ボタニカル の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
植物に寄生されたボタニカル病の人たちを救う樹木医の雨宮芙蓉。 義父に恋した女子高生の迷い。 流産した双子のこの一人の記憶を忘れかけていた母親。 認知症の老人が思い出の場所で作り出した笑顔あふれる家族団欒。 がん患者の体に蔦を這うように寄生する沙羅双樹。 ボタニカル病患者はそれぞれに抱えた思いが 植物と一緒に様々な不思議な現象を作り出している。 芙蓉自身も、父と同じボタニカル病に取り憑かれている張本人だった。 植物と不可思議な現象。ファンタジー。
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美しくて儚くて、まさに花のような本。 水に濡れると花びらが透明になる花があるなんて、ちっとも知らなかった。すごいな世界。
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植物に寄生された「ボタニカル病」に侵された人を治す「樹木医」の紡ぐ、幻想的な短編集。ふわふわとした雰囲気の物語は、けれど季節の移ろいと患者たちとの交流のその果てに、「意外性」が用意されている。 その酩酊を誘う結末は、幸せとも不幸せともつかない、浮遊感を誘うものなので、どこか心落...
植物に寄生された「ボタニカル病」に侵された人を治す「樹木医」の紡ぐ、幻想的な短編集。ふわふわとした雰囲気の物語は、けれど季節の移ろいと患者たちとの交流のその果てに、「意外性」が用意されている。 その酩酊を誘う結末は、幸せとも不幸せともつかない、浮遊感を誘うものなので、どこか心落ち着かない感覚にさせられるのだけれど、いっしょにたゆたいたい、と思うような危険な誘惑にも満ちています。 なんというか、ハッキリした輪郭を持つ物語、きっぱりとしたエンドマークのつくお話ではないので、もやっとした感覚は後に残るだろうから、万人向けではないだろうけれど…、独特のうつくしさに満ちた世界観は魅力的だと感じたお話でした。
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自分自身久しぶりの読書だったのですが、児童文学のような読みやすいファンタジー小説で、活字に対する良いウォーミングアップになりました。 植物が体に寄生するという珍しい病気を持つ患者と、それを治すお医者さんのお話。こういう人たちがもしかして実際いるのかもしれないな、と思えるような現...
自分自身久しぶりの読書だったのですが、児童文学のような読みやすいファンタジー小説で、活字に対する良いウォーミングアップになりました。 植物が体に寄生するという珍しい病気を持つ患者と、それを治すお医者さんのお話。こういう人たちがもしかして実際いるのかもしれないな、と思えるような現実とファンタジーが丁度良いバランスのお話だと思いました。 ファンタジーといっても、ほわほわ幸せなお話じゃなくて、読後感は心がチクチクと哀しい・・・。そんなお話でした。
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夢と現が混ざり合っている雰囲気がいい。特に冬の話が良かった。沙羅双樹に寄生された老人は、治療をせずにこのまま沙羅双樹に包まれて命を終えたいと望む。痛みも感じず、しだいに眠る時間が増えて、ふわふわと、好きな花の中で永眠する。素敵な最期だな。
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植物に寄生される人々と、彼らを治療するべく奔走する若き樹木医の芙蓉と彼女を支える心療内科医・朝比奈の四季を彩る花々と人間の物語。 ラストパートにかけて読了感が、全てを奪うような切なさ、いとおしさが、安定の有間カオル節でした。 めっちゃ良かったです。
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ボタニカル病の謎を解明するというテーマが大きくあるが、物語の根本にあるのは芙蓉と医師朝比奈の愛である。お父さんの言葉ではないが、いつか出口が見つかって自由になれたらいいのだけど。
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植物に寄生される未知の病「ボタニカル病」の治療に取り組む樹木医・芙蓉。実際、このような病気はなく、ファンタジーの要素もかなりたっぷりな作品。四季折々の花のエピソードからなる連作短編集だが、最後の章の芙蓉についての話は、少し意味が分からず、ちょっと残念な読後感。
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Twitterで見かけてファンタジーかと思っていたら、ミステリーの棚にあって「あれ?」と思いましたが、確かにミステリー。種明かしのところがもう少し書き込まれてもいいような気もしたけれど、その前に世界に引きずり込まてしまっているのであのくらいの感じがよい気もする。
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