ミステリー迷宮読本 の商品レビュー
2004年の夏、相変わらずミステリガイドブック(ムック)は発行されていた。 その内容はどれも帯に短し、襷に流しで広く浅くミステリと云うジャンルを撫でただけの代物で、ミステリ初心者のためならばまだしも、本読みを満足させる内容は無い。 このムックも発行当初はそんな凡百のミステリガイド...
2004年の夏、相変わらずミステリガイドブック(ムック)は発行されていた。 その内容はどれも帯に短し、襷に流しで広く浅くミステリと云うジャンルを撫でただけの代物で、ミステリ初心者のためならばまだしも、本読みを満足させる内容は無い。 このムックも発行当初はそんな凡百のミステリガイドブックと変わらないだろうと思い、発行された年末には買わずそのままにしていたのだが、二階堂黎人氏がHPでこのムックを褒めていたのを見てGWに購入。そしてその賞賛は間違っていなかった。 これは本当にミステリを愛する者が作ったムックである。 ミステリをカテゴリー別に論じ、新旧織り交ぜて論じている。その内容の出来に個人差はあれ、なかなか読ませる。通常出てくるタイトルとは違う隠れ傑作本も続出だし、本読みの本読みによる本読みのためのムックになっている。 原書房の『本格ミステリベスト10』が何年も発行されているのマニア臭さから脱却できていないのに対し、これは本当にミステリ好きの痒い所に手が届く面白さである。表紙のイラストのいかがわしさは褒められたものではないが、それを差し引いても星5ツに値する。掘り出し物とは正にこの事を云う。 名も無き出版社にしては最上の出来だ。天晴れ、洋泉社!!
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