グッド・フライト、グッド・ナイト パイロットが誘う最高の空旅 の商品レビュー
いろんな国に行きたい。行かなければ絶対に知り得ないことを、それが何であれ、絶対に知りたい。なんでかな。✈️✨ ・ 「高い場所にはいくつも魅力があるが、そこを目指す情熱には、損得だけでは割り切れない何かがある。人間はつながりを見つけること——つまり個々の要素がどのように全体を織りな...
いろんな国に行きたい。行かなければ絶対に知り得ないことを、それが何であれ、絶対に知りたい。なんでかな。✈️✨ ・ 「高い場所にはいくつも魅力があるが、そこを目指す情熱には、損得だけでは割り切れない何かがある。人間はつながりを見つけること——つまり個々の要素がどのように全体を織りなしているかを発見するのが好きだ。音楽でも、詩でも、科学でも、繰り返し味わううちに最初はわからなかった関係性を発見すると、心を打たれる。空を飛ぶこともつながりを見つける行為だといえる。大好きな歌手がカバーした曲を聴いたり、初めて会う親戚の顔立ちやしぐさに懐かしさを覚えたりといったことを、地球相手にやっているようなものだ。知っているはずの曲なのにどこか印象がちがって、初めて会うのに他人ではない気がする。空から森や道路や、住宅地、学校、川を見おろすと、平凡だと思っていたものの新しい面が見える。日常がいつもとちがう美しさを帯びて、ひとつひとつがつながっていることがわかる。とりわけ夜は、その感覚が増す。」 ・ 「仕事のない朝、私はよく駅へ行く。北京だろうがチューリッヒだろうが、新しかろうが古かろうが、大きな駅はだいたい立派で、本を読みながら長居できるカフェもある。聞いたこともない小さな町や、電車で行けるとは思ってもみなかった町の名前が電光掲示板に表示されているのもいい。だが駅へ行ってお茶を飲む本当の理由は、駅がどこでもない場所の象徴だからだと思う。出発地と目的地の狭間にある空間だからだ。見知らぬ人々が行き交う外国の駅は、私の心情をそのまま映している。」 ・ 「一三歳で初めて自分専用のラジカセとヘッドホンを手に入れ、自分で音楽を選ぶようになったとき、パイロットは空の上で音楽を聴けると思うか、と兄に質問したことがある。兄は「わからないけどだめなんじゃないか」と答えた。兄の推測は正しかった。しかし乗客であれば、音楽と、窓の外を流れる景色を道連れに、現代ではますます手に入れにくくなった自分と向き合う時間を手にすることができる。空では、ほかに出かける場所もなければ、やるべきこともないのだから。 視線をさげると翼下の世界が目に入る。そのとき座っているのが窓側の席なら、あなたの目は内的世界と外的世界を自由に行き来できるだろう。視点の切り替えはあまりになめらかで、空の上でのみ得られる恩恵のようだ。信仰の有無や種類を問わず、楕円形の窓に、人間が抱く根源的な問いの答えがくっきりと映しだされる。個と個がつながり、時間と距離が釣り合い、夜になると暗い地表に暮らしの光が投げかけられるように、過去が現在に投影される。私たちは窓越しに、雪をかぶった山系をその日最後の赤い光が染める様子や、手相のように広がる都市の光を眺め、この窓は、限られた時間だけ世界の上に掲げられた鏡なのだと知る。 もちろん、空そのものは目的地にはならない。パイロットにとっても同じだ。それでも現代に生きる私たちは、どこかへ急ぐ途中に空の王国で貴重な時間を過ごすことができる。日常のしがらみが消え、故郷の物語が紐解かれる。そして使い古された言葉が——旅や道、翼、水、地球も大気、都市と夜といった言葉が、新たな意味をもって立ちあがってくる。ときおり見あげる空の青さや星の輝きに胸を打たれることはあっても、私たちの視線はおおむね下に注がれている。あとに残してきたものの価値を再確認して、ふたたびめぐり合う機会に思いを馳せながら、半球だけ光のあたった世界を雲のように漂うのである。」 ・ 「いつもは見あげる雲を見おろしていると、曇っているのは〝空ではなく〟、地球なのだとわかる。パイロットを引退していちばん懐かしくなるのはきっとこの感覚だ。日々、空と水のひさしの下の地表を眺めてあれこれ思いめぐらせる時間にちがいない。」
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旅の楽しさは、知らないところに行って知らないものを見たり、食べたり、知らない人を知るようになったりすることだと思っていたが、著者はそうではないらしい。 というか、著者にとっては飛行機に乗って空を飛んでいることが楽しいのであって、どこに行くかとか誰と会うとかいうことは、わりあいどう...
