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夜中に犬に起こった奇妙な事件 の商品レビュー

3.9

30件のお客様レビュー

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2020/10/28

子供向けの推理小説だろう、と、気軽な気持ちで選んだ本。 ところが、えそっち?となっていき、引き込まれた。 この家族が抱える家庭の問題に、共感するところがあって、自分がこの本を手に取った偶然に驚いた。そして、何度か身につまされて泣いた。 自閉症の子の目線や心の動きのまま(という設定...

子供向けの推理小説だろう、と、気軽な気持ちで選んだ本。 ところが、えそっち?となっていき、引き込まれた。 この家族が抱える家庭の問題に、共感するところがあって、自分がこの本を手に取った偶然に驚いた。そして、何度か身につまされて泣いた。 自閉症の子の目線や心の動きのまま(という設定で)書かれているので、読みにくいと感じることもあったけれど、それはそれで味わい深く、分厚い本でしたがあっという間に最後まで読みました。 息子を持つ親御さんにおすすめ。主人公の言動にハラハラしつつ応援しながら、親としての自分のことを振り返りながら、読んで、その状況を(物語なので当然ながら)立体的にかつ俯瞰して眺めることができ、物語の中の家族にも、自分の身にも希望を持てる感じの、暖かい読後感でした。

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2020/07/13
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英国の作家による小説だが、原書でベストセラーになったらしい。あるちょっと変わった少年が、近所で起こった事件に疑問を持ち、真相を解明しようとする。 以下、ネタバレ注意。 この少年は自閉症で養護学校に通うが、数学だけは飛びぬけてできる。ただ、コミュニケーションはできない。そんな彼が近所の事件の真相解明をしようと調べているうちに、彼にとって衝撃の事実が次々と明るみになる。そして、彼は大人の事情に巻き込まれていたこともわかってくる。 アスペルガー症候群の人たちの家族が、アスペルガーの人はどう考えているのか知るために読んだという。少年の視点で書かれているので、繊細な部分がとてもよくわかる。彼なりの正義感とチャレンジで、困難を乗り越えていく姿を応援したくなる。 以前読んだ、自閉症の人が書いた本「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」を思い出した。

Posted byブクログ

2020/04/02

これはすごい。方法(形式)と内容は不可分なのだと教えてくれる。こういう文体、こういう構成でないと、表現できない内容がある、ということの好例。たぶん、翻訳がべらぼーにうまい。

Posted byブクログ

2020/08/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

発達障害の子はどんな気持ちでその行動をしているのか、周りの大人たちはどう接しているのか、気持ちのすれ違いの中に愛があり温かい気持ちになった。お父さんもお母さんも完璧じゃない。彼も不完全。「許す」って言葉じゃなくて身体が受け入れられるようになることなのかなって感じた。人に薦めたい本。

Posted byブクログ

2019/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

発達障害の少年が,夜中にお向かいの愛犬が殺されているのを発見することから生じる様々な騒動を描く. 主人公は,気に入らないこと,想定外のことが発生するとパニックを起こすが,我々と同じ意味での感情は持ち合わせない.その一方,我々とは視点が異なるものの見方をしており,普通の人がスルーするところに固執し,それが物事の進行の障害になることもあり,また,何かのブレイクポイントになることもある. 本書はこの少年が執筆した本という体裁となっており,したがって,上記の様な理由から,いわゆる「感情移入」は難しいのだが,この不思議なストーリーテラーのおかげで物語は紆余曲折しながら進行し,主人公は冒険を成し遂げ,また家族の「ある種の問題」は解決はしないものの,進展が生じる. 不思議な小説だ.単なるアイディア勝負に留まらず,読者を引き込む力がある.

Posted byブクログ

2019/05/07

 この小説は、少年の成長物語であり、普遍的な親の子どもへの愛を描いた小説だと思います。  さてこの作品は、作中では明言されていませんが”何らかの発達障害”を持った少年が書いた小説、という体裁の作品です。  とにかく発達障害をもった主人公の一人称の描き方がとても丁寧です。作中で...

