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独身四姉妹と居候 の商品レビュー

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意地っ張りな長姉への気遣いが優しくも淫靡な妹達

見ず知らずの主人公と急に同居を始める4姉妹こそ荒唐無稽な印象なるも、ここ最近の弓月作品に時折見られる「官能ラヴコメ化」もしくは「官能ラノベ化」の流れからするとここは苦笑いで読み過ごし、その先にあるオンナ心と肉欲を堪能した方が得策と思われる。同月に発売された『着くずされた義姉』(著...

見ず知らずの主人公と急に同居を始める4姉妹こそ荒唐無稽な印象なるも、ここ最近の弓月作品に時折見られる「官能ラヴコメ化」もしくは「官能ラノベ化」の流れからするとここは苦笑いで読み過ごし、その先にあるオンナ心と肉欲を堪能した方が得策と思われる。同月に発売された『着くずされた義姉』(著:美野晶、竹書房ラブロマン文庫)のメインヒロインに奇しくも良く似た、ちょっと面倒くさくて融通の利かない生真面目ながらも実に可愛らしい嫉妬で身を焦がす熟女が本作にも登場する。つまり、このメインたる長女の【靖子】38歳を受け入れられるか否かが本作の良し悪しを決めるとも言えそうである。 確かに4姉妹は皆独身だが靖子は未亡人であり、いかにも次女らしい奔放さと仕事はデキる妖艶な【未佳子】35歳はバツイチである。この2人に比べると図書館勤めで男嫌いの三女【歩美】は潔癖な妹らしくもあり、今も大学で研究を続ける四女【麻紀】に至っては生娘ということからややもすると幼い印象も漂うが、それでも33歳と30歳と充分に熟れており。要は熟女ハーレムが最初から形成されているとの見方もできてしまう。しかし、だからと言って簡単に身体を許すのは未佳子くらいで、他の3人には相応の紆余曲折が用意されている。トップバッターとして誘惑を仕掛けてくる未佳子は全体の旗振り役も担っているためであろう。 官能面で特筆すべきは歩美。生娘ではないものの、男嫌いは男知らずだったからと目覚めた歩美が恥じらいながらも貪欲に求める痴態はなかなかのインパクト。基本的に家中が大半を占める官能シチュエーションにおいて図書館内の片隅で人目を忍んで交わる淫靡さがあった。この歩美の変化に憧れてオンナを捧げたいと思い至ったのが麻紀である。 いわゆる破瓜の儀式は作品によって様々に描かれるが、麻紀に関しては痛みもしっかり伴い、貫通までに苦労している。それ故に頁も割いて描かれるのだが、不安だからとその場に靖子を誘うのは自分の気持ちもありながら姉への優しさを込めた麻紀の精一杯。主人公の秘めた想いと靖子の気持ちを妹達は知っているのである。 未佳子や歩美もまた然り。ここにあるのは作者が思い描いた姉妹愛の姿と、あくまでも本作は主人公と靖子の物語であるとの矜持であろう。最初から熟女ハーレムが形成されながら落としどころを敢えて外す所以と推測できる。 そうも慕われる靖子だが、主人公に対してはどうにも煮え切らない。長女のメンツや年の差もあるだろうし、何より意地っ張りな性格が災いしている。そのくせ嫉妬心は旺盛で可愛らしくもあるのだが、面倒なこじらせ体質っぽさもあるため最後は妹総出の挑発(というお膳立て)を仕掛けられる始末。しかし、胸の内を遂に明かした後の2人は濃密極まりなく、ほぼ全編に渡って描かれる妹達の官能描写をも凌駕するとびっきりの淫猥さに満ちていた。そして、ようやく心も通じ合った2人の美しさも同時に感じられるものだったと思う。 ある意味では最も純粋でしおらしく主人公に寄り添い、世話女房も真っ青な振る舞いをも見せ始める靖子のエピローグをこっ恥ずかしくも微笑ましく思えれば本作を十二分に堪能できたと言えるのではなかろうか。 長大でご立派なムスコを持つ社会人というイマドキの主人公ながら、リアリティのある経験の不足、即ちヒロインの魅力に負けてすぐに果ててしまう早撃ち体質には往年の主人公らしさもあり、それを回数で補う官能描写には(リアリティは希薄だが)ちょっとした新味も感じられた。ベテランもまた試行錯誤していることの証左と言えよう。

DSK