1,800円以上の注文で送料無料

ゼロヴィル の商品レビュー

4.7

5件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/07/04

難しいなあ。感想。書籍化されてすぐ読もうと思って、(図書館)貸出が混んでいて、それきりだったという。確か丁度、主演のジェームスフランコがセクハラで映画界から閉め出されて、なんか自分の中で勝手に問題作と処理して数年。読んだ感想は、フランコより、本の主人公より、作者が一番狂ってるな、...

難しいなあ。感想。書籍化されてすぐ読もうと思って、(図書館)貸出が混んでいて、それきりだったという。確か丁度、主演のジェームスフランコがセクハラで映画界から閉め出されて、なんか自分の中で勝手に問題作と処理して数年。読んだ感想は、フランコより、本の主人公より、作者が一番狂ってるな、って感じ。多分戦争の余波で世の中喪失感に溢れてて、必死に虚構の世界に現実味を持たせようとあがく。それが現在の基準(ネットの世界に現実を求める)になってしまい、我々はそれを選んで生きるしかなくなっているのが、現在であった。

Posted byブクログ

2019/05/14

ひとつの時間のあらゆるシーンは同時に起こっているーー。 映画編集技術とはまるでトラルファマドール星人やヘプタポッドの目を獲得するような能力である。「まだ起きてないことを反映し、すでに起きたことを先取りする」とは、まさにこの小説のなかで起きている現象そのものだ。 横顔と横顔、男性...

ひとつの時間のあらゆるシーンは同時に起こっているーー。 映画編集技術とはまるでトラルファマドール星人やヘプタポッドの目を獲得するような能力である。「まだ起きてないことを反映し、すでに起きたことを先取りする」とは、まさにこの小説のなかで起きている現象そのものだ。 横顔と横顔、男性と女性、父と子、現実と夢。それらが反映し合い、先取りし合う末に区別がつかなくなり、ついに連続性が失われた時、我々もまたその境地に到達することができる。こんな体験は読書でなければなかなか味わうことができないと思う。夢中になって読んだ。 あと、作中に出てくる『彼方』という小説、ユイスマンスが書いたものなんですね。ウェルベックの『服従』にもユイスマンスが大きく取り扱われていたけど、現代作家にとってユイスマンスって何か特別な位置づけがあるんだろうか?読んだことないので読んでみたい。

Posted byブクログ

2019/06/02

[関連リンク] ゼロヴィル - アブソリュート・エゴ・レビュー: http://blog.goo.ne.jp/ego_dance/e/e1247f3a8dc082ecee813e4f549357f6

Posted byブクログ

2016/04/07

読み終えてしまった。。。 エリクソンの小説はどれも面白くて、いつも終ってしまうのを惜しんでなるべく少しずつ読む。後半なんてちびちびと読み進める。 だから、まず読了後に思ったのは「あぁ、終ってしまった」というがっかりと寂しさ。 このエリクソンもとっても良かった。すごく面白かった。 ...

読み終えてしまった。。。 エリクソンの小説はどれも面白くて、いつも終ってしまうのを惜しんでなるべく少しずつ読む。後半なんてちびちびと読み進める。 だから、まず読了後に思ったのは「あぁ、終ってしまった」というがっかりと寂しさ。 このエリクソンもとっても良かった。すごく面白かった。 映画を観ているように読むことができたし、映画のような面白さがある小説だった。 やっぱり柴田元幸さんは翻訳が巧いよなぁと改めて思った。柴田さんが翻訳しているからエリクソンは面白いのではないかと思う。 アンジェラ・カーターの『花火』を読んでいた途中でこの『ゼロヴィル』に移ったから尚更そう思った。 柴田さんの翻訳というところで読んでみようと思ったりするくらい私は柴田さんも好き。 物語は映画を中心とした話。 『陽のあたる場所』のモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーを剃った頭に刺青した主人公ヴィカー(Vikar)。映画に取り憑かれた映画自閉症の彼の物語。 ヴィカーとは対照的に私は全く映画に疎いけれど、何の問題もなく読むことができた。 私は『陽のあたる場所』すら観たことがないし、作中に出て来る数々の映画のうち『ある愛の詩』くらいしか観たことがないけれど、そして俳優や女優にも疎いけれど、面白く読むことができた。いつもと同じようにエリクソンの世界にすっかり呑み込まれた。 『ゼロヴィル』は、エンターテインメント性が高く、『Xのアーチ』に比べたらずっと軽やかで明るい。エリクソンの他の小説と比べて光を感じる小説だった。 エリクソンの他の小説を思い出そうとすると私の頭の中に浮ぶ画はどれも夜。けれども『ゼロヴィル』は暗闇ではなく、夜明けの白い画が浮んでくる。 シーンとしては夜や暗闇の方が多いし、内容はやっぱりいつものように現実と現実ではない世界が複雑に絡み合って、芯は深く重く、ハッピーとは言えない。現実にはあり得ない物語的な小説なのに、あまりにも現実的過ぎる。私は哀しみを感じたし、切ない気持ちにもなった。 それでも、読み終えてこの小説のことを思う時は朝の白い感じや薄い水色の空の画が浮ぶ。 兎にも角にも、とても面白い小説だった。 『陽のあたる場所』と『裁かるゝジャンヌ』くらいは観ようと思った(苦笑) 余談だけれど、読み初め、ふと「村上春樹さんが書きそうだな」と思ったりした。若かりし日の村上さんが若い頃の情熱で今の熟練さを持って書いたらこんな感じのものを書きそうだな、と。『ゼロヴィル』の特殊な断章形式だったり主人公ヴィカーのキャラクターだったりがそう思わせたのかも知れないし、村上さんの語りが翻訳小説風だからそう思ったのかも知れない。しかし読んでいくとやっぱりエリクソンでなければ書けない、エリクソンの世界があって、どうして村上さんを思い出したりしたのだろう?と不思議になるのだけど。

Posted byブクログ

2016/03/29

神話を描けばいいのか反神話を描けばいいのかすら見失って、ぐじゃぐじゃになってしまった時代の映画の夢の映画の夢の… これはとてもいいエリクソン

Posted byブクログ