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ソースの歴史 の商品レビュー

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2024/02/11

「空腹は最高の調味料」は『善と悪の究極について』内のキケロの言葉 アンドルー・F・スミスはケチャップを「調理場のエスペラント語」と呼んだ イタリア初の国民的料理書「料理の科学」の著者ペッレグリーノ・アルトゥージによると、あるやたら人の話に口を出す出しゃばり祭司のあだながドン・ポモ...

「空腹は最高の調味料」は『善と悪の究極について』内のキケロの言葉 アンドルー・F・スミスはケチャップを「調理場のエスペラント語」と呼んだ イタリア初の国民的料理書「料理の科学」の著者ペッレグリーノ・アルトゥージによると、あるやたら人の話に口を出す出しゃばり祭司のあだながドン・ポモドーロ(トマトさん)だった、トマトは何にでも入るから、ということだそうだ。 XO醤は、コニャックの最高級ランク名を元にしている。

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2021/02/27

フランス文学の教授が書いた本、珍しく洋書の翻訳モノを読んだ。本書は洋書独特の小難しい表現があまりなく、読みやすかった。紹介されるソースの数々は主にヨーロッパのもので、日本のものは登場しない。 ソースを「単体では料理とは言えず、料理に添えて味を広げるもの」といった定義で広く捉え、...

フランス文学の教授が書いた本、珍しく洋書の翻訳モノを読んだ。本書は洋書独特の小難しい表現があまりなく、読みやすかった。紹介されるソースの数々は主にヨーロッパのもので、日本のものは登場しない。 ソースを「単体では料理とは言えず、料理に添えて味を広げるもの」といった定義で広く捉え、一口にソースと言っても様々なものとその歴史を紹介。各国の食文化と結びつき、いずれもこってりしたイメージの料理が数多く登場する。 子供の頃ソースと言えば、ブルドックソースの、あの濃いカラメル色のやつだけだと思っていた。いまだにソースと言えばあれを思い起こす。日本でかつてソース文化が無かったのは、出汁だったり醤油という万能調味料が圧倒的な存在感があったからではないか、という話をちょうど会社の先輩としていた時に読んだ一冊だった。

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2016/09/27

 「食」の図書館シリーズをいろいろ取り上げてきているが、今回は「ソース」がテーマだ。ソースと言っても「ソースは謎めいた存在」と著者が述べているように、ウナギのごとくつかみどころがない。そもそもソースとは何ぞ屋から始めないといけないから厄介だ。  とは言っても一定の特徴があると...

 「食」の図書館シリーズをいろいろ取り上げてきているが、今回は「ソース」がテーマだ。ソースと言っても「ソースは謎めいた存在」と著者が述べているように、ウナギのごとくつかみどころがない。そもそもソースとは何ぞ屋から始めないといけないから厄介だ。  とは言っても一定の特徴があると著者は述べている。ソースは食品と一緒にあり、液体であることが多く、料理の味付けに使われる、いわばサブの役割を果たす。  そんな役割を担っているソースがいかに古代から今に至るまで存在しているのか明らかにしている。  ソースがなかったら、食が進まない可能性があると思ったら、ぞっとする。ソースがあると料理にバリエーションが増えていろいろな形で食べることができる便利な存在だ。食欲の秋だけに、ソースの歴史を紐解くのもいいかもしれない。

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2016/08/19

 表題通り、さまざまなソースの歴史をたどる本。個別記述的なところが多いので、手広くいろいろなソースの歴史をたどるなら、本書は比較的コンパクトでよいのかもしれない。  ソースというのは、ディップ、グレイヴィ、ドレッシングなど似たようなカテゴリがあり、そもそもの定義が難しい。という...

