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謎解き印象派 の商品レビュー

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2021/05/23

印象派画家たちにまつわるエピソード、その誕生秘話や絵の技法がわかりやすく丁寧にまとめられた解説本。 モネ、ルノワール、マネ、ドガ。印象派の中心画家たちの絵も随所に掲載されており、ビジュアルでも楽しめる内容となっている。 印象派ファンとしては、新しい発見もあり、為になる一冊でした...

印象派画家たちにまつわるエピソード、その誕生秘話や絵の技法がわかりやすく丁寧にまとめられた解説本。 モネ、ルノワール、マネ、ドガ。印象派の中心画家たちの絵も随所に掲載されており、ビジュアルでも楽しめる内容となっている。 印象派ファンとしては、新しい発見もあり、為になる一冊でした。 ・印象派たちは今でいう「インディーズ」という表現が面白かった。 美術品の大口の発注をすることが可能な公的機関といえば国家。 その国家から、官舎や劇場の装飾の仕事を得るための登竜門とされるのが「サロン展」だった。 サロン展で入選できなかったモネ、ルノワールたちは画家たち同士で立ち上がり、展示を企画する。 それが「印象派展」だ。 その自主的な行動力から、印象派が生まれることになった。 印象派展では、「下手」「下品」「下絵みたいだ」と世間の評判は散々だったけど、彼らの地道な努力により、次第に理解されるようになる。 ・画材の発展も、印象派の飛躍にも関係していたようだ。 使い捨てチューブ入り絵の具が出来たことで、画家たちは屋外制作に繰り出すようになった。 ・モネとルノワール モネとルノワールの仲の良いこと!色んな本を読んだけど、この2人のエピソードを読むたび、微笑ましくなる。 この2人は20歳頃で出会い、その付き合いは60年ほども続く。 同士であり、盟友。互いにとって理解者であり、モチベーションにもなる存在だったんだろうなぁ。 画塾で知り合ったモネとルノワール。(もう一人、バジールという裕福な友人もいて、ルノワール、モネの貧困を支えていたという) そこで教育方針に嫌気がさしていたモネ。 画学生の基礎課程であるルーブル美術館での古典名画の模写よりも窓の外の景色を描いていたという。 ルノワールと連れ立ちフォンテーヌブローの森に繰り出して風景画を描いていた。 いつか、原田マハさんに、この2人を主人公にした物語を書いて欲しいと密かに思っている。 ・モネとマネ 彼らは当時も名前が似ていることでよく間違えられていたようだ。 あるとき、後輩であるモネの出品作を彼の作品と間違えられてマネは激怒したという。 数年経って、マネが好んでいた画家たちが集まる「カフェゲルボア」にようやくモネを誘った。 そこでは、マネとドガは議論を繰り広げ。モネ、ルノワールは聞き役。セザンヌは無骨だけど確固たる信念で時折発言をしたという。 「カフェゲルボア」での印象派たちの会話。想像するとワクワクするな。 ・絵の対比 印象派画家たちの画法の対比も記載されており、興味深かった。 「マネは明暗の対比を強調したのに対し、モネは全体が明るく仕上げられている」 「マネは写実主義の延長上にある」 「ドガはモネより都会感覚がある」 「水面模写について。モネはリゾート感覚。ルノワールはファッショナブル」 ・モネとカンディンスキー。 抽象画家のカンディンスキーは、「積みわら」(2枚目)の鮮やかな色彩に圧倒されたという。 私は大学時代、カンディンスキーが結構好きだったので、この繋がりは嬉しく感じた。 ・マネとルノワールが描いたモネ一家 マネの援助でアルジャントゥイユに住んでたモネ一家。マネはカミーユと息子のジャンにモデルを依頼し、「庭のモネ一家(3枚目)」を描いた。 後からきたルノワールも同じシーンを描いた。(4枚目) マネとルノワールの描いたモネ一家。 それぞれ構図やタッチも個性があり、その違いが面白い。 この2枚の絵、モネ一家の空気感も感じられるし、好きだな。 やっぱり、私は印象派たちの感性が好きだな、と思った。 モネは、 「描かれた絵ではなく今、目の前で描かれつつある絵の美しさ」に惹かれたという。 モネは、移りゆく自然の瞬間を捉えるのに晩年まで苦労したというが、その美への追求心は、連作を始め、彼の作品を見るとしっかりと伝わってくる。

Posted byブクログ