シェイクスピア の商品レビュー
本書はシェイクスピアの生涯や喜劇、悲劇それぞれの特徴やポイントとなる部分を列挙する。シェイクスピアは数々の作品を生み出したたぐいまれの才能を持ったが、貴族出身でないことや本が希少だった時代に幅広いジャンルを扱ったことから、シェイクスピアの人物像は謎に包まれた。実際、依然として謎...
本書はシェイクスピアの生涯や喜劇、悲劇それぞれの特徴やポイントとなる部分を列挙する。シェイクスピアは数々の作品を生み出したたぐいまれの才能を持ったが、貴族出身でないことや本が希少だった時代に幅広いジャンルを扱ったことから、シェイクスピアの人物像は謎に包まれた。実際、依然として謎の部分はあるが、本書を読むと、ある程度の情報はつかめる。作品の背景知識については、シェイクスピア作品の出版に関わった友人のリチャード・フィールドが重要で、彼のつけで、過去の歴史に精通できたと著者は言う。また妻のアン・ハサウェイや友人の情報から、シェイクスピアは卓越した才能を持っており、複数人説を否定する。 またシェイクスピア作品では、タイムスリップが特徴、つまり、客観的な時間(クロノス)よりも主観的な時間(カイロス)を重視したことや舞台構造が日本の古典芸能と類似すること、さらに作品内のセリフの多くが韻文で構成されるなど、専門家ならではの知識が満載である。 喜劇と悲劇については、前者がアイデンティティの喪失が重要で、後者が人間の身の丈の大きさの認識がポイントだと解説する。ほかにも、道化の役割は登場人物の自身の愚かさを認識させるため、幅広い人間像を描けたのは哲学者ニコラウス・クザーヌスの影響があったためなど、既に作品に触れた読者にとっても刺激的な本である。
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マザーグースからシェイクスピアに来た。死後400年経っているのに作品が今でも生きている。シェイクスピアは欧米人の一般常識らしい。紫式部や清少納言は日本人の一般常識…になるのか…?トトロは日本語で見るのに限るようにシェイクスピアも原文のまま読んだり、見たりするのがいいんだろうな…。...
マザーグースからシェイクスピアに来た。死後400年経っているのに作品が今でも生きている。シェイクスピアは欧米人の一般常識らしい。紫式部や清少納言は日本人の一般常識…になるのか…?トトロは日本語で見るのに限るようにシェイクスピアも原文のまま読んだり、見たりするのがいいんだろうな…。(理解できればね…
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前半でシェイクスピアの人物像を、時代背景とともに、生立ちから亡くなるまでを概観。後半は作品を通して、その魅力や哲学、伝えたかったテーマなどを解説。 プライベートに関する資料は、本人が多くを処分したという下りがある。そのため、残っている記録などに推測を補って前半が構成されている。...
前半でシェイクスピアの人物像を、時代背景とともに、生立ちから亡くなるまでを概観。後半は作品を通して、その魅力や哲学、伝えたかったテーマなどを解説。 プライベートに関する資料は、本人が多くを処分したという下りがある。そのため、残っている記録などに推測を補って前半が構成されている。ロンドンで時に猛威を振るう疫病の恐怖、カトリックの弾圧、イギリス王位の交代による派閥の盛衰などが大きな時代背景。抜群の記憶力を駆使して、すらすらと美しい文章を綴ったシェイクスピアの作品は、人の心を強く打つ力を持っている、と締められている。 後半部分から 「場所が自在に変わり、時間を飛び越える」のも観客の想像力次第、これが魅力。 理屈を超えた面白さ、頭で理解するのではなく、感じるもの。 道化的な矛盾、主筋と副筋、二重のアイデンティティを可能にする変装、 暗さに支えられた光の劇。 悲劇の本質はヒューブリス(神々に対する思い上がり、傲慢)にある。 心の目で見る、信じる力、人は常に明日を信じて生きる、「信じる」行為には新たな世界を拓く力がある。 空き時間に少しずつ読んだので、前半と後半を並行して読んでいった。意外にも2〜3年前に出版された新しい本。
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シェイクスピアの生涯を辿る前半はやや退屈だったが、筆者が「シェイクスピア・マジック」と呼ぶその手法を解説する後半からは俄然面白く読めた。 ・観客に興奮させたい場面ではわざと時間を速く進める。客観的時間の「クロノス」と主観的時間の「カイロス」を巧みに使い分ける。 ・言葉一つで瞬時...
シェイクスピアの生涯を辿る前半はやや退屈だったが、筆者が「シェイクスピア・マジック」と呼ぶその手法を解説する後半からは俄然面白く読めた。 ・観客に興奮させたい場面ではわざと時間を速く進める。客観的時間の「クロノス」と主観的時間の「カイロス」を巧みに使い分ける。 ・言葉一つで瞬時に場所を移動できる。 ・自由自在な場所設定。場所の設定は観客の想像力に任される。 ・オクシモロンであるうちは喜劇、悲劇の本質はヒューブリス シェイクスピアの時代、舞台に幕はなく、狂言と同じ張り出し舞台だった。 プロセニアム(額縁)舞台が主流となった西洋近代演劇では、『三統一の法則』(時の統一・筋の統一・場所の統一)を守る写実性が志向されたが、シェイクスピアの時代は違ったのだ。 シェイクスピアは高校時代に読み漁った。もちろん面白いと思ったからこそ何冊も読んだわけだが、その全てを理解できたわけではないし、違和感を覚えることも少なくなかった。違和感を覚えるとはつまり、マジックにうまくはまれなかったということだが、それも仕方ない。シェイクスピアはお芝居なのだ。舞台で見てこそ真価を発揮する。しかも、三統一に慣れた感覚で読むことに間違いがあった。 ところで、「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」 あまりに有名な翻訳だけど、これは罪作りな訳ではないか。自分含め誤解してる人は多いと思う。直球で「やるべきかやらぬべきか、それが問題だ」の方がまだ原文の意図は伝わったのではあるまいか。詩的でないという問題が残るけど。
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シェイクスピアの生い立ちや当時の演劇、政治と宗教事情が半分、喜劇と悲劇についての解説、そして、シェイクスピア作品の哲学。 作品論について、もっと突っ込んだものが読みたい。
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よくまとめてあって面白かったし、勉強になった。最終ちかくになるところでは、最近学んだこととかが繋がったしおもろしかった。 時代を反映させることや、哲学的なとこ。
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