地域再生の失敗学 の商品レビュー
出版前から気になって。 ちらほらと論者によって言及されるのも聞く。 地域経済、市場・民の力をどう使うか。
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木下斉氏、飯田泰之氏など”若手”に属する実務家、学者による現場から地域再生を考える話。経済面からか政治(厚生)からかどちらで評価するかそもそも考えましょう、というピンポイントな掴みにgoodだなと感じる。メモ。 (1)予算というお金を使うのだから、リターンもお金で示すべきなのにそ...
木下斉氏、飯田泰之氏など”若手”に属する実務家、学者による現場から地域再生を考える話。経済面からか政治(厚生)からかどちらで評価するかそもそも考えましょう、というピンポイントな掴みにgoodだなと感じる。メモ。 (1)予算というお金を使うのだから、リターンもお金で示すべきなのにそうではない。市民が楽しかったと言えばいいイベントになる。 (2)サプライチェーンにはギュッと細くなるボトルネックが必ずあって、そこをにぎったひとが価格統制力を持つことが出来る。 (3)販売先から逆算して考え、独自の生産・加工を行うからこそ利幅も大きくなり、適切に人も雇える。 (4)戦略の基本は競争構造を理解したうえで戦ってはいけない人と戦わないこと (5)本当の経営はやること自体の合理化をして予算制約を乗り越えたり、従来とは異なる収入モデルを作ってサービス維持のモデルを作り出すこと。 (6)大体人口20万人から30万人の規模で自治体のコストが、最も安く収まるという結果が出ています。 (7)ビジョンを示しコミュニケーションをとってしっかりと伝える事が経営者にとって最も重要な仕事。業績が良くても価値観に従わないマネージャーはクビ。 (8)都心に通勤しているサラリーマンの通勤時間は片道58分。毎日二時間以上も移動のためだけに費やしていたら、インフォーマルなコミュニケーションを行う時間も無くなってしまう。東京は人が多過ぎるがゆえに、人の集積によるメリットを生かす事が出来てないのではないか、と思う。 (9)グローバリゼーションとは国と国との関係ではなく特定の都市と都市の結びつきの強弱に収斂しつつある。 (10)商業対策なのか絆対策なのかは目的も手段も違う
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※このレビューにはネタバレを含みます
地域再生について、まちづくりの第一線で活躍する面々が、各々の持論を披露し、現状の地域再生の問題点を洗い出している一冊。 以下、印象に残った点。 ・地域活性化に取り組むプレーヤーも「競争」という意識が欠如していることが多い →学生時代、まちづくりを学んでいるときに、「人から選ばれるためのまちづくり」というのもあって良いのでは。と考えていたため、「競争」というものをもっと意識した地域再生があって良いのかな。と改めて思った。 ・プレーヤーには、問題意識や成長意欲、開放性が大事。 →僕は開放性(というか仲間を巻き込む意識)があまりないので、恐らくプレーヤーとしての素質はないだろう。と思った。自分が大学卒業後、まちづくりの世界に残ら(れ)なかったことに妙に納得してしまった。 ・結局は「人」がいるかいないか、強力なリーダーシップと問題意識を持った人が現れて、みんなと話をして説得できるか。 →やはりまちづくりで必要なのは、問題意識、開放性そしてリーダーシップ。特に2つ目と3つ目は、各々の元々の性格的な部分も大きい。僕はリーダーシップ皆無なので、自分がまちづくりの世界で飯を食うには向いていないということに、更に納得してしまった。 ・新しい発想ができる人間は、公務員試験を普通は受けない。公務員の多くが、真面目で手堅い。 →特に地方公務員だと、優等生タイプ、学級委員タイプが多いのかもなあ。という印象。公務員の仕事は法律に則って行うのが大前提である以上、真面目な人が多くなるのは仕方ないのでは。 ・地方では公務員は比較的エリートなので、志が高く野心的な人もいる。 →地方だと、自分の生まれ育った町で一旗上げようとか考える人が、その手段として公務員を選ぶ、ということが割とあり得ることなのかな。と。あと地方だと優秀な人材が、地元に戻って安定して高収入を、と考えると、インフラ・地銀・公務員あたりが選択肢になるというのもあるでしょうが。 と、色々と考えてしまった。全て素人の考えですが。
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グランプリ勝利が目的化したゆるキャラとB級グルメ、裕福なシャッター商店主、増加だけ見て減少波及を考慮しない逃げ口実の経済効果試算、自治体が実態に則して基準税率を上回る設定努力をしなくても地方交付税によって補填される不足財源、居住外自治体への所得移転を促すでたらめなふるさと納税など...
グランプリ勝利が目的化したゆるキャラとB級グルメ、裕福なシャッター商店主、増加だけ見て減少波及を考慮しない逃げ口実の経済効果試算、自治体が実態に則して基準税率を上回る設定努力をしなくても地方交付税によって補填される不足財源、居住外自治体への所得移転を促すでたらめなふるさと納税などなど。同感あり、反省あり、再認識あり。官民共に顧みて省みるべき事例の数々。こと林直樹さんの論に関しては、従来の学者による机上論の域を出ないと感じるけど、総体として勉強になりました。
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気鋭の経済学者、飯田泰之が主編者となり、5人の地方再生に取り組むスペシャリストによる講義と、飯田氏自身との対談をそれぞれ1人、1章という形でまとめたものです。 感想として… 人口減少という現状を前提とすれば、どこかの人口を増やせば、どこかの人口が奪われる事になる。 その中で集積で...
気鋭の経済学者、飯田泰之が主編者となり、5人の地方再生に取り組むスペシャリストによる講義と、飯田氏自身との対談をそれぞれ1人、1章という形でまとめたものです。 感想として… 人口減少という現状を前提とすれば、どこかの人口を増やせば、どこかの人口が奪われる事になる。 その中で集積できるところはいかに集積し、減少するところはいかに、戦略的に止まるか、あるいは撤退戦を進めるか… とはいえ、けっして後ろ向きではなく、未来の地域のあり方…その選択、そのために今出来る選択肢を示した本だと思います。 あと、本書で強調しているのは、民間が主体でなければ駄目だという事、補助金行政の批判ですね。 補助金がいかに、民間や地方自治体のインセンティブを歪ませるかです。 この本は地方再生に興味を持つ人のための入門書であり、同時にインデックスだと思います。 各章からより専門的な方向への導入になりそうです。
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