学力・心理・家庭環境の経済分析 の商品レビュー
思ったより学術的で、調査の設計や分析にページを割いてるので、手っ取り早く結果を知りたいなら章あたまのoverviewだけよめばいい、と半ば過ぎてきづく。まあそうでしょうね、という内容が多いけど、データできちんと裏付けを取ることは大事。あと、相関関係と因果関係の違いも。 で、やっ...
思ったより学術的で、調査の設計や分析にページを割いてるので、手っ取り早く結果を知りたいなら章あたまのoverviewだけよめばいい、と半ば過ぎてきづく。まあそうでしょうね、という内容が多いけど、データできちんと裏付けを取ることは大事。あと、相関関係と因果関係の違いも。 で、やっぱ問題なのは、高所得層内での学力差の開き方より低所得層内での学力差の開き方が大きい、というところかと。高所得層では、できの悪い子でも教育投資を増やすことで、成績上げる作用が働くけど、低所得層ではそれがない。 あと、他で見た気もするけど、親の学校参加が学力にプラス効果ってのは面白い。 子どもの心理に関するデータはもっとほしいところ。 しかし回帰分析とか、何回読んでも覚えないな自分、、
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親の経済力が子どもの学力に大きな影響を与えるというのは、理屈から考えても経験から考えてもゆるぎない事実であると思うが、そうでないとする著書があると知って、さっそく読んでみた。 以下引用。 第3章 親の経済力と子どもの学力 「本章では、子どもの成長段階ごとに世帯所得や父母学歴と子...
親の経済力が子どもの学力に大きな影響を与えるというのは、理屈から考えても経験から考えてもゆるぎない事実であると思うが、そうでないとする著書があると知って、さっそく読んでみた。 以下引用。 第3章 親の経済力と子どもの学力 「本章では、子どもの成長段階ごとに世帯所得や父母学歴と子どもの学力の間の相関関係が異なることを明らかにした。本章の分析を要約すると、世帯所得が学力に与える影響は小学校低学年よりも高学年、中学生段階でプラスの効果があり、子どもが中学生の場合においては、所得階層がより高い世帯で学力にプラスの効果があることが明らかになった。…推定の結果、世帯所得が学力に与える影響は、統計的に優位な差をもたらすほど大きなものではないことが明らかになった。これはクロスセクションデータを利用した分析で示された世帯所得が子どもの学力に与える効果が必ずしも因果関係とはいえず、見かけ上の相関であったことを示唆する結果である。」 第4章 学力の所得階層内格差 「多くの先行研究では、所得水準や家計の社会・経済背景が、個人の平均的な学力水準に与える影響が検証されてきた。本章では、こうした視点に加え、世帯の経済状態が同一階層内における学力格差に与える影響を検証した。 恵まれた家庭環境にある子どもは、学校外教育の機会や家庭内における良好な学習環境などの要因を通じて、平均的には高い学力を獲得する可能性が高い。同時に、学力水準を向上させる効果が、相対的に学力水準の低い子どもに対して、より有効に働くのであれば、恵まれた家庭環境にある子どもたちの中での学力水準の格差は、そうでない場合と比較して、縮小する傾向がある。 JCPSを用いた分析の結果、他の要因を一定に保った場合の学力指標の分散は、世帯の所得水準が同一であるような子どもたちの中での学力水準の格差は、世帯所得が高くなるにつれて縮小することになる。この結果は、所得水準の上昇が、平均的な学力水準を向上させるだけでなく、母集団における学力格差を縮小する効果を持ちうることを示唆している。いくつかの補足的な検討の結果、こうした格差縮小効果の背後には、親による教育投資や家庭内における学習環境の整備などの要因が影響していることが明らかになった。また、格差縮小効果が、子どもの学年に応じてどのように変化するかを見ると、科目によって異なる傾向が見られた。」 補論 回帰分析とパネルデータの基礎 「平均値の比較は、学力格差の現状を把握するための重要な第一歩ではあるものの、こうした比較のみで、世帯所得が子どもの学力に与える影響を判断することは難しい。たとえば、高所得の世帯には、教育熱心な親が多く、それが子どもの学力水準を向上させる効果を持っているかもしれない。あるいは、学歴が高く、高所得の親のもとに生まれた子どもは、生まれつき高い認知能力を備えているかもしれない。これらは理論的な可能性に過ぎないが、重要なのは、単純なテストスコアの平均値の比較からは、世帯所得の上昇がもたらす影響とを区別できないという点にある。上記の例でいえば、仮に高所得の世帯の子どもたちの平均点が、そうでない子どもたちの平均点と比べて高かったとしても、それは世帯所得の高さによるものなのか、親の教育方針や子どもの遺伝的資質の違いによるものなのか、区別ができないことになる。 上記の例から明らかなように、子どもの学力と家計の経済状況の関係を明らかにするためには、学力に影響を与えうるその他のさまざまな要因を一定に保ったうえで、その影響を統計的に検証することが必要となる。」 読後感として、正直腑に落ちないところが多かった。その他のさまざまな要因としているものが、もちろん先天的な点は除いたとして、結局家計の経済状況が大きく影響しているとしたら、結局家計の経済状況が学力格差をもたらしているということのような気がしてならないからだと思う。
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経済格差が学力格差を生んでいる、と、漠然とした認識が世間にはあるが、それは本当なのか?を、追跡的に集めたデータで紐解いていく。データ収集の難しいテーマで、完全に突き詰められてはいないとの吐露があったが、内容は非常に興味深かった。 所得と学力は、相関関係であるが因果関係はない。小学...
