世界の英語ができるまで の商品レビュー
様々な英語に関して書かれた本。 RPやエスチュアリー英語、コックニーに関して調べると、今まで知らなかった情報がありました。英語変種や近年注目されているWorld Englishesに関して調べる際に最適であると思います。 →地図と内容をエスチュアリー英語に関する発表にて引用。
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面白かった! 英語は昔は粗野で表現力に乏しい言葉だったが、それらを補う為にラテン語やフランス語やギリシャ語等から言葉を取り入れた。その為今では英語の半分はラテン語とフランス語から構成されることになった。同じフランス語からの借用語でも方言や時代を変えて重複して借用したことにより、似...
面白かった! 英語は昔は粗野で表現力に乏しい言葉だったが、それらを補う為にラテン語やフランス語やギリシャ語等から言葉を取り入れた。その為今では英語の半分はラテン語とフランス語から構成されることになった。同じフランス語からの借用語でも方言や時代を変えて重複して借用したことにより、似たような意味の借用語ができたということは興味深かった。そしてフランス語から借用された言葉は元を辿ればラテン語に由来するが、つづりは全く変わってしまったのでルネサンス綴り字というラテン語に近い形に修正する運動が行われた。昔は方言や発音の違いで綴りは何通りもあったが色んな運動や本の出版により徐々に規則性や統一性が出てきた。 世界各地に英語が広がった理由はイギリスの植民地化に伴うものが大きいなと思った。 各地に広がった英語が進化してクレオールという言葉ができたが、それでも模範とする英語はイギリス英語みたいだ。
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難しいなあと思っていた単語はギリシア語からのことばだったり、中学や高校でみっちり学んだ文法はせいぜい100年ちょっとで、テストでバツをつけられたミスもある時代や地域では正解だったりという新しい事実を知れた 英語に対してより軽い気持ちで考えられそう!
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英語を勉強していく中で、単語や文法・細かいスキルだけではなくて、そもそも「英語という言葉について、もっと深く知ってみたい」と思ったことのある方に、ぜひともオススメしたい本です。 本書は、(1) 英語という言葉が、5 世紀ごろにブリテン島で話されるようになってから、どのよう...
英語を勉強していく中で、単語や文法・細かいスキルだけではなくて、そもそも「英語という言葉について、もっと深く知ってみたい」と思ったことのある方に、ぜひともオススメしたい本です。 本書は、(1) 英語という言葉が、5 世紀ごろにブリテン島で話されるようになってから、どのような経緯を経て現代の英語になったのか、(2) またその英語が、イギリス国内からどのようにして世界各地に広がっていったのか、(3) そして広まった先々で、どのような変種(訛り・方言)を発達させていったのか、ということが非常に詳しく(また平易な文体で)解説されています。 英語の歴史がわかっていると、自分の話す英語により一層の深みが出ますし、小説を読んだりするときにも描写の細かい機微に気づけるようになります。また、歴史に興味・関心がなくても、今現在世界各地でどのような英語が話されているか、その訛りや方言について知ることは、「へ〜そっちではそんな風に言うんだ!」という瞬間の連続で、純粋に楽しいことだと思います。 ある人の歩んできた人生や経緯を知ると、その人のことを憎く思えなくなるように、英語について知れば知るほど、だんだん英語に愛着が湧いてくるはず。英語がもっと好きになりたい方、ぜひ本書を手に取ってみてください。(Takafumi さん)
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アングロ・サクソン人によってイングランドにもたらされた 英語。 ほんの一地域の言語が、他言語との葛藤、 足りない語彙を補充、洗練、基本の統一・・・と、 もまれにもまれて、いまや世界中に広まり、 世界の共通語となっていったか。 その過程・・・おおもとのイギリスに始まり、 他地域にも...
アングロ・サクソン人によってイングランドにもたらされた 英語。 ほんの一地域の言語が、他言語との葛藤、 足りない語彙を補充、洗練、基本の統一・・・と、 もまれにもまれて、いまや世界中に広まり、 世界の共通語となっていったか。 その過程・・・おおもとのイギリスに始まり、 他地域にも考察を広げ、歴史と兼ね合いながら、 語彙・発音・文法・方言等、多彩に“英語”を教えてくれる。 ハリー・ポッターの文がイギリス英語とアメリカ英語で どう変化するのか?シェイクスピアの文章は? 原語の用例が豊富。地図もわかりやすい。 これだけ地域によって、発音や文法、綴りの違いを 知らされると、英語の許容力の豊かさがわかる。 いや~面白かった♪
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
16世紀初頭のルターに始まる宗教改革運動がヨーロッパ各地に広まると、宗教改革者たちはラテン語を理解しない民衆デモ聖書を読むことができるように、英語、ドイツ語、オランダ語、フランス語、ポーランド語、チェコ語などの土着語に聖書を翻訳した。そして、個人がそれぞれ聖書を読んで直接神と向き合うように説いた。 彼らは格調高いが専門家にしか理解できないラテン語訳の聖書よりも、拙いところがあっても誰にでも分かる土着語での聖書を重んじた。聖書の理解に関して、彼らは伝統や格式よりも実質を重んじ、とりあえず意味が通じ、内容が分かれば、多少不格好でもそれはそれでよいと割り切ったのである。 キリスト教の世界で起きたこの大改革は、他の分野の強雨国も影響を与えるようになった。つまり、宗教改革の精神が当時の教育熱を支え、英語による書物の出版を促進し、それにより英語のさらなる「社会進出」を後押ししたのである。