クマと旅をする の商品レビュー
第72回アワヒニビブリオバトル「【復路】お正月だよ!ビブリオバトル」第5ゲームで紹介された本です。 2021.01.03
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著者のクマを見るあたたかい目がそのまま写真にあらわれているような。井上奈奈の挿絵も絵本のよう。静か。
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※このレビューにはネタバレを含みます
クマとは、野生動物を撮ることを生業にしようとするカメラマンにとっては、 登竜門のような、きっかけのようなものなのだろうか。 26歳の前川さんは、自分の表現手段として、カメラを選ぶ、 それは、偶然のようなものだった。 そして、よりダイナミックな被写体を求めて、各地の自然をめぐる。 あるとき、シカと遭遇する。 「脳みそはしびれ、全身をめぐる血が騒ぐと同時に、安堵のため息がでた。」 それから、野生動物を撮る写真家となり、まずはクマに取り組もうと決める。 なぜなら、困難だと思えたから。 世界各地のクマを撮影して行く中で、 自分を「林立するなかの一本の木」と思い、 大きな自然の中の一部であると感じる。 ホッキョクグマを撮影するときには、 「安らぎとは正反対の、つねに警戒心を抱かせる野生の生き物だ。 でも、こみ上げるのは、もっとそばに寄りたいという願望。 そして、もし許されるものならば、そのからだを抱きしめてみたい。」 と思い、 そして、その自然の中の一員としてのクマと自分が同じ場にいることを 「いま、ともにあることの奇跡。」 という。 同じようなことを、久保敬親が『ヒグマの楽園』の中で語る。 「いつしか幸福な気持ちになっていた。 あれほどこわがっていたのに、愛しい。 ぼくは、今、ヒグマとおなじ大地にいる。なんという幸せ。」 確か、『クマよ』の中で星野道夫も同じようなことを語っていたと思う。 クマとは、そういう生き物なのだろう。 でも、私たちは、その心境で野生のクマとは対峙することができないと思う。 被写体とカメラマンという関係を越えた関係を結ぶことのできた、 彼らだからこその感覚。 そういった相手に巡り合えた彼らをうらやましく思う。
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逆光に浮かび上がる生命の息吹が印象的。文章も粗削りだが逆にそれがいい。「理系ロマンチスト」の独りごとは描写としてわかりやすく適度に詩情もある。いろいろこの人の著作を読んで観たくなった
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