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お金の流れで読む日本の歴史 の商品レビュー

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2017/01/31

前作「お金の流れで分かる世界の歴史」とセットで読む。読んだ理由は同じ「あらゆるモノゴトには経済的側面や事情がある」と心底思っているので、日本の歴史もその文脈で読み直すとさぞや面白いだろうと思ったから。新たに知って興味深かったところは本の前半、古代日本の徴税システム。そもそも貨幣経...

前作「お金の流れで分かる世界の歴史」とセットで読む。読んだ理由は同じ「あらゆるモノゴトには経済的側面や事情がある」と心底思っているので、日本の歴史もその文脈で読み直すとさぞや面白いだろうと思ったから。新たに知って興味深かったところは本の前半、古代日本の徴税システム。そもそも貨幣経済が発達していない頃のなのでシステムと言うほどものではないが、教科書でも有名な「租庸調」という米や布、労働力の提供による徴税と「賑給」(貧困者の為に国蔵に収められた米や塩を支給する制度)や「出挙」(農民に種籾を貸し出す制度)などの社会保障がセットとなって、低率の税金とそれなりの福祉とでバランスがされていたようである。そのバランスを打ち破ったのが仏教で、大仏建立や国分寺建設のために国費が増大として、それを解決するために有名な「墾田永年私財法」と「不動穀の転用」の政策が実行され、結果として増税、大宝律令による中央集権国家から地方の豪族や寺社への権力の移行が生じ、中央での武士の台頭と相まってその後、日本は長らく武士による地方分権的統治体制が確立されるに至る。 その長きに渡る地方分権的統治機構が再び中央集権に戻るのは遥か後年の明治維新。これまた教科書で有名な「版籍奉還」「廃藩置県」「地租改正」という経済諸制度の改革を行った明治政府は、いわば経済成長のための効率的なエンジンを格納し、第二次世界大戦終戦までに日本はGNPは約6倍、実質賃金は約3倍、実質鉱業生産は約30倍、実質農業生産は約3倍にとなった。筆者はこの「戦前の高度成長」の前では「戦後のいわゆる高度成長」も霞むものであるとしている。 その他、日清戦争は酒税で賄われ、日露戦争はユダヤ人銀行家による戦債引き受けが大きかったなどの日本の歴史的出来事の経済的側面、裏話が描かれていて興味深い。が、筆者は莫大な知識からそれを論じているものではあるが、残念ながら学術的検証がないものもあり、「と思う」や「そういう学説はないが、のはずである」といった記述が散見される。このあたりのファクトとオピニオンは混同せずに読み解くことが日本史とお金の関係との正しい理解に繋がる本だと思えました。(あと本のタイトルがあまりにもウリ意図先行過ぎてちと恥ずかしい) いやー、お金って本当におもしろいですね~

Posted byブクログ

2017/01/10

大学受験以来忘れていた日本史の流れをもう一度ざっと思い出すのに良かった。様々な史実を経済の視点から読み解いており、高校のときイマイチ理解していなかった貨幣経済の発生や仕組み、地租改正などについて、今やっとこの本を通してすっと理解できた。

Posted byブクログ

2016/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史がなかなか頭に残らない、すぐ忘れてしまう私でも、お金の流れと合わせてみると、その当時の特徴がわかって、とっても面白いと思います。比叡山延暦寺が財閥!という見方などとても、斬新でわかりやすいです。

Posted byブクログ

2016/07/17

お金の流れで日本史を見直すという表題に惹かれましたが、新たな知識は殆ど得られませんでした。データをして歴史を語らせることを期待したのですが、ここに書かれたものはデータが矮小ですね。日露戦争時の公債による戦費調達は高橋是清の苦労話よりも、公債負担がその後の歴史に与えた影響を見せるほ...

お金の流れで日本史を見直すという表題に惹かれましたが、新たな知識は殆ど得られませんでした。データをして歴史を語らせることを期待したのですが、ここに書かれたものはデータが矮小ですね。日露戦争時の公債による戦費調達は高橋是清の苦労話よりも、公債負担がその後の歴史に与えた影響を見せるほうが本書の趣旨に適うと思います。日清戦争の賠償金に味をしめ、火事場泥棒のようなWWⅠ参戦に至るは、財政負担が誘引のひとつのなのではないでしょうか。

Posted byブクログ

2016/06/09

個人的には、歴史の勉強は、ある軸に沿って通貫して行うのがよいと思っています。 もちろん、軸にはいろいろあるわけで、いろんな軸に沿って、そしてその結果、何度も勉強することで、軸同士の関係性も見えてきますし、深みのある勉強になる、と、考えています。 この本の「お金の流れ」は、歴...

個人的には、歴史の勉強は、ある軸に沿って通貫して行うのがよいと思っています。 もちろん、軸にはいろいろあるわけで、いろんな軸に沿って、そしてその結果、何度も勉強することで、軸同士の関係性も見えてきますし、深みのある勉強になる、と、考えています。 この本の「お金の流れ」は、歴史を学ぶ上で、非常によい軸だと思います。 こういう本を、中高生のときに、読みたかった。

Posted byブクログ

2016/05/27

古代から高度経済成長期まで、なぜ時の権力者はその地位につき、そして引きづりおろされたのか。その理由が経済や金銭といった必然的理由からテンポ良く書かれている。あとがきには今の日本の経済政策に対する著者の主張があり、本書の内容はこれに説得力を持たせるための前フリだと感じた。

Posted byブクログ