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読書は格闘技 の商品レビュー

3.8

48件のお客様レビュー

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2017/05/03

対立する見解を主張する本を戦わせるような形式で紹介する本。 組織論やグローバリゼーションについて多様な見方があることを知れる。

Posted byブクログ

2017/04/11

本屋に行けば「ブックガイド本」というジャンルの書籍が並び、雑誌『サイゾー』でも「本特集」は人気の企画のひとつ。いったい、どんな本を読めばいいのか? という指針を探している人は少なくないようだ。しかし、ブックガイド本を読むくらいならば、そこに紹介されている本から手を取るほうが早いの...

本屋に行けば「ブックガイド本」というジャンルの書籍が並び、雑誌『サイゾー』でも「本特集」は人気の企画のひとつ。いったい、どんな本を読めばいいのか? という指針を探している人は少なくないようだ。しかし、ブックガイド本を読むくらいならば、そこに紹介されている本から手を取るほうが早いのではないだろうか? いったいなぜ人は「ブックガイド本」を手にとってしまうのだろうか?  『武器としての決断思考』(星海社)、『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)などで知られる瀧本哲史の新著『読書は格闘技』(集英社)は、「組織論」「グローバリゼーション」「教養小説」「児童文学」など、11のテーマごとに読むべき本を紹介するブックガイド本である。本書の中で、瀧本は「読書は格闘技」であり「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、『本当にそうなのか』と疑い、反証する中で自分の考えを作っていくという知的プロセス」と持論を展開する。瀧本は、いったいどのような形で「格闘」を繰り広げているのだろうか? いくつかの例を見てみよう。  本書の中で、瀧本はテーマごとに、アプローチの異なる2冊の本を取り上げる。「心をつかむ」というテーマであればカーネギーの名著として知られる『人を動かす』(創元社)とロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』(誠信書房)を、「組織論」というテーマであれば、ジム・コリンズ、ジェリーポラスの『ビジョナリー・カンパニー』(日経BPマーケティング)と、マキャベリの『君主論』(講談社学術文庫)をそれぞれ「マッチメイク」している。では、瀧本の立場はその2つの間に立つレフェリーなのだろうか?  褒めるところは褒め、批判するべきは批判する瀧本は中立を保つレフェリーに似ている。しかし、彼の役割は、勝ち負けをつけることではなく、2つの書籍にどんな使える「武器」が眠っているかを掘り起こすこと。『フラット化する社会』(日本経済新聞出版社)と、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』(集英社)を紹介する「グローバリゼーション」のページでは、2004年に刊行され、もうすでに「古典」と化している前者を「どこが古くてどこが新しいのか、何が一時的なブームで何が大きなトレンドなのかを自分で考えるための素材」として紹介し、アメリカ中心で描かれ、事象を単純化していると批判されることも少なくないる後者を「この20年間を冷静に振り返ってみると、各地域で『文明の衝突』とみられる紛争が数多く起きている」と擁護する。  また、「教養小説」のテーマでは、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』(岩波文庫)とともに、なぜかあだち充の『タッチ』(小学館文庫)が取り上げられる。「主人公が大人になるまでの過程を描く小説」と定義される教養小説というジャンルにおいて、両者を比較して見えてくるのは「大人」というイメージの変遷。方やヒロインの朝倉南をモチベーションとして、甲子園に出場しても野球を続けることに「疲れた」という個人的な自己承認の物語である『タッチ』に対し、「意識高い系学生」に似ているというヴィルヘルム・マイスターは旅をしながら新たな人物に出会い、自己を形成し、再び日常へと戻る。時代ごとに、「大人になる」という定義は異なっているようだ。  瀧本にとって、読書は、著者の高説を賜るものではなく、「武器」を引き出し「世界という書物を直接読破」するためのツールである。2冊の本を取り上げることによって、複眼的にテーマに迫る瀧本の姿勢から見えてくるのは、彼がどのように「世界を読解しているか」ということ。だから、文芸としての「読書の楽しみ」や狭い意味での「教養」はここには描かれていない(瀧本はあとがきで「教養について考えるのであれば、『自分にとって』読むべき本、読む必要のない本を判断することが『教養』と言えるだろう」と語っている)。  書物を読みこなすのではなく、世界を読みこなそうとしている瀧本の記した『読書は格闘技』は、単なる紹介には終わらない魅力を持っている。では、そんな瀧本の「格闘スタイル」から、読者はどのような武器を取り出すのか? ただのブックガイドにとどまらず、読者はそんな「格闘」に迫られることだろう。

Posted byブクログ

2017/03/09

題名はちょっとアレだが、中身は結構マジメ。ショウペンハウエルの『読書について』の批判から、様々なテーマから2冊を抽出し比較するという面白い試み。 抽出書籍には著者のバイアスがかかっているので、この対決が適切か否かの問題はある。が、フレームだけを応用するのはアリかな。やはりあるテー...

