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王になろうとした男 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/01/07

毛利新助、塙直政、荒木村重、津田信澄、彌助。五人の織田信長の家臣を描いた短編集。 己の分際を知り、全うすることを選んだ毛利新助。 高みを目指し、自ら破滅した塙直政。破滅させられた荒木村重と津田信澄。 外国人であるからか、しがらみなく共感を得ることができた彌助。 容赦なき競争社会...

毛利新助、塙直政、荒木村重、津田信澄、彌助。五人の織田信長の家臣を描いた短編集。 己の分際を知り、全うすることを選んだ毛利新助。 高みを目指し、自ら破滅した塙直政。破滅させられた荒木村重と津田信澄。 外国人であるからか、しがらみなく共感を得ることができた彌助。 容赦なき競争社会という一面が強調されがちな信長家臣の陽の部分が、秀吉・光秀であるならば、塙直政に荒木村重と津田信澄は負の部分なのだと思います。先の二人も、それゆえに本能寺を起こしたと思えば負の部分と言えなくもない。「王となろうとした男」では秀吉が本能寺の黒幕説です。日本史上最大の成り上がりを成した秀吉。こうでないと。 やはり、信長を題材にしている以上「本能寺の変」を避けては通れない。なんというか、この事件の解釈を読むために信長の小説を読んでいるといっても過言ではないような気がします。

Posted byブクログ

2020/09/28

名前は知られているが小説化されていない人たちを取り上げており,大変興味深く読んだ。全体としてストーリーは共通なので,読みやすい反面,悪役は悪役のままでその人が好きな人がよんだらがっかりするだろうな。

Posted byブクログ

2019/12/20

信長に仕えた男たちを主人公にした5篇の短篇集。 果報者の槍(毛利新助良勝、塙九郎左衛門直政) 毒を食らわば(塙九郎左衛門直政) 復讐鬼(荒木村重、中川清秀) 小才子(津田信澄、丹羽長秀、明智光秀) 王になろうとした男(織田信長、彌介) 桶狭間で今川義元の首を獲った毛利新助。 ...

信長に仕えた男たちを主人公にした5篇の短篇集。 果報者の槍(毛利新助良勝、塙九郎左衛門直政) 毒を食らわば(塙九郎左衛門直政) 復讐鬼(荒木村重、中川清秀) 小才子(津田信澄、丹羽長秀、明智光秀) 王になろうとした男(織田信長、彌介) 桶狭間で今川義元の首を獲った毛利新助。 明智光秀や羽柴秀吉にも勝る勢いで出頭を重ね、本願寺との合戦で討ち死にを遂げた原田直政。 野心家であるがゆえに墓穴を掘ってしまった荒木村重。 父を伯父の織田信長によって暗殺され、復讐のために信長の一家臣として仕えた津田信澄。 黒人の奴隷として信長に献上された男・彌介。

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2018/04/30

信長の周辺の五人を主人公とした五つの短編.表題作の「王になろうとした男」とは,意外や意外,弥助だった. 巻末の対談で作者本人が「敢えて信長本人の視点は設けず,家臣たちの視点から,信長を描きました.」と語っているが,これは非常に上手い手で,確かに,信長というのは色んなものを超越して...

信長の周辺の五人を主人公とした五つの短編.表題作の「王になろうとした男」とは,意外や意外,弥助だった. 巻末の対談で作者本人が「敢えて信長本人の視点は設けず,家臣たちの視点から,信長を描きました.」と語っているが,これは非常に上手い手で,確かに,信長というのは色んなものを超越してしまっているため,主人公としてはとても描きにくい人物なのであろう. 五つの短編は全て,信長の苛烈さが産んだ歪みによって軋みをあげながら本能寺の変に向かう.しかし,五編目に配置された表題作の信長は弥助に優しい.この優しさと,これに応える弥助の奮闘が,読後感をさわやかにしている.

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2016/08/06

悪鬼羅刹な信長かと思いきや、良い面も悪い面も描かれていた。 ちょっと思ってたのと違ったけど、それなりに楽しめた。 160806

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2016/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 伊東さんの作品はいずれも、長・短編関わらず骨太で、純粋なエンターテインメントとして楽しめるだけでなく、歴史の裏側を垣間見るような気分にまでさせてくれるところに感動します。今回も良作揃いでした。  織田信長の家臣ら五人にスポットを当てて、彼らの目線から「信長」という男の人柄やカリスマぶりを浮き出させていくのですが、性格も立場も目的も異なる五人から見た信長に対する心象は当然バラバラであるのに、読者が受ける信長像には一本芯が通り続けているのが凄いです。  知略策謀がメインになってくる中三作も面白かったですが、個人的には、純朴に己の義を貫き通した毛利新助と彌介の話が好きです。特に新助の最期は潔さと格好良さで胸熱でした……!

Posted byブクログ

2016/06/09

織田信長をとりまく無名の者たちを主人公にした連作短編集。日本史上、例のないカリスマを備えた巨人、織田信長の影響力が周囲の無力な人間を巻き込み、そして破滅へと導いていく。 タイトル作の「王になろうとした男」とは奴隷として日本まで連れてこられたアフリカの黒人。彼が信長に仕えることに...

織田信長をとりまく無名の者たちを主人公にした連作短編集。日本史上、例のないカリスマを備えた巨人、織田信長の影響力が周囲の無力な人間を巻き込み、そして破滅へと導いていく。 タイトル作の「王になろうとした男」とは奴隷として日本まで連れてこられたアフリカの黒人。彼が信長に仕えることになり、共に王を目指すことを誓い合う。徹底した実力主義の信長であれば、皮膚の色には目もくれず、日本人にはかなわない運動能力を持つアフリカ黒人を非常に評価するだろうし、周囲から差別される点で親近感を持ったとしても不思議ではない。その一方で古い価値観にこだわる秀吉が徹底的な悪役として描かれる。 短編が連なるにつれて、信長という人物像、本能寺の変の真相が明らかになってくる歴史サスペンス・ミステリーでもある。

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2016/03/29

【野心が、野望が、戦場をかけめぐる】信長の大いなる夢にインスパイアされた家臣たち。毛利新助、原田直政、荒木村重、津田信澄、黒人の彌介。峻烈な生と死を描く短編集。

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