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映画の奈落 完結編 の商品レビュー

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2023/02/21

やくざ映画に端を発した殺人事件が起こる。その経緯を描くドキュメント。 起こるべくして起こった事件だった。 やくざと芸能界の密接な関係、高度成長期の高揚とした世界、邦画が娯楽の中心にあった時代、その空気が感じられたよい作品だった。

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2017/11/12

公開直後に、映画と同じシチュエーションでモデルとなった組長が殺害された伝説のヤクザ映画の魔と奈落。 「仁義なき戦い」から始まる東映実録ヤクザもの。時流に乗ってヒットプログラムになった実録モノが、何故終焉を迎えたのか。「北陸代理戦争」を舞台に、関わった男たちの壮絶な生きざまが、正に...

公開直後に、映画と同じシチュエーションでモデルとなった組長が殺害された伝説のヤクザ映画の魔と奈落。 「仁義なき戦い」から始まる東映実録ヤクザもの。時流に乗ってヒットプログラムになった実録モノが、何故終焉を迎えたのか。「北陸代理戦争」を舞台に、関わった男たちの壮絶な生きざまが、正に実録で描かれる渾身のドキュメント。

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2017/04/26

[地獄より深きところへ]松方弘樹を主演に迎え,ヤクザ映画の転換期に上映された東映の『北陸代理戦争』。この映画の上映からわずか数か月後,主役のモデルとなった「北陸の帝王」が映画の展開とまったく同じように殺害される。関係者に衝撃を与えたその暗殺劇に,いったい『北陸代理戦争』はどれほど...

[地獄より深きところへ]松方弘樹を主演に迎え,ヤクザ映画の転換期に上映された東映の『北陸代理戦争』。この映画の上映からわずか数か月後,主役のモデルとなった「北陸の帝王」が映画の展開とまったく同じように殺害される。関係者に衝撃を与えたその暗殺劇に,いったい『北陸代理戦争』はどれほど関わりを持っていたのか......。映画(特に脚本)とヤクザという業について掘って掘って掘り下げまくった一冊です。著者は,自身も映画の製作及び脚本を担当した経験を持つ伊藤彰彦。 あらすじに惚れ込んで購入したのですが,その期待をまったく裏切らない作品。70年代を中心とする東映ヤクザ映画についても,北陸の裏社会についてもまったく知らなかったのですが,この2つの社会が「下剋上」というキーワードを軸にして『北陸代理戦争』でお互いの業を混じり合わせていく過程にグイグイと引き込まれました。興行師と裏社会の関わりがどういったものだったかについて知ることができたのも◎。 〜「創作意欲をかきたてるネタを掴むと,貪欲に食いつくし,前後分別を忘れる......それが活動屋の本能や。奈落を招いたのは活動屋の業や」〜 次は映画を観てみようか☆5つ

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2016/07/26

 かつて、実録やくざ映画というジャンルがあり、そのモデルとなった組長が映画公開後に殺される事件があったなどとは知らなかった。  映画が花形産業であったころ、役者や監督ここまで過酷な環境で作品を撮っていたのかと驚く。あと、ほんとにやくざが社会の一機能として組み込まれていた時代があっ...

 かつて、実録やくざ映画というジャンルがあり、そのモデルとなった組長が映画公開後に殺される事件があったなどとは知らなかった。  映画が花形産業であったころ、役者や監督ここまで過酷な環境で作品を撮っていたのかと驚く。あと、ほんとにやくざが社会の一機能として組み込まれていた時代があったんだなぁと。

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2018/02/19

ありえません、きっと今じゃ。映画と現実、虚と実、裏と表、ファンタジーとドキュメンタリーが入り乱れて、スクリーンの上での殺人が現実の殺人を引き起こしていくなんて。南米の幻想小説みたいなことが北陸の小さな街で起こっていく。この東映映画の暴走がプログラムピクチャーの最期の花火であること...

ありえません、きっと今じゃ。映画と現実、虚と実、裏と表、ファンタジーとドキュメンタリーが入り乱れて、スクリーンの上での殺人が現実の殺人を引き起こしていくなんて。南米の幻想小説みたいなことが北陸の小さな街で起こっていく。この東映映画の暴走がプログラムピクチャーの最期の花火であることは今だからわかること。その後、映画興行は一本立ての洋画型大作過ぎになっていくのです。それにしても制作者も観客も役者もヤクザも何に急き立てられていたのでしょうか?時代は何に欲望を掻き立てられていたのでしょうか?

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2016/06/18

1970年代、それまでの映画のメインストリームであった時代劇や任侠劇を葬り去った「仁義なき戦い」に代表される実東映実録やくざ映画シリーズ。その実録モノの勢いにも陰りがぼ見え始めた1977年にトラブル続きのある映画が撮影された。はじめは菅原文太主演で仁義なきシリーズとして撮られるは...

1970年代、それまでの映画のメインストリームであった時代劇や任侠劇を葬り去った「仁義なき戦い」に代表される実東映実録やくざ映画シリーズ。その実録モノの勢いにも陰りがぼ見え始めた1977年にトラブル続きのある映画が撮影された。はじめは菅原文太主演で仁義なきシリーズとして撮られるはずだったのだが、菅原が降板し、結果として冠名称が失くなり、助演の渡瀬恒彦も撮影中にジープが横転してあえなく降板。ロケは警察の邪魔と記録的な大雪の中で延期に告ぐ延期といった状況。高田宏治の渾身の脚本と、実録モノの雄である深作欣二監督との努力により何とかクランクアップ、上演にこぎつけるのだが、興行的には全くの失敗。そして極めつけは主人公のヤクザが親分を殺ることを宣言して終了する本編に触発されて、主人公のモデル(実在の現役ヤクザ)が映画の封切の2ヵ月後に親分(ボンノとあだ名される伝説のヤクザ)に実際に映画の1シーンにそっくりな形で殺されてしまうこととなった。。 この東映実録やくざ映画シリーズの"鬼っ子"である「北陸代理戦争」と実話である三国事件との関係性、そして当時の映画界の雰囲気と脚本家、監督ら"映画屋"の生き様と業の深さを作者が丹念に取材をして描き出すノンフィクション。事実は小説より奇なりとはよく言ったものだがこの本では現実の北陸ヤクザの話と映画の脚本とが混ざり合い、実にスリリングな展開が紙上で起きる。ただ、筆者が脚本とその稼業の論評に深化し過ぎるが故に、途中でちょっと読み飛ばすような場面もありすこし残念だった。 まあ、AKBの総選挙でも直前に人が刺されるようなことがあったが、盛り上がり過ぎた事象には必ずカタストロフィがある。それだけ70年代の実録やくざ映画にはエナジーがあったということなのだろう。

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