川村毅戯曲集 2014-2016 の商品レビュー

川村毅(著者)

2017/04/04

「生きると生きないのあいだ」：便利屋のハリーの元へやって来た吃音癖らしきジョニー。ハリーは彼を雇う。便利屋へ電話を掛けてくる者は癖のある人物ばかりで…/ハードボイルドと幻想譚を混ぜ合わせた不思議な味わいの作品。孤独な女性の独白部分が特に冴えている。「ドラマ・ドクター」：シナリオライターに、脚本についてアドバイスをするためのドクターがいる。様々なライターが集うことで物語世界は混乱し始め…/混沌具合が楽しい。最後は収まるべき所に収まった、と言えるかも？「愛情の内乱」：土地からの立ち退きを断固拒否する母親。彼女にはひきこもりの二男がいる。そこへ戦地から帰還した長男と、新たなコミュニティ作りを目指す三男坊が戻って来る。彼らの様子を撮影している男も何やら腹に一物抱えているようで…/母親役が白石加代子だったとのこと（！）。母と息子の呪縛が苦い後味を残す。