燈台へ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
灯台の話というと、レイ・ブラッドベリの素敵に孤独な短編、「霧笛」が思い出されます。 ストーリーは殆どありません。三部構成で、「灯台へ行きたい」午後半日⇒時間経過⇒10年後の午前半日。 ネチネチと纏綿と絡みつくような描写も、私のような粗忽者にさえ、選び抜かれた語彙の力と文章の鋭さで読み飛ばしを許さない。ヒタヒタと寄せて寄せて寄せる波のように延々と続く第一章を抜けたら一気呵成に物語は勢いを増し。 第一章で世界の中心だったラムジイ夫人は既になく、彼女を恋うて慟哭するリリーの激しい怒りと苦悶が突然吹き上げ。そして波が引くように静謐が戻り。 なんなんだ、この不思議な読後感は・・・?
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窓・時は逝く収録。 決してとらえることのできない、とらえたかと思う瞬時に、逃げ去る幻影《ヴィジョン》。『燈台へ』の作中人物は、それを追いつづける。
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