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花が咲くとき の商品レビュー

4.4

37件のお客様レビュー

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2024/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大介と北海さんの旅小説。 小学校で一度イジメに遭い、それからはなるべく標的にされないようにひっそり過ごす大介。 成績を上げる事にばかり執着する、そんな家庭環境も良くない。 家出に至るのもむべなるかな。 北海さんも一人旅のつもりが、小学生に勝手に付いて来られるのだからたまったもんじゃない。だがそれも運命と賭けをし、二人で長崎を目指す。 昭和後期の携帯もインターネットも無い時代だから成し得た貧乏二人旅ではなかろうか。 そしてだからこそ人と人が触れ合い、何かを学ぶ。 大介の成長は素晴らしかったし、更に北海さんの実直さには唸る。人柄の何と魅力的な事か。病室で伝える心の裡は『許す』以上に筋が通っていた。 気持ち善く読み終える事ができた。

Posted byブクログ

2023/11/08

小学生の大介の暮らしが、かなり息苦しい。 クラスの中でも、親との間でも… 隣家の庭の花芽を削るというのはダメだよーと思うけれど、旅の中で色々な人と出会い、大介が少しずつ変わっていく姿がとても良かった。 そして少年の冒険成長の物語かと予想したが、この旅の源となる北海の過去…これ...

小学生の大介の暮らしが、かなり息苦しい。 クラスの中でも、親との間でも… 隣家の庭の花芽を削るというのはダメだよーと思うけれど、旅の中で色々な人と出会い、大介が少しずつ変わっていく姿がとても良かった。 そして少年の冒険成長の物語かと予想したが、この旅の源となる北海の過去…これが、とても考えさせられて、予想以上に深く入り込んで心に沁みる作品。 大満足です。

Posted byブクログ

2023/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 親や学校に嫌気がさし、家出を決意した小学生の男の子が主人公の話でした。主人公、大介が住んでいる家の隣には、手のない老人、北海が住んでいた。北海が持っていた手紙を盗み見、彼が長崎を目指していることを知る。北海と共に旅をしながら大介は様々な大人に出会う。トラックの運転手や、ストリッパーを行う女性、刃物研ぎを生業にする男性……多くの出会いを経て大介は一つ一つ世界を知る。やがて、戦争を体験した北海の悲惨な過去が語られる。長崎にいるのは、北海と一緒に入牢されていた人間だった。  夏休みに決行した家出から始まる学校では教えてくれないリアル。 大介の中にあった偏見や固定概念が覆され、身体的にも精神的にも大人になっていく姿がつぶさに表現されていました。とても素晴らしい作品だと思います。

Posted byブクログ

2023/01/19

気配の色が見える少年、大介。人の指先から、いろんな色をした、その人の気配が、大介にだけ見えるという。 一種の特殊能力のお話か、と思ったが。 小6の夏休み、両親に不満を持った大介は、隣に住む老人にこっそりくっついて、北海道から東京、長崎までの旅をするはめになる。 そこで出会う人...

気配の色が見える少年、大介。人の指先から、いろんな色をした、その人の気配が、大介にだけ見えるという。 一種の特殊能力のお話か、と思ったが。 小6の夏休み、両親に不満を持った大介は、隣に住む老人にこっそりくっついて、北海道から東京、長崎までの旅をするはめになる。 そこで出会う人たち。それぞれ違う気配の色が見えたのに、関わるうちに、印象が変わっていく。 大介も、戸惑いながら、老人との二人旅で成長していく。 旅が終わって、大介と老人は、離れ離れになってしまうが、ある約束を交わし、数年後に、再会するための旅をすることになる。 思わず唸ってしまった。 いい話だった。

Posted byブクログ

2023/01/12

家が隣の小学六年生と偏屈爺さんと呼ばれている老人のひと夏の物語。 老人が背負ってきた過去、小学生の大人への成長、そして旅の先々で出会う良識ある大人たち。 とても気持ち良く読める物語で、人の在り方を考えさせられました。 物事の一面で判断することもなく、誰かに合わせることも無く、自...

