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蛇の道行 の商品レビュー

4.2

7件のお客様レビュー

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2024/05/31

戦後を生き抜いた少年と女。 戦争が終わったと中国で知り、もともと母の記憶も薄く、父をも亡くした少年は父と一緒にいた女と共に日本へ。 戦後の復興期に今日を生きるを糧になんでもやってきた少年と女。 その女も最初から訳あり謎ありただものではないのがありありと…。 少年の心のうちが...

戦後を生き抜いた少年と女。 戦争が終わったと中国で知り、もともと母の記憶も薄く、父をも亡くした少年は父と一緒にいた女と共に日本へ。 戦後の復興期に今日を生きるを糧になんでもやってきた少年と女。 その女も最初から訳あり謎ありただものではないのがありありと…。 少年の心のうちがことばで表現されていないので、想像でしかわからないところも不穏すぎる。 「行けるところまで、さ」 この最後のことばにとことん生きてやるという力強さと太々しさの両方を感じた。

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2019/09/24

「蛇の道行」(加藤 元)を読んだ。 ん?なんだこの人は!と思いながら読んでました。なにしろこの本を手に取るまで名前すら存じ上げなかったわけで。 刑事こそ出てこないけれど森村誠一とか高村薫とか松本清張とかのテイストだよな。 描きたかったのは『人間の業』か。 いやー面白かった。

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2018/02/17

いつかは奪われる。家や家族や人生までも。自己を制しそれに抗い続け、最後にひとつだけ残された、もろくて弱々しい絆にしがみつく。それを正義と言うつもりはないが、時代と片付けたくもない。不幸な時代の若者たちが力強く生き抜いた世の中を、加藤元という良質なフィルターを通して垣間見ることが出...

いつかは奪われる。家や家族や人生までも。自己を制しそれに抗い続け、最後にひとつだけ残された、もろくて弱々しい絆にしがみつく。それを正義と言うつもりはないが、時代と片付けたくもない。不幸な時代の若者たちが力強く生き抜いた世の中を、加藤元という良質なフィルターを通して垣間見ることが出来た。

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2016/08/25

女は、蛇のように狡猾に生きた。 弱い者を丸飲みにしてでも、戦後の混乱した時代を生き、 この先もずっと生き延びるために。 そして、絡み合う蛇のように、その生を共に生きる男も。 久々の加藤元さん、惹き込まれて一気読みでした~♪

Posted byブクログ

2016/06/11

片岡球子さんの絵の表紙に惹かれて手に取る。 ほんの数ページ読むうちに いきなり濃い物語の中に放り込まれていた   近松門左衛門さんの「曽根崎心中」が初演された時に 当時の、庶民たちがこぞって芝居小屋につめかけた その時の気持ちが、こんな感じなのかなぁ と 思いながら…    ...

片岡球子さんの絵の表紙に惹かれて手に取る。 ほんの数ページ読むうちに いきなり濃い物語の中に放り込まれていた   近松門左衛門さんの「曽根崎心中」が初演された時に 当時の、庶民たちがこぞって芝居小屋につめかけた その時の気持ちが、こんな感じなのかなぁ と 思いながら…    読み終わった後、もう一度表紙の「絵」を眺めて まさに、この物語を象徴する「絵」だなぁ と強く思った。

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2016/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新聞の書評を読んで図書館にリクエストしていた本。 良かったと言っていいのかどうか。 不思議な本だったが、内容に引き込まれた。 少年二人の関係が変化するのも面白かった。 生き抜くために手段を選ばないトモ代には天罰が下って欲しいと思ったし、きわの苦労が報われるといいなと思いながら読んでいた。

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2016/04/04

戦後、必死で生き延びて来た、女と、女と、男たちの物語。 自分の欲望のまま人を利用し奪い捨てて生きて来た、「ひどい女」トモ代を心の中でこき下ろしながら読んでいく。分かりやすいひどい女を嫌悪し糾弾することで自分の安全を保って読む。なのに、途中からちらほらと見え隠れするとある疑惑。もし...

戦後、必死で生き延びて来た、女と、女と、男たちの物語。 自分の欲望のまま人を利用し奪い捨てて生きて来た、「ひどい女」トモ代を心の中でこき下ろしながら読んでいく。分かりやすいひどい女を嫌悪し糾弾することで自分の安全を保って読む。なのに、途中からちらほらと見え隠れするとある疑惑。もしかすると…、いや、そんな…。 そして、疑惑が露わになったとき、自分の中の「正義」が崩れる。裏と表がひっくり返ったその時に、行き場のないもやもやが押し寄せる。やりやがったな、加藤元。この不全感をどうしてくれよう!

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