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楽土の虹 の商品レビュー

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2021/08/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

好きな時代小説の人気作家の3人。 風野真知雄氏・坂岡真氏・辻堂魁氏。 そして、人気時代小説家ばかりの「喜」「怒」「哀」「楽」をテーマの4冊の一つ。 今、コロナ等で、病気で苦しむ人、そして未だ 原爆・戦争の被害者、災害で愛する者や大事なものを無くした人、差別や貧困等に困窮している人達。 このオリンピックを見ていても、亡命迄しなければ、命が危うい人等も垣間見る。 そんな中で、少しの笑顔が、本で読みたくなって、手にした。 風野真知雄氏の「いよっ、若旦那」と、題名から、勢いがいい。 落語を聞いているかのような若旦那。 自分の身の潔白を証明しないと、いけなくなってしまうのだが、・・・・ 左甚五郎の猿の置き物(?)の「左」が、「T」「H」という解釈も、笑ってしまった。 そして最後の色っぽい話が、雌猫だったのが、いい。 坂岡真氏は、「鬼役」シリーズにどっぷりと嵌まった事がある。 剣の達人が、登場する物語りは、何故か好きである。 「多生の縁」の主人公の名が、鈴木一郎というのも、面白い。 剣の達人なのに、道場の存続の為に、八百長を求められる一郎。 それでいて、今の時代問題になっている高齢者社会問題で、父親の世話をしないといけない背景。 暴漢に襲われて助けた商家の娘に 恋心を抱く一郎。 亀戸天神の鷽替え神事で、一郎と商家の娘お梅の 手の握り合った二人のいく末が、この文章だけで、理解出来る。 大宰府の鷽替え神事は、知っていたけど、今度は、亀戸天神へも行って見たいと、思った次第である。 辻堂魁氏 「鬼しぶ事件帖」も、今の時代背景の慎ましく生活している高齢者に オレオレ詐欺の様な事件である。 そして、騙された認知症を少し患っている夫は、全財産を無くし、失望して自殺へ。 どこが、「楽」なの?と、思われる展開なのだが、・・・ 犬の「とら」が、いい役目を演じている。 夫の無念を晴らしたお久。 その状況が、わかりながらも、定町廻り方同心 渋井鬼三次も知らんぷりをして、目こぼしをする所が、知らぬが半兵衛のような感じであった。 ついつい読んでしまって、アッと読めて仕舞った。

Posted byブクログ