 表題通り、さまざまなソースの歴史をたどる本。個別記述的なところが多いので、手広くいろいろなソースの歴史をたどるなら、本書は比較的コンパクトでよいのかもしれない。  ソースというのは、ディップ、グレイヴィ、ドレッシングなど似たようなカテゴリがあり、そもそもの定義が難しい。というのは、実はこの食の図書館シリーズでは定番という気もする。  ただ、ソースというのはもともと食の調和を図るために添えられるものだったらしい。とくに古代ギリシア・ローマや中世のヨーロッパでは、医学的な点から体液のバランスを図ることが重視され、そのために食材の性質を打ち消すソースというものが欠かせなかった。それがルネサンス時代になると、医学的な原則に逆らって美味しさを優先したソースが現れ、宮廷にも用いられるようになる。  そこから広がるソースの世界は膨大なもので、それこそ個別記述的にならざるをえないところなのかもしれない。そのなかでも、マスタードとイタリアのモスタルダが、ベル果汁(発酵前のブドウ果汁)を意味するマスト(must)という語根で繋がっていたり、ケチャップという言葉はインドネシアのケチャップに由来し、これはイスラム支配下のスペインで作られていたエスカベーシュと似ているなど、思わぬつながりが見えてきて面白い(が、正直な感想をいえば、こういうつながりに焦点を絞った本があるような気もするので探してみたい)。  この本では世界のソースから共通点を取り出し「4つのマスターソース」にまとめている。  一つ目は、酢を使ったソース。トマトケチャップ(アメリカ)、エスカベーシュ(ラテンアメリカ)、チミチュリ(アルゼンチン)などがつながる。  二つ目は、マヨネーズ。フライドポテト(ベルギー)、オランデーズソース(オランダ)、アイオリ(スペイン)、アヴゴレモノ(ギリシャ)など。  三つ目は、辛いソース「赤い革命」。ハリッサ(北アフリカ)、モーレ(メキシコ)、タバスコ(アメリカ南部)など、大陸を超えた拠点がある。  四つ目は、発酵ソース。大豆醤油(日本)、魚醤(東南アジアなど)、ガルム(ギリシア、ローマ)など、歴史のあるものが多い。  結局のところ、これらに共通するのは「うま味」を与える添え物だという点だという。味や香りを足し、主役を活かす調味料。この本をきっかけにして、その「うま味」の変遷について考えるのも面白いかもしれない。

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2022/06/01

ソースってなんだろう。まだ日本人のかなり多くの人が、ソースというのはプラスチックの容器にはいった「とんかつ」とか「中濃」とか書いてあるアレのことだと思っているのだろうか。日本のソース、としては醤油はもちろんのこと、ポン酢醤油やらテリヤキソースやらが紹介されている。 日本のソース...

ソースってなんだろう。まだ日本人のかなり多くの人が、ソースというのはプラスチックの容器にはいった「とんかつ」とか「中濃」とか書いてあるアレのことだと思っているのだろうか。日本のソース、としては醤油はもちろんのこと、ポン酢醤油やらテリヤキソースやらが紹介されている。 日本のソースは美意識を優先している、のだそうだ。食材の美しさを強調する料理に、色の濃いソースをそえるのは、日本人の美意識に反する。 まあ、日本のソースなどが登場するのはごくわずかで、やはりフランスが圧巻である。ソースを理解するためには言語の壁がある。たぶん日本のソースも海外の知らない人に説明するのは大変だろう。また日本の話になっちゃったが、ソースで大事なのは「うま味」というから、やはり日本的だ。 本書は、ソースをある程度定義しつつ、その枠から外れるかもしれないものも含め、さまざまなソースを紹介し、そのルーツや使われ方を探る。XO醤って変な名前だなあと思っていたけれど、ブランデーからとった、ようするに高級だといいらしい。 なんていう風に、断片的な話もいいけれど、やはりソースというものの奥深さに打ち震える本である。本書を読めば確実にオリジナルソースを作ってみたくなるはずだ。見たことのないソースのレシピもある。知識欲は満たせるが食欲が暴れだす本。

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