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近代日本の就職難物語 の商品レビュー

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2017/08/17

財界が高等遊民を当人たちの自己責任にして批判していて、100年前からなにも変わらないなと怒りを覚えた。 一部の高等遊民が社会主義や無政府主義といった危険思想に流れるのを危惧して、特高警察が取り締まろうとしていたというのは驚き。 就職難にはそもそも学生の専攻が偏っていたのにそれを是...

財界が高等遊民を当人たちの自己責任にして批判していて、100年前からなにも変わらないなと怒りを覚えた。 一部の高等遊民が社会主義や無政府主義といった危険思想に流れるのを危惧して、特高警察が取り締まろうとしていたというのは驚き。 就職難にはそもそも学生の専攻が偏っていたのにそれを是正しなかったという理由があった。 産業需要を無視して学校を作っても高等遊民を生むだけなのだ。 明治から戦前まで、就職難を救ったのが戦時景気ばかりというのが虚しいというか。

Posted byブクログ

2016/07/21

漱石の「それから」にも登場する「高等遊民」代助。明治から学生数の急速な拡大に伴い、「職業等未定又は不詳」卒業が社会問題になっていた!それが若者の左翼化も招来していた。戦争の人材ニーズがその問題を解決することになっていたとはいかにも皮肉な話である。大学の拡大がいかに人材需給の不均衡...

漱石の「それから」にも登場する「高等遊民」代助。明治から学生数の急速な拡大に伴い、「職業等未定又は不詳」卒業が社会問題になっていた!それが若者の左翼化も招来していた。戦争の人材ニーズがその問題を解決することになっていたとはいかにも皮肉な話である。大学の拡大がいかに人材需給の不均衡の上に立っていたのか、現在も続く就職難の根源は大学制度の始まりに問題が有ったのではないか、と痛感する。東京帝大卒で無業者の割合があまりにも多いデータの紹介に驚き!しかも法学部卒が苦戦したのだ。エピソードとして報知新聞の1926年の入社試験のことが書かれているが、実に痛快なほどの細工(設備、白熱した演技)だ。

Posted byブクログ