匿名交叉 の商品レビュー

降田天(著者)

2018/11/13

児童向け雑誌の担当を外された編集者の楓は、娘のコスプレ衣装を自作する〈ソラパパ〉のブログにコメントを残したことから、過去のブログを匿名掲示板に晒されてしまう。そのことから陰湿なストーカー被害に遭うようになった。一方ら〈ソラパパ〉こと棚島は、家庭や職場でのストレスを解消するため、ブログで粘着してきた〈色葉〉を破滅に追い込もうとする……。

途中から怪しいとは思ってたけど、ちゃんと明らかになって繋がった時のすっきり感はさすが。謎を余すことなく明らかにしてくれるから気持ち良い。ただ内容的にはなかなかしんどい。ひたすら娘が可哀想で、事実を知るこの先を考えると絶望しかない。そして楓も、あまりにも人生が翻弄されすぎてて辛い。彼はただただクズ。その辺のストーリーテリングが巧みであっという間に読めた。

2018/06/23

なかなかのイヤミスっぷり。登場人物を誰も好きになれない感じだった。ストーリー展開は面白くてグイグイ読めるんだけど…好きなキャラがいないわー( ´_ゝ`)

2017/04/23

面白い！ 全300頁の2／3に当る194頁に出てくる夢乃のセリフ「あの女と別れて」を読んだ時，すぐに意味が分からなかった．公務員の棚島．出版社の勤務する綾野楓．それぞれが別個のストーリーで展開するなかで，次第に絡み合ったくる ぞくぞくする感覚を醸し出しているのが秀逸だ．ブログで＜ソラパパ＞を演じる棚島，それに対して批判的なコメントを投げかける＜色葉＞の楓．植物人間状態になった棚島の妻深雪．楓の幼少時の事件に絡む今西司．身近な人が意外な行動を取ることが一般的ななってきた現代の風潮を，著者は表現したかったのかなとも感じた．複雑なプロットを考えた著者の構想は素晴らしい．

2017/02/08

最後にすべてが解き明かされる！もう一度読み返したくなる！的な作品、10年ぐらい前まではドキドキしながら読んでいたけれど、最近はあまり興味がなくなってきた。本の好みが変わったのか、そういう作品を読み飽きただけなのか。
「このミス」ファミリーとなっての２作目。前作同様、読後感の良いものではない。一気読みにはおすすめ。
2017/1/20読了

2017/01/18

「女王はかえらない」からの降田天2作目

まず、昭和感がする古めで地味な装丁が気になりながら読み始めた。

物語は、題名のように色々な人物の人生が交叉し、つながっていく。
匿名だからこその攻撃性と恐怖。
追い詰められていく…

最後にたくさんの伏線の説明、ネタばらしを一気に書き過ぎていて、ちょっと興ざめ。
説明的ではなく、もっとじんわり分かる感じ、又はあれってこうだったのかな…？とちょっと疑問が残る程度のネタばらしがいいな～。

2016/11/28

心に傷のある女編集者と、寝たきりの妻を持ち、娘を実家にあずけて、東京で仕事をする男。
男の趣味である、パッチワークのホームページを見た女が、男を批判する投稿をしたことから始まる、女に対する誰かの謎のストーカー行為。
　なかなかややこしい内容。実は男が自分の内縁の夫で、いろんな人が複雑に絡み合って、最終的にみんなが不幸になるような内容。

2016/10/07

何の因果か、知ってか知らずか、「明日の食卓」に引き続き、育児系のお話。

所謂「イヤミス」で名を馳せている湊かなえが書く作品も、真梨幸子のそれにしても、主人公はもちろん女性だし、腹に一物も二物も抱えている登場人物は、当たり前の様に女性であった。

本作はイヤミス系に分類されるのだろうけど、珍しく、男性の中に潜む女々しさや、男性特有の狡猾さが描かれていて、なんだか新鮮だったし、面白かった。

ただ、最後に伏線大回収作業という名の、完璧なまでのネタばらしというか、大解説がされていて、本編でここまで大解剖しなくともって思ってしまったのは、森博嗣の読みすぎだろうか…。

個人的には、このミス大賞の前作よりもこちらが好み。

2016/09/28

担当雑誌を外された編集者の楓、娘のコスプレ衣装を自作し製作過程をプログにアップする「ソラパパ」、二人の実生活とブログやSNSを通した匿名でのやりとり。
子どもがいるとかいないとか、家庭を顧みない男とか、題材はうんざり。でもラストはまあまあ驚かされた。
(図書館)

2016/09/14

アラサーの編集者綾野楓は、娘のコスプレ衣装を手作りして発表している「ソラパパ」のブログに批判的なコメントをしたことから、過去のブログを匿名掲示板にさらされ、ストーカー被害に遭う。
一方「ソラパパ」こと棚島は、ブログでしつこく絡んでくる「色葉」を破滅に追い込もうと企てるが･･･
匿名の二人がリアルで交叉するとき、驚愕の事実が！
これ、一種の叙述ミステリーなんだろうな～。でも、想像つくところもあり、伏線が多すぎてとっ散らかった感もあり、やられた～！と最後にスカッとする展開には至らず残念。
ただ、やっぱり、SNSの世界は怖いと思った。
匿名掲示板からリアルな情報を探っていくあたり、もうネットに書き込みできないよ～と思ってしまった。

2016/08/11

女性編集者の楓が経済産業省に勤める棚島のブログに辛辣なコメントをしたことがきっかけでネット上でいがみ合い、次第にお互いの日常生活や心の闇が顕になってきます。二人が交叉した時に明かされる真実は確かに意外なものでしたが、凝った作りのせいで登場人物がごちゃごちゃしているのと、伏線回収が説明口調なため、鮮やかさはあまり感じられませんでした。