自由への構造 の商品レビュー
古代ギリシアからカントに及ぶまでの西洋の政治哲学の歴史をたどっています。 サブタイトルに「現象学の視点からのヨーロッパの政治哲学の歴史」とありますが、「あとがき」には、「この書物で、私は政治を何よりも現象として、―つまり一切のイデオロギーや理論的先入見に汚される前の「現象」とし...
古代ギリシアからカントに及ぶまでの西洋の政治哲学の歴史をたどっています。 サブタイトルに「現象学の視点からのヨーロッパの政治哲学の歴史」とありますが、「あとがき」には、「この書物で、私は政治を何よりも現象として、―つまり一切のイデオロギーや理論的先入見に汚される前の「現象」として見ることを試みた」と書かれており、そのような観点からマキャベリやボーダンが評価されています。著者の問題意識は十分に理解できるものの、一通り目を通した限りでは、現象学的な考察はそれほど目立たないと感じました。 古代や中世の政治・社会思想史が比較的詳しく紹介され、著者自身の立場からの論評が加えられているので、先に読んだ山本誠作『西洋社会思想史』(松籟社)の内容を補足するという意味で、役に立ちました。
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