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世阿弥 の商品レビュー

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2021/05/10

神道の研究者であり思想家である著者が、世阿弥を中心に古代から現代にまでいたる日本思想史上のさまざまなテーマを参照し、みずからの思索を展開している本です。 著者は本書の冒頭で「現代大中世論」という独自の考えを提出しています。これは、古代と近代、中世と現代に共通の問題が見られるとい...

神道の研究者であり思想家である著者が、世阿弥を中心に古代から現代にまでいたる日本思想史上のさまざまなテーマを参照し、みずからの思索を展開している本です。 著者は本書の冒頭で「現代大中世論」という独自の考えを提出しています。これは、古代と近代、中世と現代に共通の問題が見られるというものであり、世阿弥の思想のうちに現代の問題に通じるようなアクチュアリティを見いだすことができるという本書の基本的な立場が示されます。 ところが著者は、中世という時代のなかに世阿弥を置きなおしてその思想を解釈するのではなく、古代にまで通じるような思想的要素を求めようとします。たとえば能囃子の不協和音的な戦慄に、縄文時代の石笛の響きとの共通性を見ようとします。さらに世阿弥における「身心変容技法」を追求していくにあたって、能舞台における「鏡の間」から日本神話における「天の岩戸」や洞窟壁画へとさかのぼって、自由な連想にもとづく議論が展開されています。 興味深く読むことのできたところもあったのですが、全体を通じて著者の思想に関心のある読者向けの本であり、世阿弥に関心のある読者向けの本ではないように思えてしまいました。著者の思想が下敷きになっていて、そのうちに世阿弥を位置づける試みがおこなわれているように感じます。

Posted byブクログ

2017/08/05

74頁まで読んで、能を知るには良い本であることが分かったが、もともと関心の低かった私は少々疲れて、一休み。再読できるか?

Posted byブクログ