毎日が一日だ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
昔新聞で連載していたらしい日記をまとめた本。いしいさんの本久々に読んだけど、やっぱりとても好き。ことばが自由に本の中で踊りまわっていて楽しい。それはなによりいしいさん自身がとてつもなく自由な人だからだ。きぐるみや着古して破れた服を着て生活することにも、遅刻することも子供のようにはしゃぐことも本人としてはあまり気にしていない様子。でも、その場に漂う「おはなし」の気配にはなんと敏感であることか。面白いことも、日常のことも、ご家族やたくさんのご友人たちのことも、「おはなし」交じりにみずみずしいことばで生き生きと綴られていて、読んでいるとわくわく、切なく、楽しく、一緒になって心を揺さぶられてしまう。マグロわなげとかセイウチのショー、めちゃくちゃ面白そう。 この本の中でも、息子ひとひくんの発語にのせて「ことばとは、辞書や慣例にしばられた記号ではなく、ほんとうにそんなものではなくて、口に乗せるたび溌溂と身を躍らせてこの世に飛びこんでいく、それぞれが固有の燐光を帯びた、ひとつひとつの生命なのだ」と語られている。さわやかな解放感があって、元気をもらえる本だった。 いしいさんの日記を読んでいると、仕事を含めいろんな場所にひとひくんを連れて行っていてなんでもやっていてすごいなと思う。誰かに迷惑をかけることを全然恐れていない。そしてひとひくんがそれを受けて自分の世界をとても豊かにふくらませながら成長しているのがよくわかるのだ。 私は少しでも迷惑をかけそうな場所、面倒が起きそうな場合は子供を連れて行かないし、コロナもあって家にいるばかりで、子供が臆病で超インドアな子に育ちつつあるのが少し悩みの種だ。読んでいてびっくりするようなこともひとひくんはやっていて、私ももっといい加減にしていてもよかったのかなと思ったりする。子供に向き合う胆力がそもそも違いすぎる気もするけど…。ことばも自由、人生も自由に、ちょっとでもそんな風にできるだろうか?
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毎日新聞に連載されていたエッセイをまとめたもの。 『京都ごはん日記』に書かれていたことが、 読みやすい文章で、説明も加えられて、 いしいしんじを知らない人にも分かりやすくなった感じ。 息子に対する愛情を、作家の客観性と文章力で書くと 誰のココロにも繋がっていく深みが出る。 男性作...
毎日新聞に連載されていたエッセイをまとめたもの。 『京都ごはん日記』に書かれていたことが、 読みやすい文章で、説明も加えられて、 いしいしんじを知らない人にも分かりやすくなった感じ。 息子に対する愛情を、作家の客観性と文章力で書くと 誰のココロにも繋がっていく深みが出る。 男性作家が子供について書く文章が私はすごく好きだなー。 この作家の子供だから、で 他の子供には体験しようのないものもたくさんあるけれど 日常の中で子供が見せる新鮮な反応や言葉は、 子育ての醍醐味なんだろうと思う。 目の前の小さなことに怒ってばかりいるお母さんや、 仕事に追われるばかりで時間のないお父さんに、 こういう本を読む暇もないのかもしれないし 読んでも味わうほどの余裕もないのかもしれない。 でも後から振り返って、うつくしい思い出として読むよりは 今読んで、今の時間の大切さを感じてほしいなあ、 などと部外者は呑気に思ったりする。
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いしいしんじとは相性がよくないのかも……。惹かれるから手に取るのだが、たいてい読み切るのに難渋する。
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いしいしんじは、小説も好きだけど、日記がもっと好き。これは日記じゃなくて新聞の連載だけどとても好きでした。運転中今ハンドルをきったら死ぬだろうって、他のでも読んだけどどれだっけ? そういうのとか、一時期着ぐるみをきて暮らしてた話とか。まじめに、そして中学生みたいで楽しい。
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