期限切れのおにぎり の商品レビュー
震災当時の対応や状態がわかる本を探していて、本書にたどりついた。やや政治よりの目線だったところ(政権や体制批判、政治家などの話)の部分はあまり興味を持てなかったが、それぞれのトップに立たされた人たちがどのように判断をしていったのか、何か人災につながるのか、原発などの社会問題につい...
震災当時の対応や状態がわかる本を探していて、本書にたどりついた。やや政治よりの目線だったところ(政権や体制批判、政治家などの話)の部分はあまり興味を持てなかったが、それぞれのトップに立たされた人たちがどのように判断をしていったのか、何か人災につながるのか、原発などの社会問題について、考える機会を得ることができて、よかった。 現場目線での生の声、というよりは、現場に直面したトップの危機管理をする人たちの生の声、といった感じだった。しかし非常事態というのはいつ起こるかわからないし、何かの判断を仰ぐ立場になることは、いつでもあり得る(国家レベルではなく、家庭レベルとかでも)。 判断とその判断での影響や責任が、ひとりきりなら自分で決められるが、組織とか複数人(夫婦や家族でも)になったとき、判断するのが逆に難しくなる側面があると思う。判断にあたる人が多ければ、それだけ知恵もでるかもしれないが、たとえば上から隕石が落ちてきたときに、「えっ、どうする?右?左?」とお互いに顔を見合わせる時間が生じてしまうデメリットがある。 ある意味、直感頼りで乗り切らなければいけないところというのはあって、それが、非常時には特に目立つが、やはり常時から非常時にスムーズに動けるようにそういう決断力や英断出来る勇気というのは養っておくべきだと思った。そのためには、何かあった時のための言い逃れやお題目やそういった「守り」の姿勢ばかり固めるのではなく、本当に国民全体にとって、何が求められているのかを常に考える姿勢が、政治や上に立つ人間には求められる。 普段の危機管理ができなければ、非常時の危機管理もできない。国をひとりの体にたとえると、理論理論で考えて行動しているよりも、ある程度直感で行動してから、その埋め合わせを行うために後から理論を働かせる、というのでいい気がする。それは、災害時に一時的な不平等が生じた後に、政治はその後埋め合わせまで責任をもつ、とすればいい、という話を受けてもそう思った。 大なり小なり、自分が身近に感じたり課題だと思うことが見つかったりして、あまりこういうジャーナリズム的な本は読まないのだが、たまに読むのは面白いなと思った。会社や組織で判断が求められる立場にいる人にはおすすめ。
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