(pp.51-52) 日本語の「昼飯」、「昼食」、「ランチ」がそれぞれ違う印象を与えるのと同じように、3層を成すこれらの語もそれぞれ印象が異なる。一般論として、本来語には、「昼飯」のような身近で大衆的な響きがある。それに比べ、フランス語系の語にはより洗練されたあるいは文学的な響きが、ラテン語系の語にはより専門的、学問的な響きがある。そして、ニュアンスの異なる同義語が時と場合に応じて使い分けられている。ただし、早い時期に借用された語を中心に、今となっては本来語と何ら変わりなく感じられる借用語も多くある。例えばwine, cheese, butter(以上、ラテン語借用語)や、air, fruit, oil, war(以上、フランス語借用語)などがそれである。 (中略)本来語は英語語彙の最も基礎的な部分を担っている。したがって、最も使用頻度の高い100語だけに話を限れば9割以上が本来語で、フランス語借用語は数語のみ、ラテン語やギリシア語からの借用語は1語も含まれない。このように、古英語期以来使われ続けてきた英語本来語は、英語語彙の中核となる基礎の部分を支え続けているのである。 一方、語彙数を増やせば増やすほど(語彙が高度になればなるほど)借用語び比率が増し、本来語の比率は低くなる。つまり、本来語の基礎の上に、計り知れなく分厚い借用語の層が覆いかぶさっているのが、英語語彙だということができる。(pp.59-60) 英語に入った日本語 最も早い時期の借用語はKuge「公家」で1577年に初出例がある。最も新しいのはSudoku「数独」で2000年が初出とされる。英語に入った日本語は、tatami(1614)「畳」、tabi(1616)「足袋」、soy(1696)「醤油」、matsuri(1727)「祭」、hiragana(1822)「平仮名」、netsuke(1876)「根付」など、日本の文化に関するものが多い(括弧内は初出年)(p.?)
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「『どこの馬の骨とも分からない』言語が、苦難の道を乗り越え、ついには比類ない地位を築くサクセス・ストーリー」(p.5)というのは英語史を形容する文句としてよく用いられるが、特に従来の英語史の入門書とは違い、「英語が世界にどのように広まり、各地でどう発展しているのか」(同)を重点...
「『どこの馬の骨とも分からない』言語が、苦難の道を乗り越え、ついには比類ない地位を築くサクセス・ストーリー」(p.5)というのは英語史を形容する文句としてよく用いられるが、特に従来の英語史の入門書とは違い、「英語が世界にどのように広まり、各地でどう発展しているのか」(同)を重点的に扱った本で、類書にはない「新しい英語史」を提示している。具体的には、第1章で古英語から近代英語まで(=イングランドにおける英語史)、第2章ではイギリス国内で英語が拡がっていった歴史(=イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ等における方言)、第3章ではいよいよイギリスから抜け出してアメリカ・カナダの英語、第4章でオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ等の「南半球」に伝わった英語、第5章でカリブ海地域、アフリカのピジン・クレオールを含めた英語、第6章では主にインドやシンガポールといったアジアの英語について、その特徴や発達の様子について概観する。 特に第2章以降は、これだけ英語(学)の勉強をしていてもまだこれだけ聞いたこともないようなことがあるのか、という気にさせられるくらい、World Englishesの発達史について知ることができた。「大母音推移」なんて英語史の常識だけれど、そこから大母音推移の影響を受けなかった方言があるということ自体知らなかったし、似たようなものに「南半球連鎖推移」(Southern Hemisphere Chain Shift)として、「例えば、fish and chipsは、オーストラリア英語ではfeesh and cheeps, ニュージーランド英語ではfush and chupsと綴ることができそうな発音となる」(p.217)というのは知らなかった。「カナダ英語の歴史」なんて、いかにもマニアックな感じが、何とも言えない面白さを感じさせる。カナダ英語を作ったのは、一つにはイギリスからの独立に花たいしてアメリカを去った「ロイヤリスト」であり、もう一つはアメリカと戦うためにイギリスやアイルランドから移住した人々、ということらしく、言語的にはCanadian Raisingと呼ばれる現象があることも知らなかった。シンガポール英語のlahと同じような間投詞的なものがカナダ英語でもあって、ehを使う、なんていうのは、かろうじて学部の授業で教わった気がする。 さらには途中までは英語と同じ歴史を辿った「スコッツ語」や「英王室属領英語」(Crown dependencies)の英語、とか言って「マン島語」が出てきたり、果ては「初期AAVEの特徴を留めたガラ語(Gullah)」というのがあるらしく、これは「サウス・カロライナ州やジョージア州沿岸のシー・アイランズ(Sea Islands)に住む約25万人の人々によって使われる」(p.254)言語らしい。ガラ語の実例も載っているが、まさにチンプンカンプンだ。 とにかく知らないことだらけで、まさに新しい英語史、というか英語方言学の地平を見たような感じで、面白かった。クレオール化の話で、「人間に備わる『言語本能』の働きにより、こうした人々の間では、元のピジン英語にはなかった文法・語法の体系が形成され、語彙も整備される。これにより、単なる片言の英語とは異なる新たな言語、クレオール英語が生まれた」(p.241)というところで、イギリスの植民地が作られた島々で「それぞれ別々に発達したにもかかわらず、これらのクレオール英語はかならいの程度煮た特徴がある」(同)というのは、言語の普遍性を探求する生成文法的な視点でも面白いのではないかと思った。(16/06/27)
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