世界インテリジェンス事件史 の商品レビュー
主要各国のインテリジェンス機関の特徴と活躍ぶり、また『統帥綱領』をベースに日本のインテリジェンスについて考えていく。 スパイと聞くと、アメリカのCIA、イギリスのSIS(MI6)、ソ連KGB、イスラエルのモサドなどを思い浮かべる。以外ではあるが、CIA誕生の経緯とその実力は奇...
主要各国のインテリジェンス機関の特徴と活躍ぶり、また『統帥綱領』をベースに日本のインテリジェンスについて考えていく。 スパイと聞くと、アメリカのCIA、イギリスのSIS(MI6)、ソ連KGB、イスラエルのモサドなどを思い浮かべる。以外ではあるが、CIA誕生の経緯とその実力は奇妙である。1942年、CIAの前身OSSが創設されたが、そのきっかけは日本軍の真珠湾であった。真珠湾奇襲を事前に防げなかったことから、インテリジェンス機関が必要だと判断した。著者曰く、CIAはスパイ衛星や盗聴技術で優れているが、アメリカの軍事力が極端に強いということから、インテリジェンスが育ちにくいという。また組織の官僚化が進んでおり、それで試験の成績が良い人ばかりを採用する。つまり仮にその人が無能でアルコール依存症であったとしても、高学歴だから採用という形になり、それが結果的に組織の硬直化を招いている。 また本書では日本陸軍のインテリジェンス能力についても検証する。著者の見解では、太平洋戦争で敗北したとはいえ、インテリジェンス能力は世界有数で、陸軍中野学校の教訓や陸軍上級将校が用いた『統帥綱領』は現在でも有効だと評価する。日本のインテリジェンス能力を強化するためにも、丁寧に読み込むべきだとすすめる。
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テーマ自体はサブカルチャーの嗜好にも資するもので、刊行時から日が経っても題材としての鮮度を感じる。 個人の華々しい才覚が世界を揺るがす英雄譚に近い物語をフィクションノンフィクションに関わらず望んでしまうが より大きなスケールで組織としてのインテリジェンスのあり方が、ますますグロー...
テーマ自体はサブカルチャーの嗜好にも資するもので、刊行時から日が経っても題材としての鮮度を感じる。 個人の華々しい才覚が世界を揺るがす英雄譚に近い物語をフィクションノンフィクションに関わらず望んでしまうが より大きなスケールで組織としてのインテリジェンスのあり方が、ますますグローバル化が進む混沌とした世界で肝要になるのは自明だろうか。
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