題名はちょっとアレだが、中身は結構マジメ。ショウペンハウエルの『読書について』の批判から、様々なテーマから2冊を抽出し比較するという面白い試み。 抽出書籍には著者のバイアスがかかっているので、この対決が適切か否かの問題はある。が、フレームだけを応用するのはアリかな。やはりあるテーマについて考える時は類書を何冊か読んで比較し、疑問や批判をしていないとダメだね。

Posted byブクログ

2017/01/25

現国のジャンルでとりあげられていた「山月記」や「オツベルと象」、懐かしい!子どもと読むべく速攻予約する。 絵本やディズニープリンセスの事例も面白い。 アナ雪しかり魔法にかけられてしかり、「規範(王道ストーリー)からの逸脱」があり、素直に内容を受け入れる子どもにはこれくらいのエッセ...

現国のジャンルでとりあげられていた「山月記」や「オツベルと象」、懐かしい!子どもと読むべく速攻予約する。 絵本やディズニープリンセスの事例も面白い。 アナ雪しかり魔法にかけられてしかり、「規範(王道ストーリー)からの逸脱」があり、素直に内容を受け入れる子どもにはこれくらいのエッセンスがあった方がいいかもしれない。 また、「取り柄のない男子がなぜかアイドル的な女子から好かれ、成長と自己承認していく」は売れた漫画のなかではタッチが最初とのこと。 いまやよくあるパターンだけど、あだち充は先駆者だね。 同じジャンルでコンセプトが対極にある本を比べ、反証したりしながら読み進めることで自分の主張を磨き理解を深めていく。

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2016/10/30

「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセスでもあるのだ」という著者が、いくつかのテーマで対立する本を選んで比較するという試みがこの本だ。対立しているか怪しい対戦も...

「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセスでもあるのだ」という著者が、いくつかのテーマで対立する本を選んで比較するという試みがこの本だ。対立しているか怪しい対戦もあるが、なかなか面白い試みである。 実際の戦いは以下の通り。 Round0: イントロダクション 『読書について』ショウペンハウエル vs. 『武器としての決断思考』瀧本哲史 Round1: 心をつかむ 『影響力の武器』※ チャルディーニ vs. 『人を動かす』※カーネギー Round2: 組織論 『君主論』マキャヴェリ vs. 『ビジョナリー・カンパニー』※コリンズ Round3: グローバリゼーション 『文明の衝突』ハンチントン vs. 『フラット化する世界』※フリードマン Round4: 時間管理術 『ザ・ゴール』※ ゴールドラット vs. 『ストレスフリーの整理術』アレン Round5: どこに住むか 『年収は「住むところ」で決まる』モレッティ vs. 『現代の二都物語』サクセニアン Round6: 才能 『天才を考察する』シェンク vs. 『さあ才能に目覚めよう』※ バッキンガム Round7: 大勢の考えを変える(マーケティング) 『ポジショニング戦略』※ ライズ vs. 『キャズム』※ ムーア Round8: 未来 『ニュー・アトランティック』ベーコン vs. 『一九八四年』オーウェル Round9: 正義 『アナーキー・国家・ユートピア』ノージック vs. 『正義論』ロールズ Round10: 教養小説ー大人になるということ 『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』ゲーテ vs. 『タッチ』※ あだち充 Round11: 国語教育の文学 『阿Q正伝・狂人日記』魯迅 vs. 『山月記・李陵』※ 中島敦 Round12: 児童文学 『ハリーポッターと賢者の石』ローリング vs. 『しろいうさぎとくろいうさぎ』ウィリアムズ 自分が持っている本/読んだ本に※を付けてみたところ、全13対戦26冊のうち、10冊が該当している。両方とも読んだことがある対戦が二試合。まずまずではなかろうか。やはり読んだことがある本が対戦している方が面白い。 この仮想対戦は、自分でもできそうな気がしてきた。 例えば「意識」についてジョン・サールとデビッド・イーグルマンやジュリオ・トノーニなどを対戦させても面白い。この分野はまだまだ面白い対戦がたくさんありあそう。 「民主主義」について高橋源一郎や柄谷行人と池田信夫を対戦させてもいいだろう。ルソーや東裕紀までを勝手に絡めても面白そうだ。 シンギュラリティについて、ミチオ・カクとレイ・カーツワイルというのもありだろう。悲観的な予測の本と対戦するのもいけるだろう。 進化論に関して、実際に行われたドーキンスとグールドの戦いを検証してもいいかもしれない。人類の進化に限っても楽しそうな対戦が組めそう。 トマ・ピケティとハイエクも面白いだろう。ロバート・ライシュなど経済の世界にはいろいろと対戦カードがありそうだ。 死刑制度やオウムについて、森達也なら対戦相手には困らないだろう。 マネジメントについては、ミンツバーグも対戦相手が多そうだ。 実際の対戦については、実際に読んでみて面白いかどうか感じてほしい。内容よりもアイデアやテーマや本の選択の方に興味をひかれた本。

