあまり見かけないように思われる。世代を超えた怨恨の対立など、現実にも頻繁にありうる歴史的問題が扱われている。しかし、一話完結の連作短編という形式もあいまって、そのような問題の深部に食い込んだ展開には到らないことが多い。問題があることを呈示して終わってしまう。その意味で日本的な表層性やそれにまつろうナイーブさを保ち続けているようだ。この点は「カルバニア物語」などにも共通している。クレイグ・トンプソン「ハビビ」と読み比べてみると面白い。日本国外の脚本家の手で映像化できるなら面白いかもしれない。
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