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公益法人・一般法人における区分経理の会計・税務 の商品レビュー

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2016/12/27

公益法人・一般法人における区分経理の解説書。公益法人は認定法に基づいて区分経理が必要となり、また公益目的支出計画実施中の一般法人(移行法人)は整備法に基づいて区分経理が必要となる。そのため公益法人・一般法人の会計実務上、区分経理の論点は重要となる。また、これら公益法人・一般法人が...

公益法人・一般法人における区分経理の解説書。公益法人は認定法に基づいて区分経理が必要となり、また公益目的支出計画実施中の一般法人(移行法人)は整備法に基づいて区分経理が必要となる。そのため公益法人・一般法人の会計実務上、区分経理の論点は重要となる。また、これら公益法人・一般法人が法人税法上の収益事業となる34業種を行っている場合には、収益事業と収益事業以外の事業を区分経理する必要がある。 序盤のところで公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の意義が法令に従って丁寧に解説されており理解が進んだ。認定法・整備法上の区分経理と法人税法上の区分経理とでは範囲が異なる点も理解できた。所々で筆者の実務上の考え方が記載されていて、基準べったりの解説になっていないところは評価できる。ただ後半の事例解説は多少冗長な感じで流し読みする程度であった。 P36 認定法上、寄附金として取り扱われる入会金・会費であっても、会費規程等により、公益目的事業以外に使用する割合を定めれば、当該割合に基づいて公益目的事業会計以外に計上することが可能です。 P55 仮に、公益目的事業会計から収益事業等会計に使用割合が変更される場合は、公益目的事業財産は、公益目的事業を行うために使用し、又は処分しなければならないという認定法第18条の観点から、精算しない方法を採用することはできません。 P57 他方、実務上、公益目的事業で使用していた資産を収益事業等や管理に転用することも考えられます。その場合、「他会計振替額」を用いて資産を転用することは認められませんが、会計間貸借を用いて転用することはできます。すなわち、「他会計振替額」を用いると公益目的事業会計の正味財産の減少を伴うため、認定法第18条の観点から認められませんが、会計間貸借を用いると公益目的事業会計の正味財産の減少を伴わないため、認定法第18条の観点から問題はありません。 P76 「七訂版 法人税基本通達逐条解説」において、「一般管理費などで個別的な基準によりがたい費用などについては、それぞれの事業の収入金額の比を用いて計算することもあり得る」と記載されています。すなわち、法人税の課税所得計算上も管理費について配賦計算することは認められており、その計算例として収入金額の比が挙げられています。認定法上の収益事業等の利益の組入計算における管理費の按分計算方法においては、事業費で按分計算する例が挙げられ、法人税法の一般管理費の配賦基準として収入金額の比で配賦する例が挙げられていますが、いずれも、一例として挙げられているものであり、最終的には合理的な基準に基づいて按分計算するという点については、共通しているものと考えられます。

Posted byブクログ