谷崎潤一郎文学の着物を見る の商品レビュー
第1章で「細雪」の四姉妹、第2章で「痴人の愛」のナオミや「春琴抄」の春琴――。 谷崎潤一郎がその数々の小説に描き出した女性たち。彼女たちが装う数々の着物姿を、モデルになった女性の写真や文章をもとに検証。 大正末期~昭和初期のアンティーク着物や帯をふんだんに利用して、鮮やかに再現を...
第1章で「細雪」の四姉妹、第2章で「痴人の愛」のナオミや「春琴抄」の春琴――。 谷崎潤一郎がその数々の小説に描き出した女性たち。彼女たちが装う数々の着物姿を、モデルになった女性の写真や文章をもとに検証。 大正末期~昭和初期のアンティーク着物や帯をふんだんに利用して、鮮やかに再現を試みたビジュアルブック。 発表当時の装幀や挿絵をふんだんに掲載し、谷崎の人生と作品、作品の魅力を紹介する一方、明治~昭和初期の着物用語の一覧もある。 現代では普段使いから遠く離れたうえに失われてしまった織物もあるなか、伝わりにくくなった和装の理解にもつながる。 谷崎文学の真骨頂・悪魔的に耽美な世界をいっそう楽しむために携えたい一冊。 「百年経ってもいかがわしい!!」 谷崎マニアの心を擽ってやまない帯文が秀逸。
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谷崎作品に出てきた着物を写真で再現したもの。『完全』再現ではないので注意が必要。あと、当然というかなんというか、女物の着物しか出てこない。
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先月、高峰秀子が「こいさん」を演じた映画『細雪』を観たのをきっかけに、細雪を再読。市川崑版といいとこ取りでいろんな役者さん、シーンを思い浮かべながら、日々の隙間時間で読んだにしては我ながらハイペースで読み終えた。 この勢いで今こそと、積ん読になっていた『谷崎潤一郎文学の着物を見...
先月、高峰秀子が「こいさん」を演じた映画『細雪』を観たのをきっかけに、細雪を再読。市川崑版といいとこ取りでいろんな役者さん、シーンを思い浮かべながら、日々の隙間時間で読んだにしては我ながらハイペースで読み終えた。 この勢いで今こそと、積ん読になっていた『谷崎潤一郎文学の着物を見る』を一気読み。これは、谷崎作品の連載時等の挿絵と、それらや作品中の描写を元に作中人物のコーディネートを再現した着物写真が満載の本です。着物、美しいなあ、というのはもちろんのことながら、掲載作品それぞれについて、あらすじと、「作者自身のこのできごとが題材にされたと思われる」といった解説がついているので、実は細雪のほかふたつくらいしか読んでいない私にとっては格好の谷崎ガイド本となった。 細雪の最後に、執筆当時の背景などについて谷崎が綴った短い文章が付いていて、そのなかで、「中上流階級の人々の暮らしについて書こうとするならば不倫や不道徳などの頽廃的な面にまで亘らねばならなかったが時節柄控えざるを得ず綺麗事に留まってしまった」というようなことが書かれていた。 なるほど、谷崎ガイドをざっと読んだ後である今ならその意味するところがわかる。細雪は色々あるにしても清らかな印象だけれど、やはり谷崎の真骨頂を味わうには、変態系の作品も読んでみるべきか。 前述の細雪あとがき(?)によると、作者自身では関西移住後の作品のほうが断然好きなのだそうで、特に『蓼食う虫』と『吉野葛』に思い入れがあるとか。もし自分で全集を編むようなことがあったとしたら、卍より前の作品は入れないとまで言っていて、初期作品のファンがかわいそう…と余計なお世話ながら思ってしまった。『…着物を見る』の本でも、関西移住前後でヒロイン像が変わってきていることにも言及されている。 でもまあそれくらい、関西移住は谷崎の人生に、人生観に、大転換をもたらしたんだろうなあ。でなければ細雪その他の作品も生まれなかったわけで、この小さな日本の中においてだけでも様々に異なる文化があるという人の世の面白さ、、、にしばし思いを馳せるのでありました。 最後に着物に話を戻すと、この本を買った当初さっと眺めたときは、アンティーク着物ってやつか~派手だなくらいの印象しか持たなかったのですが、丹念に読んだ上でいま見返すとなんだかどれもいとおしいというか(笑)、妙な愛着がわいてきました。和服のコーディネートは洋服のそれとはまた違うとよく言いますが(柄×柄もオーケーとか、、、うーん私はうまく説明できないが)、女性たちが当たり前に着物を来ていた頃の街中を覗いてみたいものです。
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谷崎潤一郎の作品を読みつつこれを開くと非常にイメージしやすいかと思います。 谷崎作品の衣装描写(特に細雪)がピンと来ないとか面倒と思っている方は是非。
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カラー写真もたくさんあって、見ていて面白いのだけど、なにぶん谷崎さんの女性遍歴がすごくてそれどころじゃない。この人はきっと結婚向きじゃないんじゃないかと思うけれど、そこには気づかないのね。 作風にも表れている谷崎さんの恋愛観の影響か、やっぱり最終的には男性が女性を追う形にならなければ、男女の仲はうまくいかない気がした。
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充実の内容。谷崎文学をヒロインたちの着物で見てゆくという内容だが着物がかなり忠実に再現されておりため息ものに美しい。私は谷崎の探偵物が好きだったりするが女装する話もあるんですね…。着物以外に挿絵付きで谷崎文学を振り返っていて谷崎の女性へ対する並々ならぬ想い入れに引いたくらいだ。帝...
充実の内容。谷崎文学をヒロインたちの着物で見てゆくという内容だが着物がかなり忠実に再現されておりため息ものに美しい。私は谷崎の探偵物が好きだったりするが女装する話もあるんですね…。着物以外に挿絵付きで谷崎文学を振り返っていて谷崎の女性へ対する並々ならぬ想い入れに引いたくらいだ。帝大卒のマゾで寝取り/寝取られフェチで脚フェチで女装子(じょそこ)志願ってどんなスペックなの?源氏物語を幾度か訳している谷崎だか(私も読んだ)光源氏が苦手だというのが意外であった。女性崇拝が徹底していてすごい。「細雪」読んでみたい。
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うっとりする(*´◒`*)谷崎潤一郎はほんとに気持ち悪いくらい女性の身嗜みやら振る舞いやらを細かく生々しく描くんだよね〜〜単に和風の着物というのでなくアンティーク着物なのがいい!素敵な本です。
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