ドイツ国防軍兵士たちの100通の手紙 の商品レビュー
日本人の戦時中の手記というものは博物館や『きけわだつみのこえ』などで読んできたが、ドイツ国防軍兵士の手紙を読んでも、大きな差異があるようには思えなかった。そこにあるのは国家プロパガンダに掻き立てられた戦意と、敵への恐怖、そして家族や恋人など愛する者への愛情である。 戦争というもの...
日本人の戦時中の手記というものは博物館や『きけわだつみのこえ』などで読んできたが、ドイツ国防軍兵士の手紙を読んでも、大きな差異があるようには思えなかった。そこにあるのは国家プロパガンダに掻き立てられた戦意と、敵への恐怖、そして家族や恋人など愛する者への愛情である。 戦争というものは、誰かの夫と誰かの息子が殺し合うものであるということを感じる。 現代でもなお、凄惨な侵略戦争が起きてしまっている以上、この構図は今も変わらないのだろう。
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日本兵は鬼畜米英のスローガンのもとに多くの命が散華したのです。ドイツ兵の場合は、ボルシェビキとユダヤ人への憎悪というイデオロギー的な感化を受け、ボルシェビキ・ユダヤに対する正義の戦いを行っていると確信していた。28歳のドイツ兵は「この町の近くにも二つの巨大な壕があり、ひとつには二万人のユダヤ人の死体が、もうひとつには四万人のロシア人の死体が放り込まれている。衝撃的な光景だが、大義を想えば、これも必要なことだ。」と書いている。恐ろしいのは、普通の若者が兵士となって人を殺すことを戦争が強いることです。
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第二次世界大戦時、ドイツ国防軍の将兵などが故郷へ送った手紙をフランス人が紹介したもの。 ちなみに、一番興味深かったのは、兵士のものではなかった。 フランスを占領した軍に続いて、ドイツの中央銀行からパリに派遣された銀行員の手紙。支配者として贅沢な生活を満喫していると家族報告している...
第二次世界大戦時、ドイツ国防軍の将兵などが故郷へ送った手紙をフランス人が紹介したもの。 ちなみに、一番興味深かったのは、兵士のものではなかった。 フランスを占領した軍に続いて、ドイツの中央銀行からパリに派遣された銀行員の手紙。支配者として贅沢な生活を満喫していると家族報告している。 著者の説明によると、この手紙の主は、その後一兵卒としてソ連軍との戦いに徴兵され、行方不明になったという。 さて、この本は膨大な手紙の中から著者が取捨選択しており、収集した手紙を分析した統計なども無いので、これで戦争の真実がわかる、というような性格のものではない。 ただ、戦場での暮らしなどを淡々と報告する手紙が多くて、政治とか、戦意に燃えているような手紙は少ない。意外とそんなものかもしれない。ヒトラーは普通に尊敬されてるけどね。 あとは、スターリングラード攻撃の途上や、Dデイ当日の手紙があって、かなり深刻な状況のはずなのに文面は深刻さが無く、情報がなかなか入ってこない現場の視点はこんな感じなのかな、と面白かった。
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