ことばは光 の商品レビュー
私は、現役時代に福島先生のお話を聞いたことがあります(勤めていた銀行のトップが盲ろう協会の支援者であったため、銀行で講演会が開かれました)。 その際、光を失い、その後音をも失った人が、大学教授となられたことにたいへん驚かされました。 先生と先生のご家族(とりわけ、お母さま)の...
私は、現役時代に福島先生のお話を聞いたことがあります(勤めていた銀行のトップが盲ろう協会の支援者であったため、銀行で講演会が開かれました)。 その際、光を失い、その後音をも失った人が、大学教授となられたことにたいへん驚かされました。 先生と先生のご家族(とりわけ、お母さま)の人生を描いた映画『桜色の風が吹く』も観て、お母さまが盲ろうになった先生とコミュニケーションするための「指点字」を生み出したシーンでは、涙が止まりませんでした。映画では、多くの引用が出てきて、その意味するところがわかりませんでしたが(例えば、吉野弘の詩『生命は』)、本書を読んでよく理解できました。 本書は、『天理時報』に掲載されたエッセイを中心にまとめられていますが、私たちの心を打つ名言が散りばめられています。 先生は「自殺を考えなかったのか」と何度も訊かれたそうです。「行きたくても生きられかった人が、この世にはたくさんいるのだ。それなのに自殺をしていいわけがない」という思いがあって自殺を真剣に考えたことはない、とのことです。そして先生がすごいのは、「俺にもし使命というものが、生きるうえでの使命というものがあるとすれば、それは果たさねばならない。そして、それを為すことが必要ならば、この苦しみの時をくぐらねばならぬだろう」と考えられたことです。 先生のエッセイは、教訓めいたものばかりではなく、思わずクスリと笑ってしまうユーモアに溢れるものも多々あります。食わず嫌いせずに、是非多くの人に読んでいただきたいです。
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お世話になったマッサージの先生を想いながら読んだ。コミュニケーションが大事だと思いながらも、人と関わることを避けている自分がいて、そんな自分に優しく問いかけてくれる本だった。 点字で先生に手紙を書こうと決めた。
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この人はすごいなんて言葉では片づけられない。9歳で失明、19歳で失聴し、人生に絶望してもおかしくない。それどころか自分で盲ろうとなった意味付けをしている。 そんな福島さんが生きる姿勢として大切にしているのが「自分を主語にして生きること」苦難を受け入れ、意味付けてきた彼だからこそ伝えられることがある。 福島さんはまた「人生における最大の悲劇は、死ぬことではなく恋をしなくなることである」という言葉を紹介している。 恋とはただ恋愛のことではなく、なにかに夢中になることがすごく大事だということを説いていると解釈しておられます。 俺は個人的なことだが、この本を読んでいるとき、就職活動と卒業研究の忙しさで、文句ばかり言っていた。 けれど、俺自身で選んできたにも関わらず、「誰誰が」「~~のせいで」などと自分を主語にすることを避けていた。 それに伴う自分の責任から逃れられるのと引き換えに、人生の醍醐味を失っていることに気づかせてもらった気がする。 おれも福島さんのように人生をデザインできる存在に、そして常に恋何かに恋をしていこう。
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