ヘルマン・ヘッセ の商品レビュー
ヘッセ研究の第一人者とされる著者によって書かれた、ヘッセの評伝です。 著者の戦時中の振る舞いが高田里惠子によって明らかにされている現在から見ると、ヘッセのナチスに対する態度についての叙述にどうしても不信感をいだいてしまいます。また個人的には、ヘッセのロマン主義におけるある種の「...
ヘッセ研究の第一人者とされる著者によって書かれた、ヘッセの評伝です。 著者の戦時中の振る舞いが高田里惠子によって明らかにされている現在から見ると、ヘッセのナチスに対する態度についての叙述にどうしても不信感をいだいてしまいます。また個人的には、ヘッセのロマン主義におけるある種の「甘さ」というべき特質や、ユングとおなじく東洋の伝統に対するオリエンタリズム的な視線など、現在ヘッセの文学について語るうえで当然目配りするべき事柄についても触れられていないことが気にかかります。 とはいうものの、ヘッセの生涯と作品について概観するための手引きとして、現在でも価値はうしなわれていない本だと思います。
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