 この小説は、少年の成長物語であり、普遍的な親の子どもへの愛を描いた小説だと思います。  さてこの作品は、作中では明言されていませんが”何らかの発達障害”を持った少年が書いた小説、という体裁の作品です。  とにかく発達障害をもった主人公の一人称の描き方がとても丁寧です。作中では文章だけでなく時には図も織り交ぜて、彼の思考や脳内での情報処理が描かれます。これが面白い。  近所の犬の刺殺事件を調べ始めるクリストファー。その過程で苦手な、人との対話に挑戦し証言を集め、そして理屈だけでは割り切れない、大人たちの世界に足を踏み入れざるを得なくなります。  個人的には中盤の思わぬ展開と、物語の大きな方向転換で、自分の心が作品にグッと捕まれた気がします。もし誰かに「起承転結の転」って具体的にどういうこと?と聞かれたら、この作品の話をします(笑)  今まで父親の庇護の元で育てられたクリストファーの、冒険と成長の物語でもあるのですが、個人的には彼の親の姿が印象的です。  息子に障害があるが上に突き放してしまったり、あるいは過剰に守ろうとしてしまったり。クリストファーも悪くないし、親だって悪いとは言い切れない。  どれだけ子どもを愛していても、完璧な親をずっと演じきれるわけではありません。時には疲れることもあるし、魔が差すことだってあると思います。そんな親の姿が、クリストファーの視点を通して描かれます。  でも”完璧な親じゃない=子どもへの愛がない”というわけでは決して無いんですよね。話を読み進めるにつれて、この物語のテーマは実は、クリストファーの成長以上に、親の子どもに対する愛情ではないかとも思うようになりました。  きっとクリストファーの親は、今後なんだかんだありながらも、それでも息子を愛するのだと思います。そして、それは子どもに障害があろうとなかろうと同じはず。だからこの小説は、一見特殊な形式で変わった家族を描いているように見えるのですが、実は普遍的な家族小説でもあると思うのです。 『アルジャーノンに花束を』『くらやみの速さはどれくらい』の系譜にある作品だと思うのですが、また違った魅力のあるいい小説でした。小尾芙佐さんの訳も、相変わらずよかったなあ。

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2019/01/04

発達障害の少年・クリストファーが近所の犬を殺した犯人を探していく推理小説。と思って本書を手に取ると肩透かしを食うかもしれない。 黄色が嫌いで犬が大好きで数学が大の得意なクリストファーの純粋さと成長は読んでいて心が洗われる感じがするけれど、本書は決してミステリー小説ではないので要...

発達障害の少年・クリストファーが近所の犬を殺した犯人を探していく推理小説。と思って本書を手に取ると肩透かしを食うかもしれない。 黄色が嫌いで犬が大好きで数学が大の得意なクリストファーの純粋さと成長は読んでいて心が洗われる感じがするけれど、本書は決してミステリー小説ではないので要注意。自分はまんまと引っ掛かってしまった。 「アルジャーノンに花束を」が好きな人にはオススメ。

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2018/07/29

発達障害の15歳の男の子が主人公。 タイトルや序盤の展開からミステリなのかな?と思ったけど、クリストファーの成長?というか冒険?のような話だった。 発達障害の子の周りからみれば突飛な行動も、こうやってクリストファーの内面を読んでみるとなるほどそういうことなんだなぁと彼らのことが...

発達障害の15歳の男の子が主人公。 タイトルや序盤の展開からミステリなのかな?と思ったけど、クリストファーの成長?というか冒険?のような話だった。 発達障害の子の周りからみれば突飛な行動も、こうやってクリストファーの内面を読んでみるとなるほどそういうことなんだなぁと彼らのことが少しだとしてもわかったような気がした。 いろんな人がいるだろうからこういう考えの人ばかりではもちろんないんだろうけど彼らなりのちゃんとしたルールがあるんだろうなあ。

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2018/06/17

ナショナルシアターライブで劇を観て、原作が気になったので読んだ。サヴァンシンドローム?の男の子が主人公で一人称の小説。世界の見方が違ってる感じを地の文で表現していてすごく面白い。読みながら、頑張れ頑張れ!と応援したくなる。舞台版はそれを見事に表現しているのでおススメです。

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2018/04/20

図書館で。 何かの障害があり、特別支援を受けている主人公視点で書かれる物語。すごいなぁ。こんなことを言ったら失礼かもしれないけれども違う生物みたいだ。同じ人間ならある程度こうすれば意図が伝わるだろう…という考えが通じない相手って大変。 文化の違いでも何が失礼で何が尊ばれる行動なの...

図書館で。 何かの障害があり、特別支援を受けている主人公視点で書かれる物語。すごいなぁ。こんなことを言ったら失礼かもしれないけれども違う生物みたいだ。同じ人間ならある程度こうすれば意図が伝わるだろう…という考えが通じない相手って大変。 文化の違いでも何が失礼で何が尊ばれる行動なのかは変わって来るのでそれこそ大航海時代の人々は本当に未知の土地で物凄いカルチャーショックを受けたのかもしれない。 とは言え、彼の言葉を額面通りに受け取るのもちょっと違う気がするなぁ。言葉にはしないけれども母親が死んだと聞かされた時には寂しさや喪失感を覚えたのかもしれない。父親に対する感謝や愛情も失われていないのかもしれない。ただそれを他の人と同じような態度や言葉に表さないからと言ってそう言う感情が無いとも言えないよな、とは思いました。 そして…正直、この息子は大変だなぁ…。取扱説明書通りに扱ってれば良いのかって言われたらそうでもないだろうし… 両親の苦労がしのばれます。まあだからこその家族なのかもしれないけど。

Posted byブクログ