1,800円以上の注文で送料無料

ダンテ『神曲』における数的構成 の商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/11/27

めちゃくちゃ面白い。 キリスト教における数の意味から『神曲』における数の意味を解説する構成になっている。 『神曲』を読んでいてその構築美には驚かされたが、もっと奥の深い構築があったことを気づかせてくれた。改めてダンテの凄さを読者に突き付ける一冊! 最も隠された意味が最も甘美...

めちゃくちゃ面白い。 キリスト教における数の意味から『神曲』における数の意味を解説する構成になっている。 『神曲』を読んでいてその構築美には驚かされたが、もっと奥の深い構築があったことを気づかせてくれた。改めてダンテの凄さを読者に突き付ける一冊! 最も隠された意味が最も甘美である。 〜『マニ教徒ファウストゥス駁論 Contra Faustum manichaeum』 芸術は、かくも自身の技法(芸術)によって隠れる。 〜オウィディウス『変身物語』

Posted byブクログ

2019/02/17

 新書判サイズでわずか100ページほどのブックレットではあるが、内容はとても重厚。最新の研究成果を踏まえながら、中世人ダンテの思考の結晶とも言うべき『神曲』について、「数」をキーワードに読み解いていく。  『神曲』でダンテは、重要な語句の使用回数・使用位置をあらかじめ決めていた。...

 新書判サイズでわずか100ページほどのブックレットではあるが、内容はとても重厚。最新の研究成果を踏まえながら、中世人ダンテの思考の結晶とも言うべき『神曲』について、「数」をキーワードに読み解いていく。  『神曲』でダンテは、重要な語句の使用回数・使用位置をあらかじめ決めていた。そのことが、キアズムス数(対称数。16と61のような)や、ゲマトリア(数値等価法。j,wを除くアルファベット24文字に1〜24の数字をあてはめていく)という発想を駆使することで、いかに『神曲』が整然と秩序立ったかたちで、調和的な世界を構築しているかが明らかになっていく。まさしく、言語で組み上げられた大伽藍という言葉がふさわしい。  『神曲』を読み解くことは、ダンテが考える神の秩序、神がつくりたもうた宇宙の秩序と原理とを説き明かすことと同義である。中世人ダンテの「宇宙観」「世界観」が、確かに刻みこまれている。

Posted byブクログ