名コンサートマスター、キュッヒルの音楽手帳 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本、まず写真が多い所が嬉しい。ウィーンフィルの舞台写真も豊富ですし、キュッヒルさんの幼年時代、少年時代、青年時代、ウィーンフィルのコンサートマスター就任の頃の様子も拝見できます。青年時代のキュッヒルさん、ハンサムです。 ヴァイオリンを始めたきっかけは、11歳、学校にオーケストラがやって来た時、「モルダウ」を聴いてヴァイオリンに惹かれ、ねだってヴァイオリンを買ってもらったのがきっかけなのだそう。こういう機会が、あのキュッヒルさんの経歴のスタートになったと思うと微笑ましい。 しかし、その後のヴァイオリンへの取り組みの姿がすごい。当時から現在まで続くキュッヒルさんの熱心で勤勉な姿が描かれていました。14歳の時にアカデミーに入学したのだそう。そうして、在学中の21歳に21歳でウィーンフィルのコンサートマスターに就任。21歳!すごいペース。このため、ギムナジウムもアカデミーも卒業していないのだとか。 指揮者とオーケストラの関係、コンサートマスターの在り方、オーケストラに必要なこと、音楽との向き合い方「音楽は自主性、自分から創り出すもの」、なども面白かった。CDに対する意見。CD化する時に演奏のミスが修正されて無菌状態になっているのはおかしい、と。コンサートをそのまま録音するのが大事、ウィーン・フィルが今困っているのは、聴衆が完璧な演奏を求めていること、という意見が特に興味深かった。 インタビュー記事も読んで面白かったのですが、嬉しかったのはキュッヒルさんのオーストリア案内。ザルツブルグ音楽祭の開催されるザルツブルグのモーツァルトゆかりの場所やウィーンの音楽院、劇場、カフェ等を巡るという記事。読んで、とても楽しかった。惜しむらくは写真がモノクロなこと。口絵同様、ウィーンとキュッヒルさんの写真もカラーで観たかった。 それにしても、先日のN響のキュッヒルさんのソロ、良かったなあ。ポーっとなってしまう、美しい音色でした。
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アーノンクール指揮のウイーンフィルハーモニーの演奏会に行ったことがある。一人3万円だったけど、エイッと決心して夫婦で聞きに行った。モーツァルトの交響曲を聞いた。馥郁たる音に堪能した。その時のコンサートマスターが、キュッヘルさんだったのだ。アーノンクールもそうだけど、キュッヘルさん...
アーノンクール指揮のウイーンフィルハーモニーの演奏会に行ったことがある。一人3万円だったけど、エイッと決心して夫婦で聞きに行った。モーツァルトの交響曲を聞いた。馥郁たる音に堪能した。その時のコンサートマスターが、キュッヘルさんだったのだ。アーノンクールもそうだけど、キュッヘルさんの顔も怖かった。でも、この本を読むととても親しみを持つことができた。笑顔で写真に写っている。根は、すごくまじめで音楽に真剣な人なのだ。奥さんが日本人で、親日家でもある。奥さんとのなれそめの時の話も面白かった。結構、積極的にアプローチしている。あの顔に似わわず。コンサートマスターを離れてからは、レコード芸術紙で、よくインタビュアとして出ているのを見かける。
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