ある殺人者の回想 の商品レビュー

勝目梓(著者)

2020/04/27

人を殺めることは、決して許される事ではないが、大切な人をただ守りたかった。それだけ。
主人公と被害者の妻との手紙のやりとりを通して気持ちが徐々に寄り添っていく。
お互いに大切に思い合っているのに、頑ななまでに気持ちを悟られまいとする主人公が可哀想になる。
ある意味究極の純愛だ。

2016/03/11

おれはなぜ二度も人を殺したのか。

獄中で寡黙な男が晒す胸の奥底の真実。
暴力と性の極みを書き続けた作家が描き切った裸の人間の心情とは。

寡黙な男の心の奥底の一途な想いが胸を刺す。

七十六歳で故あって二度目の殺人を犯し四年、いま獄中にある男は静かに語り始める。昭和初頭、炭鉱の島に生まれ坑夫となった緒方一義は隣人を殺し、一度目の獄につながれた。彼が手にかけた男の妻と交わし続けた手紙にこめた想いとは? 遠ざかりゆく昭和という時代と数奇で凄絶な人生が見事に描かれる。