経済格差が学力格差を生んでいる、と、漠然とした認識が世間にはあるが、それは本当なのか?を、追跡的に集めたデータで紐解いていく。データ収集の難しいテーマで、完全に突き詰められてはいないとの吐露があったが、内容は非常に興味深かった。 所得と学力は、相関関係であるが因果関係はない。小学校高学年になると成績の順位が固定化する。問題行動に親の学歴や所得は影響していない。などなど、データにより明らかにされる。要望があるとすれば、、、変数が多く、また、影響が絡み合ってるので、モデル化してもらえたら、理解がしやすかった。
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パネルデータで数年間にわたって追跡調査。 親の財力が子の教育格差に影響するのは疑えないのだが、親の学歴や有職、子の資質、きょうだい数や出生時の健康状態なども要因要えあることを示し、一概に国が教育支援を短期的に行ったところで、所得格差が解消解あれるわけではないことを結論づけている。...
パネルデータで数年間にわたって追跡調査。 親の財力が子の教育格差に影響するのは疑えないのだが、親の学歴や有職、子の資質、きょうだい数や出生時の健康状態なども要因要えあることを示し、一概に国が教育支援を短期的に行ったところで、所得格差が解消解あれるわけではないことを結論づけている。 統計学って数値で分かりやすいけれど、それで見えない要因もあることをきちんと断っている。勉強きらいな子、高校生なっても九九もできない子をむりやり大学に行かせてするのだ、といつも思う。
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各章の ”overview” と ”おわりに” だけ読めば内容学力分かる。 長年のデータ解析からおどろきの事実が分かる。 親の所得は教育に影響するのか 日本経済新聞 朝刊 読書 (19ページ) 2016/8/14 3:30 本書は、親の所得が子どもの学力水準に与える影響を分析...
各章の ”overview” と ”おわりに” だけ読めば内容学力分かる。 長年のデータ解析からおどろきの事実が分かる。 親の所得は教育に影響するのか 日本経済新聞 朝刊 読書 (19ページ) 2016/8/14 3:30 本書は、親の所得が子どもの学力水準に与える影響を分析した学術書である。両者にマイナスの因果関係があるなら、親の所得の低さが子どもの将来の所得にも悪影響を与え、経済格差が世代間で固定あるいは拡大してしまうという深刻な問題を社会に生じさせる。 従来の日本の研究では、ある一時点のデータを使い、両者にマイナスの関係があることを示してきたものの、所得以外の家庭環境やその他の要因からの影響を十分考慮しておらず、因果関係までを検討する段階に至っていない。所得がどのようなメカニズムを通じて学力水準に影響を与えるのかも検討されてこなかった。 研究が停滞してきた一因は、政府が分析に必要なデータを整備してこなかったことにある。因果関係やメカニズムの分析には、家庭環境に関する詳細なデータに加え、子どもの生来の能力などの特性も考慮する必要がある。個人レベルでの複数時点のパネルデータの構築が不可欠である。 編著者たちによる研究グループは、資金、労力ともに多大な負担が生じる「同一の子どもを一定期間にわたって追跡調査し、異なる時点における家庭の状態と、子どもの学力(認知能力)や心理(非認知能力)などの計測」を全国の小学1年生から中学3年生を対象に実施した。 本書は、日本で初めて収集された画期的な調査であるパネルデータを使い、子どもの学力や心理に与える親の所得水準や子どもへの関与の度合いを様々な角度から検証した厳密な実証分析の結果を紹介している。 一般読者に配慮し、実証分析の手法などに関する簡潔な解説を随所に加えている。家庭環境が子どもの学力などに与える影響に関し、9つの章で様々な興味深い結果を報告している。 従来の結果と大きく異なる発見の一つが、親の所得が必ずしも子どもの学力などに影響を与えない可能性を指摘したことである。一方、親の教育投資や学校参加が、子どもの学力を規定する重要な要因であることを指摘している。 この分析を嚆矢(こうし)として、親の所得、親の子どもの教育への関与の度合い・タイミング、学校の選択と学校の教育の質が子どもの学力などに与える影響についての分析といったより総合的かつダイナミックな研究に発展させることが望まれる。 本書で展開されている研究手法が広く活用され、教育政策に関する研究がさらに深まることを期待したい。 (有斐閣・3100円) ▼赤林氏はシカゴ大博士課程修了。現在は慶応大教授。直井氏は慶応大博士課程単位取得退学。現在は同大准教授。敷島氏は慶応大博士課程単位取得退学。現在は帝京大教授。執筆者は合わせて8人。 《評》学習院大学教授 乾 友彦
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安田先生オススメされた。 赤林先生のシノドスの論考は見たことある。 横断的なクロスセクションデータでは世帯所得と学力は相関が見られるのですが、パネルデータからの2観測点の固定効果モデルでは有意差が消失するようで、何らかの観測されない要因が両者に影響を与える事が想定されている。 ...
安田先生オススメされた。 赤林先生のシノドスの論考は見たことある。 横断的なクロスセクションデータでは世帯所得と学力は相関が見られるのですが、パネルデータからの2観測点の固定効果モデルでは有意差が消失するようで、何らかの観測されない要因が両者に影響を与える事が想定されている。 また、後半の節で、世帯内蔵書数、専用の学習机の有無、親のPTA・学校行事の参加が集団内での学力格差を小さく(分散を小さく)する事が示唆されている。 但し、まだ二点間のデータ観測しかできておらず、結論や示唆、想定には留保がある。
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