旅の楽しさは、知らないところに行って知らないものを見たり、食べたり、知らない人を知るようになったりすることだと思っていたが、著者はそうではないらしい。 というか、著者にとっては飛行機に乗って空を飛んでいることが楽しいのであって、どこに行くかとか誰と会うとかいうことは、わりあいどうでもよいらしい。 本書には顔を持った「人」がほとんど登場しない。土の匂いがする「場所」も登場しない。例えば著者は日本に留学していたことがあるようで、何度か日本が話題に上がるが、話題に上がるだけ。日本が好きなんだか嫌いなんだか、日本人の友だちがいるんだかいないんだかさっぱりわからない。ほかの土地も同様だ。文章はきれいなのだが、いつまでも地上に降りてこないので、飽きてしまった。 根っからの飛行機好きに。
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飛行機好きとしては、これは読まないといけない!と思って読んだ本。 かなり期待して読んだのに加え、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとか、エコノミスト誌の年間ベスト・ブックとか書いてあって自分の中でもハードルが上がってしまったのもあると思うのですが、読み終わった感覚は、悪くないの...
飛行機好きとしては、これは読まないといけない!と思って読んだ本。 かなり期待して読んだのに加え、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとか、エコノミスト誌の年間ベスト・ブックとか書いてあって自分の中でもハードルが上がってしまったのもあると思うのですが、読み終わった感覚は、悪くないのですが周りに物凄くオススメするほどじゃないかなと。 旅客機のパイロットが書くエッセイとしては、日本人パイロットが書いているより親切な本が何冊もあって、翻訳という壁が1つあることも考えると、この本を楽しむなら原語の方が良いのではないかと思います。 BAの747パイロットの著者による溢れる飛行機愛や、フライトにまつわるステキなエピソードなどが綴られた本で、表現の美しさは群を抜いてるんじゃないかと思います。ただ、それゆえに引用なんかも多く、サン=テグジュペリより向こうの話になるとどうもついていけなかったり。 文章もあまりスーッとは入ってこない感じで、一部翻訳もちょい違うのでは?と思った箇所もあり(サマルカンドは、アレクサンダー大王とチンギス・ハンが陥落「した」都じゃないと思う…)、少々ストレスを感じました。
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ブリティッシュ・エアウェイズの現役パイロット、マーク・ヴァンホーナッカー氏によるエッセイ集。 子供の頃「パイロットになりたい」と答えた少年はたくさんいると思うが、おそらく彼はその夢をかなえた数少ない人物だろう。エッセイのテーマは自身の仕事内容や、飛行中に空から見える景色の事など...
ブリティッシュ・エアウェイズの現役パイロット、マーク・ヴァンホーナッカー氏によるエッセイ集。 子供の頃「パイロットになりたい」と答えた少年はたくさんいると思うが、おそらく彼はその夢をかなえた数少ない人物だろう。エッセイのテーマは自身の仕事内容や、飛行中に空から見える景色の事などなど、現役パイロットならではの目線でありながら、とても詩的に美しく描かれている。 数あるエピソードの中でも興味深かったのが、フライトの際ほとんどのクルーが初対面同士、という事が珍しくないという話だ。約20名の見知らぬ同僚が一丸となって、大勢の乗客の大切な命を預かり、快適な空の旅のために働いているという事実には、チョット驚いてしまった。 ヴァンホーナッカー氏が出会った機長の中で、規定の乗務記録以外に個人的な日誌を書いている方がいる。二度と同乗できないかもしれない、同僚たちとの思い出を書き留めておくためだ。 どうやら空旅での一期一会は、ロビーを行き交う旅人だけのものではないらしい。
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飛行機に乗りたくなる! 猛烈に。 曇っていたり雨だったり嵐だったりしても、その遥か上空には光が溢れている…と思うと、確かになんだか安心するよ、いい気分になるよ。
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[空の旅、夢の旅]空を飛ぶことの魅力を、旅を共にする人々との思い出や飛行にまつわる自然現象にいたるまで、現役パイロットがあらゆる観点から語り尽くした作品です。著者は、空の旅を心から愛することが本書から伝わってくるマーク・ヴァンホーナッカー。訳者は、航空自衛隊の管制官としての経験を...
