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いつか まあたらしい朝が来て 誰も知らない星の種が爆ぜる 生まれたものは帰る 喜々としてみな還る きんいろのひかりに ちいさな顔がほほえむ 奇跡でも幻でもなく 世界をふたたびあたためる薪よ 死にくべられた荒野に萌えわたる息吹よ はるかな指の頂から燦然とよみがえる冬の言葉(ほ...
いつか まあたらしい朝が来て 誰も知らない星の種が爆ぜる 生まれたものは帰る 喜々としてみな還る きんいろのひかりに ちいさな顔がほほえむ 奇跡でも幻でもなく 世界をふたたびあたためる薪よ 死にくべられた荒野に萌えわたる息吹よ はるかな指の頂から燦然とよみがえる冬の言葉(ほのお)よ (「冬の言葉」より) * * * いのちの生成と再生を詠う、静謐な求道者のような詩集だと思った。無辺の宇宙から微塵な原子まで、闇の告発も希望の光もひとくるめに孕んだ詩たちが、どれもとても音感ゆたかにひろがってきて、ふしぎと元気をもらえた。 * * * らんらんと目が冴えて眠れない 幾千の夜の薬玉を割る 水たまりに ちゃらん 月あかりに ぽらん 眼裏に漆黒の紙吹雪あでやかに 散り敷く未曾有の喜劇とふり返れば いずれも似たり寄ったり よろめきながら虚空へ消える 見ず知らずのおまえ わたし いっそ連れ立って この世の果てまでちゃらんぽらん (「無番号フール」より) ………この宇宙のどこかに必ずきみがいる ………ぼくは宇宙の嗅覚だからわかる (「知覧の仔犬より」より)
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