池井昌樹詩集 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この選詩集は池井昌樹さんの十一冊の詩集から選ばれた、百十八篇の作品が収録されています。 巻末の、谷川俊太郎さんのエッセイに 「‘ここはどこ いまはいつ ぼくはだれ‘が池井さんの詩の第一主題だと私は考えている。それと重なり合って池井さんの第二主題は家族、身内への愛と言っていいだろう。(中略)池井さんの結婚生活が実際にどんなものであったかは知らないが、詩の中に見え隠れする妻や子どもたちのイメージを追っていると、彼が妻子の存在を生きる支えにしていることが想像できる(中略)感傷的であることを現代詩は避けてきたけれど、感傷は人への、そして世界の全てへの情の深さを切り離せない。感じることで喜びとともに傷つくことを恐れない池井さんの作風には、感傷的と言われる心の状態が、ときに魂まで測鉛を下していると感じられるところがある」とかかれています。 私も、最近、色々な方の現代詩を読んでみているのですが、池井さんの作風に親近感を覚えたのは、その二つの主題と、感傷性によるものなのかもしれないと感じました。 「銀河のむこうで」 「晴晴」 「一輪」 「ほんとうは」 「優しい雨の」 「寒雀」 などが特に心に残りました。 「真珠」 なにか死よりもとおいもの かなしいものに こころこめこころくだいて 泣きながらまたわらいながら ここまでともにきたのだけれど なにか死よりもとおいもの かなしいものを ほんとうはもうおもいだせない どこかにしまってあるはずの もうどこにもない ほのあおい真珠(たま)
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