一私小説書きの日乗 遙道の章 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
4冊目の日記集。前作の流れのまま同じフレーズを多用した日常の生活記録だったが、引き続きずっとオモシロいのだから著者の読ませる力が相当あるのだと思う。個人的に残念だったのは表紙絵。今回は手書き原稿が表紙になっているが、過去作の味わい深い黒と色のコントラストの絵であってほしかった。 前作からの違いといえば頻繁に自炊しているところ。カレーをかなりの頻度で作っていた。あと行きつけの信濃屋では、お店で締めの丼や麺を食べていたのに、そこを我慢して「仕上げ」と称してわざわざ1人で別のラーメン屋で締めるようになっている。もともとtoo muchな食事はますます加速、もはや畏怖の念を抱くレベルだった。この食生活だと54歳で亡くなったのは納得せざるを得ない。 テレビ出演の頻度は下がり作家業として締切に追われる生活が克明に描かれている。不規則な中でもクリエイティビティを発揮しようとストラグルする姿勢がカッコよかった。特に書けないときのもどかしさを食事、飲酒、買淫というストレートな欲求で紛らわせている点が正直でオモシロい。なお「買淫」という言葉は風俗へ行ったことを明示しており、その感想(あたり/はずれ)を最初の日記から毎回書いている。こういった内容に嫌悪を抱く気持ちは出版当時よりも加速している社会において「ほんとのこと」を書く彼の作家としての矜持を感じた。読んだ皆が感じるであろう「喜多方ラーメン大盛り」とのコンビネーションが生むグルーヴ、これはまさに人間の業だと思う。こんなに端的に人間の欲を表明している表現もそうそうない。 基本的に繰り返しの日常の中でも人への悪口を書く場面があり、そこでの筆が踊るかのような文体がたまらなかった。極めて露悪的だと思うものの、ここまでの表現になると完全に芸だと思えた。流行りの論破とかそういうレベルではない。特にネット記事の記者に対するネチネチした罵詈雑言の精度がめちゃくちゃエグかった。残り三作も楽しみたい。
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平成26年6月から最近までの日記。著者の日常が手に取るように伝わってくる。盗み見根性は全開発動。定期的な買淫には、当たりがあり、ハズレがあり、大当たり、一応の当たりなどもあり、なかなか笑える。食って寝て原稿書いてテレビに出たり、時には病に臥せることも。延々とこれが繰り返され、とり...
平成26年6月から最近までの日記。著者の日常が手に取るように伝わってくる。盗み見根性は全開発動。定期的な買淫には、当たりがあり、ハズレがあり、大当たり、一応の当たりなどもあり、なかなか笑える。食って寝て原稿書いてテレビに出たり、時には病に臥せることも。延々とこれが繰り返され、とりたてて何か起こるわけでもない。最後まで淡々とした日常が続き、読後はぶつ切り感さえ漂う。にもかかわらず病みつきになってしまう魔力はさすがとしか言いようがない。
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怖いものみたさで毎回読んでいる日記シリーズ。不摂生に性格の悪さの西村賢太にこの一年何が起こったか?身体的には痛風、腰痛、風邪あたりだが、これは毎年のことなので特に記載することではないのかもしれない。食事は今年は回転すしが入ってきてるのが特徴で36個とか尋常ではない。これも同じの口...
怖いものみたさで毎回読んでいる日記シリーズ。不摂生に性格の悪さの西村賢太にこの一年何が起こったか?身体的には痛風、腰痛、風邪あたりだが、これは毎年のことなので特に記載することではないのかもしれない。食事は今年は回転すしが入ってきてるのが特徴で36個とか尋常ではない。これも同じの口答えできない相手を罵倒する習性は今回はあまりなく、ネット上の評論家程度。これは無理からぬところがあるが、そのネチネチぶりは西村節です。 編集者イジメは今回は一番なくて角川の編集者がキモイというくらい。それと稲垣潤一がよく出てきてる。前半は珍しく仕事をキチンとしていて後半は2ヶ月ぐらい原稿を飛ばしたりしているが、体調もあるので致し方ないところ。 意外とためになる贔屓の紹介では、真梨幸子が気になる。暗さ、不幸に反応する西村さんらしいイヤミスの一人者らしい。読んでみたい。 食べたものを丁寧に書いてる日もあれば、何も書いてないときもある。そのあたりはある程度一定にして欲しいですね。
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