妖怪の賃貸事情(1) の商品レビュー
前作『第三次性徴期、大塚くん!』のシュールさとラブコメっぷりに随分と笑わせてもらったので、次回作は、どんな内容になるのか、と楽しみにしていた 君塚先生は、そんな私の淡い期待など知らなかったはずだが、しっかり応えてくれた やはり、今作もシュールな内容 最近、増えている妖怪モノに乗っ...
前作『第三次性徴期、大塚くん!』のシュールさとラブコメっぷりに随分と笑わせてもらったので、次回作は、どんな内容になるのか、と楽しみにしていた 君塚先生は、そんな私の淡い期待など知らなかったはずだが、しっかり応えてくれた やはり、今作もシュールな内容 最近、増えている妖怪モノに乗っかったか、と思いきや、まさかの不動産ネタをそこに絡めてきたか 実際問題、妖怪だって、野生動物と同じく、環境開発で快適に住める場所が減ってきているのだから、プライドなんぞは捨てて、人間の社会に溶け込むしかないのだろう。それならそれで、なるたけ、自分の生活を豊かにしたい、イイ所に住みたい、と考えるのは人間も妖怪も、さほど変わらない そんな願望を持っている妖怪がいれば、当然、それを手助けする妖怪専門の不動産仲介業者がいても不思議じゃないな、と読み手を自然な納得へ導いてくる、この『妖怪の賃貸事情』 妖怪が家を探す、それだけ聞くと奇抜さしかない感じもするが、ストーリーの起承転結がしっかりしているのを読めば、君塚先生がシュールさだけで勝負を吹っ掛けてくるタイプではなく、地道にコツコツ、読み手に自分の良い印象を刻みつけてくる青年漫画家、と受け止められる 実際に、不動産会社へ取材に出向いたのか、意外と言っちゃ失礼かも知れないが、住居の説明がしっかりしており、「ふむふむ」と感心し、自分が部屋を探す際の参考の一部にも出来るのではないか 新人キャラ・田辺が毎度、妖怪の悪気のない性質に酷い目に遭わされつつも、ふとしたタイミングで、ある意味、妖怪よりも性質が面倒くさい上司で雅にやりかえす点も、ジョブ系のコメディとして質が良い 店を訪れる妖怪の個性も、悩みも様々で、最後まで飽きない点も悪くないな 次巻への期待は、定番かも知れないが、ライバル店の登場だな。そこの女社長が、どちらかと言えば、ダメ人間な雅にホの字で、あの手この手で振り向かせようとしてくるタイプだったら尚好し。また、田辺の部屋に憑りついてしまった座敷童の成長、田辺との関係の変化があるのかも楽しみだ どれも「ぷっ」、「クスクス」となれるものばかりだが、個人的に最も大きな笑い声が出たのは、第7話「ペロペロの代償」だ。天井舐めの性癖ってのは、誇張でも何でもなく、特別なモノにしろ、人間だって、アブノーマルな物を皮一枚の下に潜め、最高のエクスタシーを得られたのなら、121pの1コマ目のようになってしまうだろう この台詞を引用に選んだのは、大っぴらには言えないが、同意できる部分もあるな、と思ったので。このチャンスを逃したら、もう、こんなイイ物には巡り合えない、と直感したのなら、多少のリスクは負ってでも、その好機は掴むべきだろう。まぁ、この話は、そんなカッコいい感じではなく、どちらかと言えば、人間だけでなく、妖怪もあくせく働いて金を溜め、最良の物件を得るより、現時点の条件ですぐに住める方を選ぶ、と言う楽な方に転ぶんだな、と思った訳だが
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