[空の旅、夢の旅]空を飛ぶことの魅力を、旅を共にする人々との思い出や飛行にまつわる自然現象にいたるまで、現役パイロットがあらゆる観点から語り尽くした作品です。著者は、空の旅を心から愛することが本書から伝わってくるマーク・ヴァンホーナッカー。訳者は、航空自衛隊の管制官としての経験を持つ岡本由香子。原題は、『Skyfaring』。 空を飛んだことがある人はもちろんのこと、空を飛んだことのない人をも幻想的な世界に誘ってくれるであろう詩的な一冊でした。また、意外と知らない空や飛行機に関する知識も楽しみながら増やすこともできるかと。空旅のお供にぜひオススメしたい作品です。 〜大勢の人が地上を離れて紺青の海を越え、別の地点へ移動できる現代になっても、私たちは思っているほど飛ぶことに慣れていない。〜 表紙もイイですよね☆5つ
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現役パイロットのお話。空から見た世界の景色や、航空信号などの話、空美のわたしにとってはワクワクどきどきのおもしろさです。 東京が人類史上最大のメガシティとなっていますが、本当に成田に着陸するときの関東平野はメガシティですよね。
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米マサチューセッツ州生まれの、ブリティッシュ・エアウェイズでボーイング747を操縦する現役のパイロットが、空を飛ぶことの魅力を語り尽した作品。 原書『Skyfaring:A Journey with a Pilot』は2015年6月に出版され、A New York Times N...
米マサチューセッツ州生まれの、ブリティッシュ・エアウェイズでボーイング747を操縦する現役のパイロットが、空を飛ぶことの魅力を語り尽した作品。 原書『Skyfaring:A Journey with a Pilot』は2015年6月に出版され、A New York Times Notable Book of 2015、An Economist Bestseller and Best Book of 2015、A Wall Street Journal Best Book of 2015、BBC Radio Book of the Week、A Bloomberg Best Book of 2015などの高評価を受け、サン=テグジュペリの『夜間飛行』以来の名作と記す書評もある。 著者は、当初エアバスで短中距離フライトに携わった後、2007年からボーイング747で中長距離フライトを担当し、ロンドンを拠点に、欧州・中東・北アフリカの各都市、東京、ニューヨーク、シンガポール、ハワイ、ケープタウン、シドニー、デリー、リオデジャネイロ、香港、サンフランシスコ、バンコクなど世界各地に飛んでおり、本書でもそうした地名が随所に登場して旅情をそそられるが、本書の魅力はむしろ別のところにある。 それは、本書の、1.Lift(持ちあげる、あがる、高まる)、2.Place(場所、空間、住所)、3.Wayfinding(進む方向を決めること)、4.Machine(機械、装置、仕組み)、5.Air(空気、大気、無)、6.Water(水、海、川)、7.Encounters(出会い、遭遇)、8.Night(夜、闇)、9.Return(帰る、戻る、復帰する)という章立てに示されるように、パイロットとして航空機を操る楽しさ、地球上を短時間で移動することの驚き、航空機のメカニックの神秘、地上と異なったルールの支配する空の王国の面白さなどが、縦横無尽に語られているところである。そして、それが、ときに詩的なロマンティックな表現で、また、ときに科学的なロジカルな説明で描かれているところに、更に引き込まれるのである。 著者が航空機に魅せられたのは、13歳のときに自宅近くの国際空港で、中東から来た旅客機を見たときで、そのときの気持ちを、「昨日、私が寝ているとき、あのアラビアの旅客機はヨーロッパのどこかの空港で給油をしていたかもしれない。さらにその前はアラビア半島にいたのだ。・・・あの扉の向こうに、旅客機が見てきた一日が詰まっているのだろうか。地球儀に記された遠い場所の名残が、たとえばジッダとか、ダーラン、それにリヤドの景色が、閉じ込められているのかもしれない」と書いているが、このぞくぞくする感覚こそ、世界を股に掛ける仕事、それを自らの手で行い得るパイロットの魅力の原点であるように思う。 次に海外へ行く機会には、間違いなく本書を思い出して、前回のフライトとは違った思いを抱いて飛行機に乗り込むことだろう。 (2016年3月了)
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