オーリエラントの魔道師たち の商品レビュー
時代もいろいろの中編集。 魔法を扱う者は、闇を身の内に抱えており、人の昏い欲望にも応え、引き受ける、というようなこれまでも語られてきた精神が、頑なに貫かれている。 解説にもあるが魔法の種類がさまざまなのが面白い。焼き物に力を込め、その皿や杯を使うことで願いが叶ったりする陶工魔導師...
時代もいろいろの中編集。 魔法を扱う者は、闇を身の内に抱えており、人の昏い欲望にも応え、引き受ける、というようなこれまでも語られてきた精神が、頑なに貫かれている。 解説にもあるが魔法の種類がさまざまなのが面白い。焼き物に力を込め、その皿や杯を使うことで願いが叶ったりする陶工魔導師とか。 良かったのは「闇を抱く」かな。権利も自由も制限され、虐げられることも珍しくない女たちが秘かに立ち上がり、戦う物語。辛い目に遭うのは全て夫など男たちのせいなのに、魔法による闇を抱えることを承知するという理不尽を乗り越えてでも、逃げ場のない女を助けようとする、いわば人情味あふれたおばちゃんたち。ひとたび本気になれば、女の方がずっと賢く強い、男はバカだ、と言わんばかりの展開が痛快。
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今までで一番おもしろかった。 乾石さんの長編はやや苦手なので、短編でちょうど良かった。 物語にも入り込みやすかったし、読んでいてほっとした。
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夜の写本師から読み続けてきて なんだか懐かしい感じが胸にじわじわ。 この作品には壮大さはありませんが それだけに この世界を生きた魔道師や 夜の写本師たちが 自分自身も含めた 多くの人々の切なる求めがあってこそ 生まれるべくして生まれた存在なのだと 虚構でありながら ...
夜の写本師から読み続けてきて なんだか懐かしい感じが胸にじわじわ。 この作品には壮大さはありませんが それだけに この世界を生きた魔道師や 夜の写本師たちが 自分自身も含めた 多くの人々の切なる求めがあってこそ 生まれるべくして生まれた存在なのだと 虚構でありながら ある種の実感に 包まれました。 憎悪も欲望も愛もある当たり前の世界。 私たちの世界にも 魔道師はいます。 きっと。 決して美しい物語ではないのに 不思議に心が豊かになるのです。 乾石智子さんの作品って。
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シリーズ初の短編集。単行本版とは収録作が異なるが、今回、文庫化されなかった1編は、別に文庫化されるようで良かった。 様々な魔法が登場するのが面白い。それぞれにルールがあり、法則があり、『魔法』イコール『何でも出来る』ではない。 何処か物悲しいストーリーも良かった。
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