Posted byブクログ

2018/10/31

ジョン・ロールズは、社会の中で自分がどの立場になるかわからなければ公平に決められると考えた(「正義論」)。 ロバート・ノージックは、国家が存在する以前の初期段階では、個人がお互いの権利を保護するための組織を自主的につくるが、その組織は規模の利益が働くため統合されて独占状態になるた...

ジョン・ロールズは、社会の中で自分がどの立場になるかわからなければ公平に決められると考えた(「正義論」)。 ロバート・ノージックは、国家が存在する以前の初期段階では、個人がお互いの権利を保護するための組織を自主的につくるが、その組織は規模の利益が働くため統合されて独占状態になるため、不必要な介入をしない最低限の機能をもった最小国家が各人の自由意思を最優先させるユートピアであると主張した(「アナーキー・国家・ユートピア」)。

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2016/10/11

戦略性が強くとも、その能力が役に立つ仕事がそれほどなかったりその仕事に求められる高いレベルにあってその人のレベルでは太刀打ちできないとしたら、役立たない。 強みというのは市場と競合との関係で決まるものであって、自分の中だけでは決まらない。 読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要...

戦略性が強くとも、その能力が役に立つ仕事がそれほどなかったりその仕事に求められる高いレベルにあってその人のレベルでは太刀打ちできないとしたら、役立たない。 強みというのは市場と競合との関係で決まるものであって、自分の中だけでは決まらない。 読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はない。イノベーションは全く違う分野の知識の有機的な結合によって起きることが各種の研究からほぼ定説になっている。

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2016/09/19

こういう本を、僕がいつか書きたいと思ってたんだよね。先を越されたなという感じ。 必ずしも対極にある主張の本同士ではなく、あくまで関連している本を並べての論評。一般書だけでなく、児童書などにも踏み込んでいるところが面白い。 本の内容を紹介して、最後にとってつけたような一般論を述べ...

こういう本を、僕がいつか書きたいと思ってたんだよね。先を越されたなという感じ。 必ずしも対極にある主張の本同士ではなく、あくまで関連している本を並べての論評。一般書だけでなく、児童書などにも踏み込んでいるところが面白い。 本の内容を紹介して、最後にとってつけたような一般論を述べておしまい、てなものとは全然違って、本の内容に関して著者の持論や意見を開陳したもので、個人的には書評はこうでないと、と思う。 蛇足だが、難易度の表示の仕方が逆じゃないか?普通Aがいちばん難しくてCがいちばん簡単っちゅう表示なのでは?

Posted byブクログ

2016/09/16

読書が格闘技かどうかはおいておいて、内容を鵜呑みにせず、批判的に読まなければならないのには同意です。 対比させている本が興味深いです。 何冊か読んでみたいなと思った本もあります。 読書案内としても、なかなか良いです。

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2016/08/28

 論文を書くとき、まず仮説を考案し、論拠を固めるための文献を提示していくが、陥りやすい罠がある。  引用する文献が仮説に対して肯定的なものばかりで、否定的なものを提示しないということである。  科学とは反証可能性を持ちつつ、未だ反証されていない仮説の総体なのだ。  書籍も...

 論文を書くとき、まず仮説を考案し、論拠を固めるための文献を提示していくが、陥りやすい罠がある。  引用する文献が仮説に対して肯定的なものばかりで、否定的なものを提示しないということである。  科学とは反証可能性を持ちつつ、未だ反証されていない仮説の総体なのだ。  書籍も同じく、一つのトピックに対して肯定否定の両方の論理が内在されなければならない。  本書は一つの言葉に対し、対立する論を主張する二つの書籍を提示する。  組織論、時間管理術、才能、未来など12のトピックに対して二つの書籍を示し、その概要を説明する。  対立する二つの論を戦わせることで、トピックに対する新たな視点を得るというのが本書の目的だ。  この本の主張は正しいのだろうか?  考えながら本を読むということは、著者の意見に自分なりの反証を考えることだ。  あるトピックに対して、一冊ではなく複数の書籍を参照すべきというのは、単視点ではなく複視点の立場から見ないと本質が見えないということである。

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