金融機関のためのネッティングの実務 会計基準とバーゼル規制 の商品レビュー
1、会計・規制上の相殺表示を理解することを主眼に置いている 本書は会計・規制上の相殺表示を理解することを主眼に置いており、まずその前提知識として重要となる、取引の清算・決済の仕組みの解説から始まっています。実務上の取り扱いが詳細に記載されているほか、会計的観点を軸とし、法律やバ...
1、会計・規制上の相殺表示を理解することを主眼に置いている 本書は会計・規制上の相殺表示を理解することを主眼に置いており、まずその前提知識として重要となる、取引の清算・決済の仕組みの解説から始まっています。実務上の取り扱いが詳細に記載されているほか、会計的観点を軸とし、法律やバーゼル3と関連付けた記載がされています。 2、日本基準、IFRS、米国基準との比較で書かれている 「債権債務の相殺表示:原則的考え方」「IFRS/米国基準の相殺表示要件」「収益・費用の総額・純額表示の考え方」「取引タイプ別バランスシート相殺表示の検討」および「開示例」の各章では日本基準、IFRS、米国基準それぞれでの取り扱いやその背景、および基準間の違いをまとめた総括表などが掲載されています。 3、バーゼルとの関係性の解説 本書の最後8章~10章では下記に説明している自己資本、レバレッジ比率、安定調達比率の3点における相殺表示とバーゼル3との関係について解説されています。 BIS規制上、自己資本比率を計算する際に総資産を分母に、自己資本を分子にして計算する。そのうち総資産は単純な資産の合計金額ではなく、リスクの度合いで加重平均することによって算定します。本書ではそのリスク加重資産計算する中で、特に会計上の相殺と関連性が深いトピックとして①金融派生商品の信用リスク②証券金融取引の信用リスク③貸出金と自行預金の三つをあげて解説しています。 レバレッジ比率とは上記説明のようなリスク調整を行わない指標のことを指し、リスクベースの自己資本比率を保管する指標とされています。また安定調達比率とは、「利用可能な安定調達額(資 本+預金・市場性調達の一部)」を「所要安定調達額(資産)」で除した割合を指し流動性が低く、売却が困難な資産を保有するのであれば、これに 対応し、中長期的に安定的に調達することを求めるための指標として用いられています。
Posted by
- 1