家が隣の小学六年生と偏屈爺さんと呼ばれている老人のひと夏の物語。 老人が背負ってきた過去、小学生の大人への成長、そして旅の先々で出会う良識ある大人たち。 とても気持ち良く読める物語で、人の在り方を考えさせられました。 物事の一面で判断することもなく、誰かに合わせることも無く、自分の芯を持つこと。 人の恐さを知ってこそ、大きな優しさで接することが出来ること。 人生で色々な人と接し、合う人も合わない人もいるけれど、そうやって生きていくことで学び、次の世代へと優しさを受け継いでいくのだと、温かい気持ちになりました。

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2022/12/03

札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。 それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。 開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。 だが、夏休みに入っ...

札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。 それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。 開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。 だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝いてその樹が白い花を咲かせる。 それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩して家出をするつもりだった大介は、急遽彼を追うことに…。 一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。 (アマゾンより引用)

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2022/07/09

札幌に暮らす小学6年生の大介は日常の行き詰まりから家出を企て、隣人で指が数本ない佐藤北海さんの乗る軽トラに潜り込み家を出る。 そこから北海さんとの旅が始まる。 大介の無神経さとか子供っぽさが、今の自分自身からはもどかしくも感じるが 小学6年生ってそんなものなんだろう。 旅をし...

札幌に暮らす小学6年生の大介は日常の行き詰まりから家出を企て、隣人で指が数本ない佐藤北海さんの乗る軽トラに潜り込み家を出る。 そこから北海さんとの旅が始まる。 大介の無神経さとか子供っぽさが、今の自分自身からはもどかしくも感じるが 小学6年生ってそんなものなんだろう。 旅をしていくうちに、様々な人と出会うことで視野が広がり、自分自身を取り戻していく姿はみずみずしい。

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2022/06/28

学校の中ってなんて狭い世界なんだろう。夏休み、隣の老人と旅をした大介は旅を通じて色々なことを学んだ。働くことの意味、恥ずかしいことの意味、自分の頭で考えることの意味、そして戦争のこと。特にシベリア抑留のことは祖父がそうであっただけに興味深かった。それでもいきなりいなくなるってこと...

学校の中ってなんて狭い世界なんだろう。夏休み、隣の老人と旅をした大介は旅を通じて色々なことを学んだ。働くことの意味、恥ずかしいことの意味、自分の頭で考えることの意味、そして戦争のこと。特にシベリア抑留のことは祖父がそうであっただけに興味深かった。それでもいきなりいなくなるってことは誘拐の可能性も高い、ということに気が回らない大介にイラっとすることもあったけど一気読み。確かに帯にある通り優しい物語だった。読めて良かった。

Posted byブクログ

2022/03/05

子どもが何か悩みを抱えているときに、自分の体験や信念に基づいて、正しい方向へ導いてくれる大人がいたら、どんなにいいだろうと思った。 こういう大人がどんどん減ってきている気がする。 どうやったら強くなれるかとの大介の問いに 「答えは教えられるものじゃなくて、探し当てるものだよ。…...

子どもが何か悩みを抱えているときに、自分の体験や信念に基づいて、正しい方向へ導いてくれる大人がいたら、どんなにいいだろうと思った。 こういう大人がどんどん減ってきている気がする。 どうやったら強くなれるかとの大介の問いに 「答えは教えられるものじゃなくて、探し当てるものだよ。…自分の責任で辿り着いてこそ、答えになるんだ。」と答えた鏑木。 大人になった今も迷うことはたくさんあるけど、答えは自分でみつけるしかないんだな。

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2022/02/21

過去にイジメを受けてまわりの人の顔色をうかがうようになった少年と、隣に住むなんだか気味の悪い手指のない老人が、北海道から九州まで一緒に旅をする話。 冒頭は「ふーん…」から始まってどんどん引き込まれ最後は一気読み。さすが乾ルカ!ホントに読んでよかった!と感動。 戦時中に満州開拓...

過去にイジメを受けてまわりの人の顔色をうかがうようになった少年と、隣に住むなんだか気味の悪い手指のない老人が、北海道から九州まで一緒に旅をする話。 冒頭は「ふーん…」から始まってどんどん引き込まれ最後は一気読み。さすが乾ルカ!ホントに読んでよかった!と感動。 戦時中に満州開拓で大陸に渡り、シベリアに拘束されて引き上げてきた老人、なぜ手指がないのか、旅の目的はいったいなんなのか、読めば読むほど心がギリギリする。 旅の途中で登場してくる様々な大人がカッコいい。私もこんな風に優しくあたたかく厳しく、自分の判断で子ども達を見守ることの出来る大人でありたい。

Posted byブクログ